「あ……どうも」
次のお相手は、白髭海賊団に来たばかりのときに一番に探し当ててくれた十六番隊隊長のイゾウだった。
「俺でいいのか……?」
心底不思議そうに首を傾げていらっしゃる。……にしても、その佇まいは本当に優雅で、着崩した『着物』という服が大変よく似合っていらっしゃる。
「えぇ、はい」
顔なんてもう見目麗しく、私なんかより大変お美しい。その分厚い胸板が見えていなければ女性だと言われてもおかしくはない。この人はどういう風に抱くのだろうか……と、まったく想像も付かなくって、悶々と考えてみる。確かワノ国の出身と言っていたはず。ワノ国のことはあまり詳しくないけど、『奥ゆかしい』という言葉があるらしく、控えめなところがあると聞いたことがあった。……ということは、優しい……? ということになるのだろうか。でも、優しさにも色々と種類があるし…………。うーん。分かんないなァ。
「……熟考しているところ悪いが、今夜は月見酒とでもいくか?」
「月見酒、ですか?」
「あぁ……満月だそうだ。きっといい酒が飲める」
「それはいいですね……」
お酒の味には五月蠅くないが、最近は慌ただしい毎日になっていたのでここで少し羽根を伸ばしておくのも悪くはないかもしれない。主のルールもはっきりと分かったし。これまでみたいに、欲情でコントロールが効かなくなるようなことは起こらないだろう。
「そうと決まれば……」そう言って、イゾウは部屋から出て行った。お酒の準備に行ったのだろうなと思ったので、私はベッドに横になって一休みすることにして目を閉じた。
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次に目を開いたとき、私は甲板にいた。
「あれ……? 私、ベッドで寝たはず……」
「あー起きたか」
真上から降ってきた低声。イゾウ……? 恐る恐る顔を上げる。ぴとりと頬についたのは、恐らくイゾウの胸板だ。そして、私の目の前には彼の腕があった。背中にはぬくもりが感じられる。…………つまり、私は座り込んだイゾウの体の中に抱き留められているということらしい。
「あの……あれ、どうしてこんなことに?」
「月見酒するって言ったのに、どっかの誰かが寝ていたもんで、悪戯して起こそうとしても起きないし、もういっそ抱えて行った方が早そうだなと思ったものでな」
「…………それは、大変失礼を」
「いや、別にいい」
その言葉の通りなのか、聞こえてくる声はとても軽やかだった。
「上を見てみろ」
「わっ、すごいですね……!」
真ん丸のお月様が、私たちを見下ろしている。雲一つ無い夜空には星々が小さな光を放っていた。
「今夜は月が明るいからな、星がいつもよりも小さく見える」
「そうですね~」
満月というものをこうしてじっくりと見たのは初めてだった。目に映る景色はただそこにあるだけで私を圧倒し、魅了した。瞬くことすら忘れるくらい、その美しさ、壮大さに圧倒される。
「酒は飲める口か?」
「えぇ……はい……」
フッ――と緩い声が聞こえた。首筋を撫で上げられて背筋が伸びる。そこで初めて気のない返事を返していたことに気が付いて慌てた。
「あ……すみません。つい夢中になってしまって」
「いやいい。情緒があることはいいことだ。そういう相手の方が俺も好きだからな」
トクトクトク――酒が小さな器に注がれていく。お猪口というらしい。注いでいる方は徳利だそうだ。彼の、イゾウの国では酒を一度これに移してから飲むそうだ。可愛らしいサイズに見えて結構入るらしい。1つあれば今夜は十分だろうとイゾウが教えてくれた。
薦められた日本酒というものを口に運ぶ。
「……どうだ?」
「すごく、飲みやすいです……」
お酒なのに、澄み渡るような、綺麗な水を飲んでいるような、そんな爽やかさがあった。あとからくる強いアルコールも、ウィスキーとは少し違う力加減で、とても美味しい。
「それは良かった」
嬉しそうに弾んだ声が降ってくる。その顔が見られないのが残念ではあるが、声だけでも彼の人柄の良さは良く分かった。主のことをきちんと理解しておくことは大切だと、ここ数日で思うようになった。確かな理由というものはないが、その方がより力の吸収がうまく出来るような気がするのだ。
そう――私は、完全でないが、過去の主の力を僅かながらに保持することが出来るようになってきていた。それに気が付いたのは本当に、つい先日のこと。
マルコが主になったとき、ベッドの中で話をしていたときのことだった。彼が、俺は悪魔の実の能力者で、トリトリの実 モデル“不死鳥――という実を食べていると教えてくれた。実際に目の前で変身してもらったときの感動は忘れない。なんと可愛いことか。その時に、エースも悪魔の実を食べていると教えてもらって、彼は、メラメラの実――というものを食べていると教えてもらった。ほほう、マルコもエースも炎を司っているらしい。一度でいいから、炎を操ってみたいと思っていたんだよね。そう思いながら、人差し指を立てたら、指の先から炎が出た。
当然、私もマルコも吃驚仰天で、先ほどの行為でマルコに主が移っていることは確認していたということもあり、これは以前の主の力を引き継いだのだと、話がまとまった。そうだ、私の力は進化したらしい。
マルコは、今の能力が力の一端である可能性は充分にあると教えてくれた。……なるほど。つまり、これから先、どんどん進化を続けていけば、いずれは主が必要なくなる日がくるかもしれない、…………なんて、そんな淡い期待を抱いた。そうと来れば……! やることはひとつ。能力の進化の要因となったであろう、主の頻繁な移行。それを繰り返す他はない。ならば、とことんやってやろうではないか。
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月見酒を終えて、私とイゾウは停泊していた船内から、島の宿に移っていた。イゾウは船内ではやりたくないらしい。出来れば島の宿がいいというので、ご希望にお応えすることにした。私もその方が嬉しいし。横やりが入らない安心感、あとは、金はかかるが、しっかりとしたベッドがそこにはある。
「体力はある方か?」と聞かれたとき、えぇはい、何となく気付いてはいました。この男は、丸一日私を抱く気なんだということに。……でもまさかだからと言って。
「…………すごい部屋ですね」
「……そうか?」
「えぇ、はい」
通された部屋は、想像していた宿屋の遙か上。大きなベッドに、浴室まで付いている。
「これ、浴室が丸見えなんですが」
「当たり前だろ。そういう宿なんだから」
「…………え?」
「一日やりっぱなしになるんだから、この方が都合が良い」
「…………えぇ?」
「はじめに言っておくが、俺は基本的には女は抱かない主義だ。だが、必要に迫られたとき、あとは相当気にいった女がいたとき、抱く」
「あぁ……はい」
「なまえ……」
「はい」
「俺はお前さんのことがいたく気に入った」
は? の口を象ったまま、私はすぐ隣に立っていたイゾウのことを見上げた。ほんの数日前に出会って、たった一度、月見酒を飲んだ――ただそれだけだというのに? 私は混乱していた。
「お前さんの佇まいだとか、話し方だとか。考え方、そういうのに共感した。だから、大事にしてやりたい」
ぐっ、と左手を握り締められて、指に指が絡められる。彼の体温が指先から手の平を伝い、腕を上って、私の心の臓まで届いた。胸が熱くなってきて、恥ずかしさのあまりに顔を伏せた。そんな風に『大事にしてやりたい』と言われたのが初めてだったので、どのように接したらいいのか分からなくなってしまったのだ。
「……なんだ、照れてるのか?」
「…………」
「可愛いところがあるじゃねェか……」
「…………放っておいてください」
「たまらないなァ……俺のことが、そんなに気になるかい?」
気になるも何も、そんな風に入れたら、誰だって照れると思う。少なくとも嫌な気はしないだろう。私なんてちょろいもので、それだけでイゾウのことが気になってしょうがなくなっていた。この人の『大事にしてやりたい』ってどういう意味なのだろうか、と。そんなことを考えてしまうのだ。どんな風に私を抱いてくれるのか。目の前に準備された、この空間はそのために彼が用意してくれたのだと考えるだけで、顔が熱くなってきてしまう。
――と、腰を屈めたイゾウが私の視界に映り込んだ。
「まずは風呂だ」
そう言うと、彼はまとめていた自身の髪を解いた。長く美しい髪が落ちていく。髪が長いのだから、女の人のようになるのだろうと思っていたが、全然そんなことはなかった。目の前に現れた長髪の男は肉々しい雄そのもので、髪先が揺れる度に見える分厚い胸板がより妖美に私を誘っているように見えた。イゾウが煩わしそうに髪を掻き上げながら服を脱いでいく。それを横目に見ながら、私も自分の服に手を掛けた。
「俺が脱がせてやるよ」
手頸を握られて、そのまま手を引かれる。ガラスで仕切られただけの丸見えの浴室の手前に二人で立った。イゾウは既にすべての服を脱いでいた。いつも思うけど、海賊の男の人って、脱ぐことに全く抵抗がない。本当に不思議だ。
一枚ずつ丁寧に服を落とされていく。その間中、彼の手の平が肌を這うように動く。もちろん視線は私の体を見ている。どこをどう見ているのかまで確認する勇気はなかったので、ひたすらに視線を落として羞恥心を堪えることしかできなかった。首の筋を彼の指の腹が撫で付ける。そこにはもう服はないのに。何度も何度も、執拗に撫で付けてくるので、抗議の意味を込めて顔を上げた。そうしたら、彼が私を待ち構えていた。双眸が私を捕らえて放さない。目を見開いていたら「ようやく見たな……」と彼が嬉しそうに笑っていた。
「っ、」
「どうした……怖いのか?」
「い、いえ……そうではなく」
もうすでに熱が燻り出してきていた。だから、このまますべての服を脱がされてしまったら、彼に気付かれてしまう。私はそれを危惧していた。
「……あの、後は自分で脱ぐので」
「いいや。俺がやる。お前さんが顔を染めているところが堪らなく可愛いんだ。もっと、見ていたい」
ぐっ、と奥歯を噛み締める。目元に涙が浮かんで来たのは生理現象だろうか。どうか、もう勘弁して欲しい。心の底からそう思いながら、彼を見つめた。くくくっ――その喉が鳴っているのが見て取れた。……おそらく、彼はもう気が付いているのだ。
そういう彼のものはまだピクリともしていない。…………何となく、納得がいかない。思わず手を伸ばして触れようとしたら、素早く手頸を掴まれた。
「……それは頂けないな。丸一日あるんだから、楽しんだらどうだ?」
「いえ、私は一発出してもらえたらそれで」
「へぇ…………」
すぅ――彼の瞳が細く長くなった。…………何となく、良くないスイッチを踏んでしまった気がする。背中を一筋の汗が落ちていって、思わず後ろに後ずさった。イゾウが一歩前に歩み出て、私の腰を緩くたぐり寄せていく。まだ履いたままだったズボンが乱雑に下ろされて、残りは上と下の下着だけとなった。
「あぁ、確かに」
イゾウがそういうと、私の目の前で腰を屈めて、本当に目の前、私の局部の前に顔を置いた。彼の人差し指が股の間をするりと撫でる。
「溢れてるな、ここ」
「っ、」
「まだ何にもしてないんだが……もうひくついてんのか。お前さん、相当エロいなァ……」
慌てて手を伸ばして見えないように手の平で覆う。
「隠したって無駄だ」
彼はそんなものはあってないものというように、私の指の上から容赦なく指を、手の平を押しつけてきた。
「自分の指で感じるのはどうだ。気持ちいいか?」
男の力で押しつけられるのだ、ぐりぐりと。もうすでに蕩けているそこを。それは強すぎない程度の刺激で、逆に己の中の「もっと刺激が欲しい」という欲求を刺激してしまう。足りない。こんな刺激じゃ全然足りない。脳みそがそれを考えたときにはもう、体は動いていた。
「自分でやるってか、俺に指を咥えて見ていろと?」
くすくすとイゾウが笑っている。……猛烈な恥ずかしさがあるのに、快感に支配されていて、自分の指を止めることが出来ない。下着の上を何度も往復する指を止めることが出来ない。恥ずかしいのに。自慰行為を見られているのに。へぇ……と一歩引いたイゾウが物見の体勢に入った。そこでようやく気付く。彼のものがぎんぎんに反り立っていた。それを目に留めた途端、足が前に出た。
「……駄目だ。お前さんはちゃんと自分で最後までしないと。自分で始めたんだから、最後まで俺に見せないと駄目だろう?」
「…………そんなっ」
「少しだけ手伝ってやるから……」
イゾウが私の下着を剥ぎ取る。そして腰を抱えて、浴室の前に準備されていたソファの上に、両足を開いてよく見えるようにした状態で、私の足を固定した。イゾウはその特等席で私を見ていた。
「ほら……いいぞ」
「やぁっ…………」
「俺だって触りたいのを我慢してんだ」
ほら――イゾウの手が私の手を掴む。そのまま、ひくつくクリトリスの上に私の指を這わせていった。
「はぁっ、んん……」
「上はあいた手で……」
上の下着もいつの間にか取り払われていて、ぷっくりと立ち上がって乳首が艶やかに光っていた。そこに空いていた手を置かれて、指先を先っぽに当てられた。
「んんっ!?!?!?」
「上を触りながら、下は穴に入れて……ほら、手が止まってるぞ」
完全なる自慰行為。それをイゾウを目の前にしてやっている。吐き出す息が燃えるように熱い。快感で身を捩る最中にちらちらと映る彼が私を突き刺すように見ていた。入れられているわけでもないのに、まるで入れられているかのように、私の芯は熱く滾っている。子宮がきゅうきゅうと締まるのが分かる。奥まで指を突っ込む度に、腹が震えて脳が飛びそうになる。……だめだ、どうしても手が止まってしまう。
「こんなになっているのに……やはり最後まではいけないのか」
あぁ……そうだった。私は、主の手でしかいけないのだ。だから、こうやって自慰行為をやっても意味がなくって、慰めじゃなくて、ただの延命にしかならなかったから、私は滅多なことではしてこなかったんだった。それを、虚ろな頭でようやく思い出した。
「…………触れて欲しいか?」
こくりと、ぼんやりとした意識の中、頷いた。
「…………欲しい」
「っ、」
イゾウの顔が、双眸が煌々と光っているのが見えた。彼が、心の奥底から興奮しているんだと分かった。それだけで私の中が波打つ。早く――早く――貴方を私に入れてください。
「イゾウ、入れて。早く。待てない。今すぐ。いっぱいいっぱい私に入れて…………お願い」
「……分かったよ」
腰を抱えたイゾウが、私の穴の中に竿を押し入れてくる。広がっていく穴の壁面を彼の亀頭がかりこりと擦っていく。一度で一息に入れてくれたらいいのに、彼は入り口の辺りで何度も何度も、カリを引っかけるようにして、私のことを弄ぶ。
「あぁっ!!!! そんなっ、お願い、奥までっ、早くっ、んんん~~~~~」
「いや……このまま啼かせたい……」
「っ、イゾウの意地悪っ、んんんん”~~~~!!!!」
「二回、達したか? おら、次はどうだ……?」
ぐりりりり――、クリトリスの皮を剥かれてそこを押し込むように刺激された。腰が跳ねると同時に、腹側に亀頭が差し込まれてぐずぐずと突きまくられる。
「あ”あ”あ”あ”~~~~!!!!」
激しく跳ねる体を、体を折った彼が押さえつけて、そのまま彼の親指がクリトリスをぐりぐりと押し込んで、そして竿を子宮の入り口にずしん、ずしん、ずしん――何度も何度も、入り口を押し割らんばかりに押しつけられる。それが最高に気持ち良くって、中と外で何度も何度も絶頂が繰り返される。あぁ――駄目だ。私、飛ぶ――。
:
:
ふわふわする。……なんでだろう。
「……起きたか」
「……ん、」
顔を覗き込んで来たのはイゾウだった。ぼーっとその顔を見つめる。
「……ごめん、飛んだ」
開口一番そう言った、笑いを押し込めるようにして、彼が笑った。
「いや、謝ることじゃねぇェよ。俺は最高に良かった。感謝してる。……お前さんは……?」
「……うん。最高だった」
今までも飛んだことはあるけれど、こういうのは初めてだった。
「…………じゃあ、もう一回、だな」
「……え”!?」

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