56:召使いの痴態

あぁ、やるならばこんなところでは駄目だ。自慢したい気持ちは未だにあるが、彼女の痴態を見られるのは我慢ならぬ。それに、女性をささくれた板の壁に押し付け、雨風にさらされ傷み切った樽の上で抱くなどと……そんなことは人攫いが行うことだ。

答えが出たところでなまえの体を、腰の下から抱き上げる。

「っ、わっ!? え、……あの、どこへ……?」

不安定な体勢に慌てたなまえが首に腕を回して縋りついてくる。甘い香り――汗と愛液が混じり合った甘美な香りが脳を揺らす。持ち帰る時間が惜しい。この場で組み敷きたい。欲望を何とか抑える。……だというのに、この女と来たら。

「っ、レイさん……! 待って!」

私に立ち止まるように言い、このまま帰られてしまったら、欲の吐き出しが出来ずに一晩苦しむことになるから、どうかこの場で抱いて欲しいと強請ってきたのだ。

「私にそんなことをやれと?」
「だって、そもそも始めたのはレイさんでしょう……?」

そう言われてしまったらぐうの音も出ない。グッと奥歯を噛み締める。……だが、こんなところで君を抱きたくはないのだ。「宿に戻ってから」と話をするよりも先に、なまえが私の顔を掴んでキスを強請る。柔らかな唇が重なり、舌がこじ開けてくる。手の平が首筋を詰り、息継ぎの合間には「滅茶苦茶に抱いて」と甘い誘惑が襲う。耐えるように目を閉じると、なまえの香りがより強く脳を冒した。理性なんぞあってないものだ。私はあっという間に彼女に呑まれた。

「あぁ……もう、分かった。……分かったよ」

だが、未だに彼女の体をさらけ出すことには戸惑いがある。私のことではない。他ならぬ、愛しい人の身体だ。見られたくない。喘ぎ声の一つだって、聞かれたくはない。そんなことを今更思ったところで…………いや、待てよ。

「…………少しの間、眠ってもらえばいいのか」
「……え?」

ぱちり、瞬いたなまえに深く口付ける。情事の最中に使うのは初めてだ。なまえといたら、この年にしても初めてのことがあって面白いものだな。半径百メートル以内にある気配のすべてを落とす――目を閉じたまま、気を張り周囲に巡らせた。次に目を開いたとき、そこにいるなまえは相変わらず乱れていた。やはり、彼女に覇気は効かない。

もう一度周囲の気配を探る。先ほどまであった周囲の気配は全て落ちていた。あぁ、これならば何の問題もない。

「……なまえ」
「ん……」

羽織っていたコートをその辺にあった机の上に敷く。そこになまえを降ろしながら言う。

「もうここで飯は食えないな」
「ん……ここって……昼間にご飯食べたところ?」
「あぁそうだ。次からはここに来る度に君の姿を思い浮かべるだろう」

その度に私の脳はおかしくなるのだ。

「……嬉しい。その度にレイさんを独り占めできるのね」
「まったく。君は本当に達の悪い女だね」
「ふふ…………ん、ふぁ……ぅんッあぁ”ッ!!!!」

ガバッと両足を開脚させる。どろどろに愛液がもれている穴に指を突っ込んだ。ぐちゅんっ、ぐちゅんっ、ぐちゅんっ、ぐちゅんっ――卑猥な音が辺り一帯に響く。

「君はなんて淫乱なんだ。外でこんなに乱れて……いけない子だね……」
「っ、だってぇ……レイさんの指、気持ちい……んんっ♡♡」

空いた指で蕾をはじく。

「はぁんッ♡♡♡」

なまえの腰が浮いて上下する。まさか外でこんなことをするとは思ってもみなかったが、存外……いいものだな。

「レイさん、もう……待てないよぉ……入れて、入れてぇっ!!!!!」

ガクガク腰を揺らして甘イキを繰り返す姿が外で見られるなんて最高だ。ぱんぱんに張り裂けんばかりに膨らんだ自身を取り出す。てらり先が光っている。もう我慢汁だけで一本が濡れ切っていた。それを見たなまえが自分の穴を指を広げて見せてくる。

「あ~早くっ♡ ここ! ここに入れてぇ♡♡♡」
「そう言われるとじらしたくなるが……私ももう限界のようだ」

下手をしたら、入れただけでイッてしまうかもしれない。それくらいに、久々の限界を感じている。グググ――穴にカリのところまで突っ込む。

「あ”ぁ”っ!! レイさんのおちんぽ、おちんぽぉ♡♡♡」

恍惚としたなまえが背を仰け反らせ震えている。

「まだ先っぽしか入れていないが?」
「っ、うそ。だってこんなに気持ちい……ぃいいいいッ♡♡♡」

イッたなまえに畳み掛けるようにして一気に突っ込んだ。ガクン、ガクン、なまえの身体が跳ねる。何度も、何度も。出し入れする度に、なまえは全身を痙攣させ、下に敷く私のコートを握り締め、快感を全身で受け止めていた。

「あ”ぁあ”ぁあ”ぁあ”ぁ~~~~~!!!!」
「気持ちいいか」
「気持ちい”い”ッ♡ 気持ちい”い”ッ♡ 気持ちい”い”ッ♡」

私もすぐに出してしまって、一旦抜こうとして、両腕を掴まれる。

「お願い抜かないで、そのまま。そのままやって!」

まるで乞食だな。飢えた獣のように、なまえは私の腕を掴み強請ってくる。

「そのまましたら腹がキツくないか」
「ううん。レイさんの精液が子宮の隅々まで犯してくれるから。それがいいの。だから、お願い。そのまま。そのまま、何度もやって♡」

何度も犯して欲しいの――おかしいかな、私は君のことを犯しているつもりなんてないんだが。彼女からしたらそうらしい。

「犯す……? 犯すっていうのはこんなもんじゃないさ。なに、君が犯して欲しいっていうのなら、本気でやってやろうじゃないか」
「っ、ふ……、ぅんっ♡ お願いぃ! 犯してぇ♡♡♡」
「ふむ。では、ここは、ここは趣向を変えて……」

「本当は、宿屋で試そうと思っていたのだがね」そう言って、懐からとある物を取り出す。

「……それは?」

はぁ――、はぁ――と息を吐き出しながら、なまえの視線が私の手元に向く。

「これは玩具だよ」
「……玩具?」
「あぁ……これをこうして……」

 

ブブブブブブ――低い地鳴りのような音が動く。

 

「……これはすごいな」

小さくて丸いそれを肉棒が刺さる上にある膨れきったクリトリスにそっと当てる。――刹那、びくんびくん、なまえの身体大きく跳ねた。

 

「っ、お”ぉんっ♡♡♡」

 

ぐったりと、その場にへたり込む。その様子に満足げに笑う。

「犯して欲しいと言ったからには覚悟してるんだろうな」

ぬめりと愛液を掬い取り、丸い玩具に塗りたくる、クリトリスの皮を捲ったところにぐぐぐ、押し当てた。今度は、外さない。

 

ブブブブブ――

 

「っ、あ”あ”あ”あ”あ”♡♡♡♡♡♡♡」

 

激しく腰が上下する。そしてそのまま腰を動かし、子宮を突き上げる。腹を手の平で押しつけて、子宮が逃げないように、何度も何度も。

「だめぇ! それ、だめぇ!! 壊れるぅ! 壊れちゃうぅぅぅぅ♡♡♡♡」

首を左右に振りながらも、全身で気持ちいいと悲鳴を上げるなまえの姿は美しい。何をしても、何を言っても、その様は最高だ。

「まだ全然犯せていない。始まったばかりだろう?」

ふ、と笑うと、なまえの目が空を向く。その目はもう私を見ていなかった。さて、あと30分くらいはあるか。周りの人間の意識が戻るその時まで、この女を犯しつくしてやろうじゃないか。

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