おつるさんの攻撃をかわして私たちは本拠地に戻った。あのローさんの事件があって、それ以来ドフィはろくに口を聞いてくれなかった。
「……ドフィ」
今もだ。
ドフィは自室に籠もり、淡々と情報を読み、計画を作り、必要があれば指導者としてみんなの前に姿を現す。そして指示を出してファミリーのみんなを守る。やっていることは今までと変わりないのに、なんだか様子がおかしかった。延々とまるでロボットように彼は動いていた。正直、見てられなかった。心配で、毎日ドフィの部屋を訪ねて、毎日飽きることなくドフィの名前を呼んだ。一日一回、反応がなくても必ず呼んだ。
今、彼は心を閉ざしている。
きっとドフィ自身も苦しんでいると思う。あの事件から2年が経った今でも、彼は苦しんでいた。
ちらり、と私の方を見たドフィの目はすごく孤独に見えた。返事はなかった。でもそんなこと気にせずに、いつものようにソファに座った。すると、ドフィが言った。
「なんで黙っていた?」
「……何の話をしているの?」
「あいつの話だ。海兵時代に会っていたんだろう」
「だから言ったじゃん。同じ人とは思わなかったの」
「じゃァ……あの日、なんで奴にキスをした……」
…………気づいていたんだ。
「…………そりゃ、裏切り者だけど、その前に友として、同じ釜の飯を食べた仲だったから」
「……それだけか?」
「それだけって、…………あーうん。そうね、私がおつるさんのところにいて、ローさん、いや。コラソン、あ、違った。ローさんがセンゴクさんのところで、兄貴分みたいな感じで……すごく、よくしてもらっていたの」
「…………もういい、……出ていけ」
「え、何急にっ?」
「……出ていけ」
「……どうしたの? ドフィ……」
「気安く名前を呼ぶんじゃねェよ」
「ちょっ……!!?」
急に立ち上がったドフィが能力で私の体を縛り上げた。強制的にその場に立たされた私の前に彼が立つ。
「ドフィ……?」
首を傾げて、目を細めて、ドフィを見た。
「俺は…………なんだ?」
「えっ?」
トンッ――とドフィの片手が私の肩を押した。ドサッと体が倒れてソファに沈む。彼は体を折って私の上に覆い被さった。彼は顔を首元に埋めて、舌で首筋をねっとりと舐めあげる。
「っ、!?!?!?」
体をバタつかせるとドフィは両手で私の肩を押さえ込んで、そのまま私にキスをした。がむしゃらに何度も何度も……私の唇に彼の唇を重ねた。激しく熱く。
「っ、ふッ――――」
そのうち、唇を割って入ってきた舌が口内を這いまわり、呼吸を乱していく。器用に歯列をなぞられればぞくぞくとした感覚に背筋が伸びた。ゆっくりと離れていったドフィの眉間には深い皺が刻まれていて、体全体で酸素を取り込みながら彼を見つめ続けた。
「あいつとこんなこともしたのか……?」
「は?……ちがっ……っ、――やっ、ドフィ!!!」
その細くしなやかな指が頬を撫で首を撫で、何度も何度も体のラインをなぞった。シャツの隙間から、少しひんやりとした手の平が入ってきて腹を撫でた。その手はすぐに上へと上がってきて膨らみを触った。
「や、んっ……まっ、ドフィ!!!」
彼は待たなかった。先にある突起を探し当てて丁寧に何度も何度も触れる。じんわりと涙が浮かんだ。私が望んだのはこんな関係じゃない、そう思ったから涙が浮かんだ。
彼のもう片方の手が太股を撫でたとき、ぎゅっと目を閉じた。そうして腹をくくろうとしたときだった。その手が太股から離れて、私の頬を撫でた。
「…………悪いな」
目を開いた先にあった彼の顔は悲痛に歪んでいて。さっきまであった恐怖が一瞬で吹っ飛んだ。ゆるゆると首を横に振って笑ったらドフィが両目を見開いて、両手を縛っていた彼の糸が緩んで両手が解放された。その手を彼の頬に持っていって、サングラスをゆっくりと外した。
「私の方こそ、ごめんなさい」
貴方が傷ついているのに、あんな言い方しかできなくて。側にいるのに孤独にさせてしまって。…………ごめんなさい。
その日、私はドフィと体を重ねた。

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