第9話 そうして恋に落ちたのです。*

「えっとーー……」
「どうした?」

入ろうか、やっぱり引き返そうかと気を揉んでいる様子のなまえを優しく見つめる。おそらく、この一線を越えるのが怖いのだろうな。そこはやはりまだまだか。

「やめてもいいぞ。その代わり、俺は部屋で仕事をするがな」
「ちょっ、そんなの駄目です! 中将は働き過ぎなんですから、休日ぐらい休んで下さい!」
「なら、入って来てくれるか?」

眉尻を下げて困ったように笑うと「う……」と声を出したなまえの視線が彷徨う。少し意地悪だっただろうか。

「……分かりました」

コツン、コツン。これは大きな一歩と言えるだろう。なんせ、なまえは初めて俺の私室に来たのだから。

「では行こうか、なまえ少尉」
「あの、少尉はちょっと……」
「では、君も」
「あ……」
「ん? どうした」
「……も、もんが、さん」

名を呼ぶだけなのになんでそう照れくさそうに呼ぶのか。おかげでこっちまで恥ずかしくなってきてしまった。悟れないように背中に手を当てて急かすようにリビングへ招き入れた。

コーヒーを運びながら、二人掛けのソファにちょこんと座り、借りてきた犬のように動かないなまえを流し見る。普段の戦闘態勢を見ているせいか、とても可愛らしく見えた。

「普段からこれぐらい大人しくしておいてくれたら助かるのだが」

コトリ、とテーブルにカップを置きながら言う。

「ありがとうございます。……私ってそんなに迷惑かけていますか?」

ふむ、と一声。なまえの隣、どっしりとソファに腰を置くとギシリと軋み、深く沈んだ。その拍子で体勢を崩して倒れてくるなまえの体を優しく受け止めてやる。

「わ、ごめんなさい!」
「いや、いい」

余計に体が固まってしまったようで、湯気を上げるカップに手を伸ばすことすらできないようだった。可愛い奴だ、本当に。

「迷惑というか……、この前も外回りの時に一人突っ走っていっただろう?」
「あ、あれは……私はロギアなのでみんなが出る前に陽動して敵の注意を引きつけようと……」
「いやいや、それでは味方もお前に釘付けで困るだろう。お前が飛び出していった後を慌てて追いかけていく野郎が多くて困った」
「もしかして……中将もそれに入っています?」
「……そうだ。少尉」
「あっ、すみません。モモンガさん」

クスリと笑う様子になんだかこちらが意固地になっているような気がして苦笑してしまった。やはりなまえが絡むといかんな。

「まぁ、結果は知っているだろう」
「はい、気がついた時にはもうすでに背後にモモンガさんの背中があって、とても安心しました」
「……怖いなら出ていくな」
「……怖いけど、これが私の役目、ですので」
「違うな」
「はい?」

「……俺が怖いんだ。パッと目の前からお前がいなくなってしまうと思うと」
「……」
「また捕虜にでもされたら、そんなことを考えてしまう」
「そうだったんですか……」

「だから、なまえ」

ズィッと体を寄せてなまえの頭を胸の中へ入れた。

「もう前線には出ないでくれ」
「……分かりました」

ギュッと服を掴むとなまえは顔を上げた。モモンガさんがそう言うなら、そうしますと彼女は笑った。

「ありがとう」
「いいえ。今まで私はモモンガさんに支えられてきたんです。今度は私がモモンガさんを支える番です。大人しく、後ろで貴方を支えますね」

それでどうでしょうか? とにっこりと笑うしぐさにキュッと胸が締め付けられる。

「なまえ、悪い。我慢できそうにない」
「え……?」
「今日はきちんと見送るつもりでいたんだがな。無理だ」
「え、ちょっ」

怪しい雰囲気に抵抗し始めたなまえを腕の力で胸の中に止めておく。

「なまえ、愛している」

それを完全に押さえるのは耳元で囁くだけで十分だった。パタリと止んだ抵抗に首を傾げながら体を離すと耳元まで真っ赤になったなまえがグイグイと胸に顔を押しつけていた。

「顔、上げろ」
「いやです」

「……キスしたい」
「っ、もっとイヤです!」

「どうした、嫌いになったか?」
「そ、そんなっ!!」

そんなことない! と慌てて顔を上げる様子に口元が綻ぶ。俺の表情を見たなまえがしまったという顔をしたところで透すかさず顔を寄せて啄むようなキスを一度。

柔らかな唇が重なり、離れる。無言のなまえの様子を確認するように視線を向けると視線が絡んだ。はにかむように笑うと、にっこりと笑った彼女がゆっくりと目を閉じた。

了承と取れる彼女の行動に胸が跳ね上がる。たまらず重ねた唇。今度は軽くでは済まない。深く強く何度も角度を変えて重ねた。重ねる度にそれだけでは物足りなくなってきて、彼女が甘い吐息を漏らす隙をついてヌルリと舌を入れる。

「んっ!?」

なまえの体が跳ねる。甘い口づけに溶かされていく。息が続かずたまらず離れようとする彼女の肩を両手でがっちりと掴んで逃さない。

「ふわっ……、ん、モモンガさんっ……」

間髪を入れないキスの雨に緊張は解きほぐされ、なまえの体からは完全に力が抜けていた。ついに抵抗をしなくなったその様子に少しやり過ぎたと反省する。

「なまえ」
「ん、」

ぼぅ……とぼんやりとした視線がこちらに向いた。相変わらず強く打ち続ける鼓動が五月蠅い。年甲斐もなく興奮してしまう。

視線を下げて首元へと顔を動かす。かすかな鼻息が首筋に当たるだけでなまえの体はぞくぞくと震えた。そこを舐めた瞬間の彼女の反応を考えただけでカッと熱くなる。躊躇うのは、この先を知ってしまったら俺はもうきっと、彼女を離すことができなくなるだろうと思ったから。自分でも止められなくなるだろう。

「なまえ、愛している」

その囁きは覚悟だった。これから一生愛する、その一歩を今日踏み出すのだから、必要だと思った。

そこからはもうあっという間だった。首筋にゆっくりと舌を這わす。

「んん、やっ……」

なまえから発せられる声すべてが俺を誘っているようにしか思えなくて、何を言われてもぞくぞくした。

「待……っ、んんっ……」

シャツの下に手を入れて、腹に手を這わす。同時に首筋を下から舐め上げれば、身悶えるなまえがぎゅうと俺の服を握りしめた。肌の柔らかさに喉が鳴る。腹、くびれと徐々に手を上へ上へと這わしていく。もう少しで膨らみの端に着くというところで、なまえが声を上げた。

「怖いっ……」

溜まらず強く抱きしめた。

「あぁ、悪い」
「んん、」

ピッタリと体をくっつけるとなまえは吐息を漏らす。もう誘っているだろうとしか思えなくなってしまっている俺は頬に手を置いて、なまえの顔を上へ上げさせた。

「愛している、なまえ」
「ん、私も」

にっこりと笑う笑顔に蕩けそうになる。にへへと笑うその隙をついて、再度服の下に手を入れる。今度は一気に膨らみに手を伸ばした。

「待っ……、っ!?」

もみしだく暇もなく、先を見つけて何度もはじく。逃げようとする顔も片手でガッチリとホールドしてその表情をジッと見つめた。切なげに歪められたその表情は甘い刺激に嬉しそうに悶え、同時に認めたくない刺激に必死で抵抗しているように見えた。そんなところを見せられて引き下がれるわけがない。

深い深い口づけを再度。継続して先への刺激を続ける。極端に間隔の短くなった息継ぎ。その度に漏れる声を聞く度に脳が支配されていくのを感じた。

ぐったりと胸に寄りかかってくるなまえの頭をひと撫でし、体の下に手を入れて体を持ち上げた。そのまま寝室へと連れていく。ぎゅうと体にまとわりついてくる体温に愛しさを感じる。ベッドに降ろすなり、先を急ぐように服を脱がしていく。もうこちらが限界だった。

服を丁寧に脱がしていく。恥ずかしがる様子も堪らない。現れた膨らみの先端を口に含み、ころころと転がせば、ひときわ大きく声が上がる。たまらず頭を抱え込んでくる。その隙に押し倒して、ズボンもショーツもすべて脱がせてしまった。

手を腹から這わし、下へと下げていく。一度太股サイドを通り、今度は下から上へと。太股の内側に這わせていった。ぞくぞくぞくとなまえの体が震えた。口を離し、その顔を確認するように覗き込むと、なまえは両目を涙でいっぱいにしていた。

「怖いか?」

なまえはゆっくりと頷く。そういう正直なところは嫌いじゃない。そうか、と言い、今度は優しい口づけを数回繰り返す。

「ん……」

ジッと上から顔を見つめつつ、太股に置いていた手の動きを再開させた。

クチュ――

「ん、やっ……」
「どうやら、濡れているようだな」

目を細めて見れば、思わず自分の両手で顔を覆ってしまうなまえ。可愛くて仕方がない。

「気持ちいいか?」
「や、意地悪っ!!」

想像以上に良かったようで、ぐっしょりと濡れている秘部に思わずニヤリと笑ってしまう。まったく、男というものはいかんな、と自分で思う。

「なまえ、顔を見せてくれ」
「や!」

「なら……」

十分に濡れているそこへゆっくりと指を入れていく。

「う、んっ……」

驚いて両手を顔を離したなまえの顔を覗き込む。ばっちりと目が合うとなまえの顔が一気に真っ赤に染まった。

「可愛いな」
「っ、そういうことサラッと言うのやめて下さい」
「……可愛い」
「んなっ! やめ、ん、ちょっ……」

クスクスと笑いながら、体を下に下げる。少し力を入れて油断してるなまえの足を開かせる。指を増やし、クィッと中を刺激するように動かせば、なんだかよく分からない刺激になまえは声を上げた。

初めてでいかせるのは無理だろう。早々にそう判断し、自身の服を脱ぐ。その様子を不安げになまえが見ていた。それもこちらにとっては熱の元となってしまう。本当に俺はどうしよつもないやつだな……。落ち着けと自身に言い聞かせつつ、言葉を選んでいた時だった。

「……モモンガさんならいいです。なので、遠慮しないで、下さい」

まったく、お前には敵わないな。ぎゅうっと体を抱きしめてやる。肌と肌が擦れ合うのはとても心地が良く、嬉しそうななまえの笑顔にこっちの方が嬉しくなってくる。ようやく、一つになれる。ゆっくりと頷くとなまえも頷き返してくれた。

熱い――

顔を歪めても決して声を上げようとしないその姿に苦笑する。

「痛いときは痛いと言え」
「……痛い、けど。でも、それよりも嬉しくて……」

入りきったところで体を寄せて何度も口づけを交わした。その度に中が締まるのが分かり、手に取るようになまえの興奮が伝わってくるのが嬉しかった。

唇を離し、ゆっくりと動き出す。徐々に慣れてくる。正直、こちらはキツいものがあったが、その度に止まり慣らすように心がけた。そう成果のおかげか、だんだん甘い声が漏れだした。

「ん、……んはっ……」

だがそれも俺にとっては刺激なので、いよいよがまんできなくなってくる。なまえの頬に手を伸ばし、いいか? と確認する。そうすると、うんと強く頷いてくれたなまえ。中がキュゥッと締まった。

「っ、」

はぁ、はぁ、と息を吐き出すなまえは嬉しそうに笑う。徐々に戻りつつある熱になんとか蓋をして落ち着かせ、なまえの頬に軽いキスを落として微笑みを向けた。そうして腕の中になまえを入れて一緒に眠りについたのだった。

 

 

151101 End.

 

Afterword

十万打hit企画「片思いヤローども」のリクエストで書かせて頂きました。

取り敢えず戦桃丸が男前!!笑 うひゃ~書いていて恥ずかしかった~。モモンガさんに抱かれるってきっとこういうことなんだろと思いながら。もう完全に私の願望っていうね。すみません。

リクエスト内容は能力者ヒロインがモモンガと出会い、誤解や行き違いから大将とモモンガの間で揺らぐ。最終的にはモモンガ落ちで両想い。R18有り。でした(^^) こ、こんな感じで良かったでしょうか?今の私の全力で書きました!気に入って貰えたら幸いです。ではでは、また遊びに来てくださいね~(^^*)

151101 End.

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