Eagle EyeⅢ

第36話 サー・クロコダイル

「うわぁ~! すっご~い!!」目の前にそびえる建物はレインディナーズ。クロコダイルの経営するカジノだ。バナナワニがどーんと乗っている建物は、個性的で目を引く。思わず見上げて立ち止まった。「さん、服着て下さい!!」「え、いいよ別に」「いいえ、…

第35話 不器用な正義

部屋に入ると、待ち構えていた海兵がすっと手を差し出した。何も言っていないのに、「お預かりします」と、邪魔になる武器とコートを受け取ってくれる。ぽかんとしたまま、されるがままにそれらを預ける。丁寧に扱われる様子を目で追っていると、コートは部屋…

第34話 束の間の寄り道

それからしばらくの間、島を転々としながら、時折かかってくるセンゴクさんの要請に応じて海賊を討伐して回った。沈めた海賊船の数を数えてみたら結構いたので海軍に十分貢献できていると思っている。幸か不幸か、私にその気がなくとも、自動的に隣にいる彼が…

第33話 正義はどこへ向かう?

 ぶるぶるぶるぶるぶるぶる 「いいかげん出たらどうだ?」「…………」無言を返すに向かって「もうウンザリだ」と、ミホークが珍しく弱音を吐いた。「…………だって、怖いんだもん」「…………」ふんっ、と肩を落として鼻息を吐いたミホークが呆れ顔で首を…

第32話 海軍中将と誘拐犯

数日後訓練を終えて、自室で中休みを取っていたときのことだ。休憩が終わったらクザンの執務室に行って、たまっている書類を……と考えていたら、備え付けの電伝虫が鳴った。電話の相手はクザンで、ちょっと執務室へ来いと呼び出された。ちょうどこの後に行く…

第31話 空いた隣席

「……コビー?」ぼやけた視界に映り込んだピンク色に知った人の名前を呼ぶ。ぱちりと瞬いた横顔がゆっくりと動いた。あぁ……やっぱりコビーだ。はっきりと映った彼の両目は、真ん丸と見開かれた後に緩やかにカーブした。優しい笑顔だった。「……良かった。…

第30話 数ヶ月後、海軍本部にて

数ヶ月後、海軍本部 「ちょっと、センゴクさん!」勢いよく扉が開く。ズカズカと部屋に踏み込むと、机に向かっていた当人が面倒そうに顔を上げた。「なんじゃ、」「あれはなんですか!」ふぅ、と息を吐いたセンゴクさんの机の上に、抱えていた書類をドカッと…

第29話 待つことも剣のうち

ミホークのいる部屋に戻って来た。鍵のかかっていない扉はすんなりと開く。部屋に入り、扉を後ろ手にゆっくりと閉めた。彼は窓際のソファに腰掛けて新聞に目を通していた。私が駆け寄っていかない時点で、結果を察しているのだろう。「…………どうなった?」…

第28話 重すぎて吐きそう

朝。 扉を叩く音で目が覚めた。薄暗い部屋。ぼんやりした視界。そして隣には、静かに寝息を立てるミホークがいる。軽いノックがもう一度響く。小さくて控えめだけど、遠慮のないリズム。「中将、在室でしょうか」この感じは伝令だろう。 こういう人たちは、…

第27話 愛する人と共に

ゴーン、ゴーン鳴り響く柱時計。日付が変わった。本当なら今頃ミホークと共に肩を寄せ合っていたはずなのに。つい数時間前のパーティすら、もう他人事みたいに思えてしまう。……なんて虚しいんだろう。時間は誰にでも平等に流れる。でも、どう感じるかは人そ…

第26話 私に選ぶ余地はない

過去のことだ。たった一回。これはその一回のときの話だ。ヒヒの群の中に当時の私と、ほぼ同レベルのヒヒがいた。そのヒヒとは来る日も来る日も戦闘を繰り返した。何十日も。私は自分の力をものにするために、ヒヒに何度も麻酔弾を打ち込んだ。何百回目のこと…

第25話 強がりの独りぼっち

キュポンと可愛い音が聞こえた後、どのくらい経ったのだろうか。目を開いたら、まだ存在する自分の意識に首を傾げた。あれ……? 私、死んだわけじゃなかった……? 体が膜のような何かに包まれている。触れると柔らかく反発してくる。透明な膜の向こう側、…