「は、い?」
「俺はしばらく一人で旅をする」
「は、はぁ。それでここに連れてきたと?」
「あぁ」
古城から出ることなど滅多になかった召使いは、現在の主であるミホークに不審な目を向けた。
現在、私たちは、ある船の上に立っている。
「えぇっと、つまりミホークさんはこう言いたいんですね? しばらく私と距離を置きたいから、自分の知り合いである赤髪のシャンクス引き入る赤髪海賊団へ入れと」
「ほぉ、よく分かっているではないか」
「……ふん、何年一緒にいたと思っているんですか」
「まぁそういう訳だ」
頼んだ、とミホークが軽く言ったその先には「は?」と口を開いてこちらを見ている赤髪の男がいた。
「そういうわけらしいのでよろしくお願いします。赤髪のシャンクスさん、とそのお仲間さん達」
主の、ミホークのこういう扱いにはすっかり慣れてしまっていた。彼の気まぐれさと言ったら……、それに比べたらこの海賊団にいた方がより静かな生活を送ることができるというもの。
「俺らはいいけど、おまえ等はいいのか?」
「?」
「俺はおまえ達がそういう関係だと思っていたんだが」
「えぇ、まぁ。そういう関係と言えばそうですし、そういう関係なだけだと言えばそうだと言えますね」
「……つまり、離れることにそれほど抵抗がない、そんな関係だと言いたいのか?」
ゆっくりと前に歩み出てきた男が煙草の煙を吐き出しながら言う。
「はい、そんなところです。現に……ほら、見て下さい」
先ほどまで私の後ろに立っていたはずの主は会話が退屈だったのか、いつの間にか船から下りて自身の棺船へと乗り移っていた。
「おい鷹の目! 本当にいいのか!?」
赤髪のシャンクスのその問いにすら何も答えない主。人にものを頼む態度(あ、この場合は人か)というものを知らないのか。チッと舌打ちを打った赤髪ははぁと深いため息を吐き出した。
「……そういうことらしい」
「……みたいですね」

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