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ピピピピピピッ――
携帯のアラームが鳴り響き、素直に反応した体がもぞりと動く。いつも通り寝返りを打った。ふわりと香るいつもとは違う香り。手が当たると心地のよい温もりが伝わってくる。視界に入った筋肉質なその体は寝起きの私には刺激が強すぎた。
「え……?」
目の前ですやすやと眠る人に目を見開く。
「……あれ?」
待て待て待て。
これは、あれだ。……いや、あれ、どういうこと?
そろり、そろりと自分の体にのっかっている手を外し、起こさないように細心の注意をしながら体を起こす。パラリと赤い髪が落ちれば、はっきりと顔が確認できた。
……間違いないよね。
まじまじと顔を見て確認する。待って、一体どうしてこんなことになっているの。確か昨日はローに誘われてバーに飲みに行って……え~と……
曖昧な記憶をたぐり寄せてなんとか思い出す。あ、そうだ、そうだ。お酒飲み過ぎて気分が悪くなって、ローに肩かしてもらって送ってもらって。
……それで?
目が覚めたらこの状況。どういうことなの? 混乱する頭で自分の服装を確認する。昨日飲みに行ったままだ。上着は脱いでるけど、特に乱れてもないし、ただ眠ってただけだと思われる。それにしても、なんなんだこの状況は。一体私はどうしたらいいのだと顔をしかめていたときに扉が開く。
「お、なまえ。起きた、か? って!」
おい、何やってんだよ! 扉を開けた男が私の隣でスヤスヤと眠っている男に掴みかかった。
「ロー?」
パチパチと瞬きながらローを見れば、ん、あぁと適当な返事。右手で掴み上げたシャンクスはその状況でも眠っていた。
「おい、起きろ!」
笑っちゃうくらい幸せそうな顔で寝ているシャンクスは全く起きる様子がなかった。どうやらローは諦めたようで、私の方に顔を向ける。
「取りあえず、シャワー浴びるか?」
「あ、うん」
二つ返事で返してしまった。どういう状況? ここどこ? なんでこんなことに? 私何かやらかした? ……聞きたいことはすべて聞けず。言葉を飲み込んで、厚意に甘えてベタベタする体を綺麗に洗い流しに向かった。
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「ふぅ~」
ほかほかと湯気を上げながら脱衣所から出ると、リビングのソファに腰掛けた2人の顔がこちらに向いた。固まる2人に自然と足が止まる。濡れた髪をタオルで吹きながらどうしたの? と声を出せば、あぁ、だの。なんでもない、だの。そんな曖昧な答えが返ってくるなんなの? と思いながら、空いていた座椅子に座る。
「2人はいいの?」
「2人とも昨日のうちに入ってる」
ローがそう言うと、シャンクスが頭を押さえながら覚えていないのか? と首を傾げた。
「……はい、全然」
嘘をついても仕方がない。素直にそう言うと、顔を見合わせる2人。そして、2人は同時に頷く。
「……私、何かしたの?」
「何にもなかった」
「本当に?」
「あぁ、無かったさ」
ローはその一点張り。頼みの綱のシャンクスに目を向けると頭を抱えてグロッキーな様子。「あ~飲み過ぎた~」とちょっと演技じみた声。……これは、私絶対何かやらかしているなと確信した。
「飲みに行ったのってホワイトビアードだっけ?」
「あぁ、そうだ」
「そ……」
リビングに投げ捨てられていた自分の鞄から携帯を取り出す。ピッ、ピピピッ。すぐに発信音が鳴り響いた。
「おい」
「ん、ちょっと黙ってて」
片手を上げてローを制する。
「あ、マルコ?」
数回のコールの後に出た男は寝起きの様で、カラカラに掠れた声だった。
「なまえか、どうしたよい」
「朝早くにごめんね」
「……どうしたんだい」
「昨日のことなんだけど……」
「おい、やめろなまえ!」
なぜか声を上げるロー。何、うるさい。と言って、伸びてきた手を軽く叩いてやった。
「ローか?」
「あ、うん。そう。シャンクスもいるよ」
「……そうかい」
「それでね、私昨日のこと全く覚えてなくて……」
「……は? それ本気かよい?」
「……うん。ロー達は何も教えてくれないし、今、頼りになるのはマルコしかいないって状態」
「なるほどねぇい。……で、なまえはそれを聞いてどうするんだい」
「……どうって、今後の教訓にして、お酒はちょっと控えようかなと」
「クククッ、それがよさそうだよい」
「いいから、早く教えて」
「教えて下さい、だろい? 全く、俺は年上だよい」
「……マルコ、お願いします」
「よくできましたよいっと」
そう言うとマルコは息を大きく吸う。聞いたことを後悔するなよい? というと、至極楽しそうにマルコは言った。
「シャンクスにロー、俺に親父に、イゾウにベック。そこかしこの野郎にキスせがみまくってたぞ、お前」
「……は?」
ギギギッ、そんな音が聞こえるように首を動かす。後ろを振り返れば、2人があちゃ~と頭を押さえていた。
「そういうことだい。後は自分でなんとかすることだ。じゃ、俺は寝るよい」
プツン――
プープープーとなり続ける音を聞きながら私はしばらくの間動くことができなかった。
「なまえ?」
ローの声でハッと我に返る。
「あの、えっと。その……ごめん、2人とも」
深々と頭を下げる。ほんと、迷惑かけてごめんなさい。と続けた。
「なまえ、顔を上げろ」
今度はシャンクスが立ち上がり、私の方へ歩いてくる。なんとなく私も座椅子から立ち上がる。最低限の距離を取るように少し後ろに下がった。
「……聞いてもいい?」
「なんだ」
「私、シャンクスとキスしたの?」
一気に不安で満たされた心。本当のことを知りたかった。
「……するわけない、だろ」
「……そう、だね」
「俺が酔った女を利用するような奴に見えるのか?」
俯きかけていた顔が反射的に上に向く。え……? と声を漏らせば、俺はそんなことは絶対にしないとシャンクスが言った。
「……だが、そこの男が酔ったお前を自宅に連れて帰ろうとしたものでな。ついてきた」
ふん、とローに睨みを聞かせるシャンクスに俺だってそんなことはしねぇよとローが呟いた。ブスッとした顔がちょっと可愛かった。
「シャンクス」
「ん?」
「ありがと」
「礼はいいって」
ニコリと笑う彼の顔は私の心を安心させる。うん、そう言って笑って返せば送るから髪乾かせよとシャンクスが笑ってくれた。
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150613 End.
Afterword
原作ではまず関わることのない二人だからこそ、ここで書きたくて書いちゃいました。シャンクスは先輩。ローは同級生。先輩に憧れている未だにちゃんと恋愛したことのないヒロインが主人公です。ローはシャンクスのことが気に入らないんですけど、シャンクスはとっても分かりやすいローがわりと好きだったりします。そんな余裕ぶってるシャンクスも気に食わないロー。ロー可愛い。すごくいじめたい。
どうなるのか。まったくもって分からないです(^^;; けど、もう少しローをいじめたい気もしたり……笑
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