Please tell me how to step up

第10話 そうして恋は叶ったのです。

曲が終わって、の姿を探した。見当たらない。すぐ近くにいた連中に白い髪の女を見なかったかと聞いて回り、が向かった先を聞いて回った。階段を一階分上に上がった先、城のベランダ。目を凝らして見れば暗闇にとけ込んでいるがいた。黒いドレスは狙っているの…

第9話 幸せを願って笑いましょう

「少尉、少尉!」「っ、」「少尉!」走り抜いた先はパーティー会場からかなり離れた場所にある東門だった。私の姿を確認した部下たちが「どうしたのですか、何があったのですか?」とかけ寄ってくれる。何も言わなかった。何も言えなかった。涙が出た。ごめん…

第7話 どうしようもなくて泣きました

……そうは思ったけれど、現実的に考えて。いや、普通に考えて、会うのが気まずい。できればしばらくは会いたくない。運がいいことに、現在私がいる駐屯地砂漠の国、アラバスタ王国はとても広く、管轄エリアが数グループに分かれていた。そして、少尉というこ…

第5話 このままでも、と何度も考えました

過去に海賊と何があったのかは分からない。ただの心の中にある海賊との間に引かれた一本の線。その線は今の俺にとってはとても分厚いもので、想えば想うほど、その線は壁になりどんどん厚くなっていっている気がした。 砂の国に戻って数ヶ月。公務のために出…

第4話 君の些細な言葉に一喜一憂します

ハッ、と気づいたときにはもう……酒場にいる客全員の注目の的となっていた。しまったとカウンターの方へ視線を向ける。心底嫌そうな顔でこちらを見る青雉、びっくりしたと目を点にしている。面倒な事になったと眉間に皺を寄せている野郎弟。売り言葉に買い言…

第3話 時には醜い感情とも闘います

会議後、決して悟られることのないようにゆっくりと、いつも以上の余裕をもった歩みで壇上の側へ歩き、タンタン、と残った資料を集めている女の近くまで寄った。ようやく、ようやくだと思った。「てめぇ、名は?」「はい?」「名を教えろ」「えっと、……です…

第2話 二人の間にある距離が切ないのです

白い肌。赤い唇。白く長い髪は結い上げられ、うなじが誘うように見えた。横髪は頬を隠すように垂らされており、まるで近しい者にしかその横顔を見せるつもりがないと言われている気がした。もちろん真正面の顔なんてもっての他だ。それを堪能できるのはあの女…

第1話 恋に思い悩む日々です

それは本当に突然の出来事だった。どうしてもこの目の前に佇む部屋に入らなければならず、眉間の皺を深くしながら扉を開く。立場上、招待されたからには参加せざるを得ないパーティー。何か面白いものはないか。気晴らしを探し、辺りを見回す。部屋の中程に向…