「ロー……」
「なんだよ」
「今日のロー元気ない?」
「あぁ? なんでだ」
「だって、いつもより早かった」
「……おい、もう一回やってやろうか?」
「ご、ごめっ!!」
とっさに身を引いて構えたが、ローはこちらに掴みかかってくる様子もなく、天井を見つめていた。
「ロー?」
「……お前の言う通りだよ。ちょっと疲れた」
だから、ここに来たんだ。そう言うと、離れていた私の体を包み込むように抱きしめてくれる。
「……そうなの。なら、役に立てて良かったよ」
クスリと笑って、私はそのまま目を瞑った。
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「ロー、またね」
いつもの着物に着替えた私はお見送りをするために甲板に出る。前を歩いていたローにそう言えば、あぁと素っ気ない返事。ローが見つめる水平線を私も見つめる。そろそろかな。カチリと時計が刻んだ時間ぴったりに海がボコボコと泡を立て出す。瞬きをして、再度目を開けばもうそこにはローの海賊船が浮上していた。
ガタンッ――
開いたところから数人のクル―が出てくる。キャプテンー!! と呼ぶ声と振られる手。疲れたとか、何言ってんのロー。こんなに愛されているじゃない。
「ロー、呼ばれているよ」
「ったく、アイツら……叫ばなくても見れば分かるだろう」
ガシガシと頭をかくローに笑みがこぼれる。
「なまえ、じゃあな」
「うん、また遊びに来てね」
いつものように笑って手を振る。いつものならそれに答えることもなく、ローは振り向いて小舟に乗り込むのに、今日はなぜか立ち止まっていた。
「どうしたの、寂しくなった?」
からかいのつもりで言ったのに。ローの顔は切なげに顰められていて、私は息を呑んだ。どうしたの、ロー?
「もし、この仕事が嫌になったら……俺らのところに来いよ。お前ならいつでも歓迎してやるよ」
私の返事を待つことなく、自分の言いたいことを言うだけ言ったわがままローは、振り向き小舟に乗って船へと帰って行った。
「ありがとね」
ジワリと目に涙が浮かぶ。でも、その言葉だけで十分だよ。私は……誰か一人のものにはなれない女。……ローに迷惑かけたくなんてない。だから、ずっとこのまま、ここにいるよ。
「大好きだよ、ロー……」
150423 End.

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