第10話 そうして恋は叶ったのです。

曲が終わって、なまえの姿を探した。見当たらない。すぐ近くにいた連中に白い髪の女を見なかったかと聞いて回り、なまえが向かった先を聞いて回った。

階段を一階分上に上がった先、城のベランダ。目を凝らして見れば暗闇にとけ込んでいるなまえがいた。黒いドレスは狙っているのかと言いたくなる。砂漠の夜は冷える。薄着のカクテルドレスのまま自身の肩を抱き、頭を垂れているなまえの姿にフッと笑みがこぼれた。隠すことなく、堂々と靴を鳴らして近づいていく。今度逃げるような素振りをしたらもう遠慮せずに捕まえてやると心に決めていた。しかし、そんな俺の決意とは反して、なまえはこちらに気づいても逃げようとはしなかった。

「……クロコダイルさん、ですか?」
「……あぁ」

「どうしてそんなに私を追いかけてくるんですか?」
「……さぁな」

「ずるいです。肝心なことは言ってくれないんですね」
「…………」

「ずるいです。っ、男の人は本当にずるいです!」
「なまえ、何があった?」

「別にどうってことないです。……信じていた人が海軍をやめて海賊になってしまっただけです」
「……それで?」

「私知らなかったんです。あの人が海賊になっただなんて! それで、ある日の会議でその人の名が、顔が手配書に載っていて……裏切られたと思った……好きだったんです。同僚で、上司で一緒にがんばってきていて。ある日海軍を辞めるって言い出して。でも私は彼が決めたことならって、……でも、でも!」
「なまえ、」

「ずるい、ずるいです! 言ってくれたらよかった。本当のことを話してくれたらよかった。なのに……」
「落ち着け、なまえ」

震える肩に上着を掛け、その上から肩を抱いてやる。そうするとたまらず泣き出したなまえがこちらを向いて言った。

「ロシ……ロシナンテさんだって、ロシナンテさんだって!」

嫌な予感は当たっていたかと、納得するように一人うなづいた。

「中将がどうした」
「彼、海賊で……っ、」

「なまえ、俺も海賊だ」
「っ、…………」

「でも俺はお前に隠したりはしていない」
「でも、所詮、一緒になんか……」

「なまえ、お前海軍やめろ」
「へ……?」

「そんな苦しそうな顔してまでそこにいる必要はねぇだろ。俺の元へ来い」
「クロコ、ダイル……さん?」

「もういい加減、振り向いてくれ。俺は十分すぎるぐらいお前にアプローチしだろう? 気づいてねェとは言わせねェよ」

なぁ、なまえ。気づいているんだろう。俺の想いにも、お前自身の想いにも。

「っ、」
「なまえ、素直になってくれ」

「クロコダイルさんッ!!!」

コツン、コツンとこちらに向かって進んだ足音。迎え入れるように腕を伸ばし、ボスンッと抱き止めてやる。ゆるゆると遠慮がちに背中に回せた腕に笑みがこぼれてきてしまう。あぁ、ようやくだ。ようやく……

「なまえ、ずっと好きだった」

腕の中では何度も首を縦に振るなまえがグズリと鼻をすすっていた。この女にはつくづく手を焼かされる。こりゃあ最後に行き着くまでに何年かかることになるやら。……でも、それでも俺はお前が欲しいと、あの時、お前を見た瞬間からそう思った。

「……キス、したいんが」

全力で首を横に振る姿に無理か、と頭を優しく撫でてやれば「もう少ししたら……」と小さな声。ぎゅうと背中に回る腕に力が入った。ハハッと声が出る。

ようやく手に入れた。

 

 

 

151205 End.

Afterword

十万打hit企画「片思いヤローども」、結衣さんからのリクエストで書かせて頂きました。

クロコダイルが海軍夢主に一目惚れして猛アタックするけど、海軍夢主はクロコダイルの事を意識してなくて、振られても振られてもめげずに猛アタックするクロコダイルに夢主が徐々に惹かれて行って最終的にくっつく。というリクエストでした!

ひたすら猛アタック!!ってしていたらあれエロくない?クロコダイルなのにエロくないよ。どうしよう、いいのか、これ。とわたわたしながらのアップになりました。

エロくするって宣言したくせにすみません!!振られても振られてもへこたれない社長!!ふふふ、書いていてとても楽しかったです。ん?ってなる謎なところは敢えてです。誰のことか分かって~(>‐<)!!って思いで書いてます。分からなかったらごめんなさいw

よろしければ是非またご参加下さいませ。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!