「……こんな感じです」
「たいした実じゃねぇか!」
「は、はぁ……そうですか?」
「すげぇな!」声を上げる船長と、目を見開いて「そんな実が存在したとは……」驚きを隠せないでいる副船長。見事に正反対な二人を肩を窄めて恐る恐る交互に見た。
「じゃあ今のお前の主はベックマンなのか?」
「……一体どこがどうなって私の主が副船長になってるんですか?」
「そりゃまぁ、お前等昨日したんだろう? じゃァ、お前の腹ん中には……「わーー!!」……んだよ?」
「あからさまなことは言わないで下さい。これでも世間体は気にしているんですから!」
「は? まさか……、お前に恥ずかしいとかいう感情があるっていうのか?」
ぽかーん――、口を開ける副船長。
……ちょ、ひどいです。私にも……(たぶん)あります! そりゃ能力のせいでトリップしているときもありますけど、……普通に気にします!」
そんな副船長に抗議の目を向けていたら、「なぁなまえ!」と声を上げた船長が「じゃあ今の主は誰だ?」と首を傾げた。それは――、一度、言葉を句切って下を向く。
「おそらく、まだミホークさんだと思われます」
「……おそらく?」
「あの人が自ら『主を移す』と宣言するとは思えないので。でも、もしミホークさんが主をやめると宣言していたら、他の人に移っている可能性があります」
「……なるほど。それを確かめる方法は……?」
「…………寝る?」
「寝るって、ヤるってことか?」
「…………寝る」
「だーかーらー!」
寝る、イコール、ヤるってことだろう? ――船長が何度も被せてくる。…………しつこい。この人、話に聞いていた以上に面倒くさいじゃない!
「そんなことはどうだっていい」
「……う、ヒドい副船長」
副船長は副船長で関心無さすぎだしさ。
「女だとか男だとか、そんなもんよりも、今はお前の体をどうにかしなきゃならねぇんだろ?」
「……その通り、ですね」
まったくもって、その通り。返す言葉もございません。スッと目を細めた副船長がふぅ~とたくさんの煙を吐き出す。さて、どうするか、と何か考え込んでいるようだった。そうこうしているうちに……。
「分かったぞ、なまえ!」
「……何がですか?」
「俺と寝ろ!」
「は?」
さっきからちょっと思っていたんだけど、船長ってちょっとお馬鹿……?
「な! 寝よう、今夜!」
「なんでそうなったんですか?」
「だって、ベックマンと寝たけどダメだったんだろう? 俺だって候補に入ってんだから、試してみるだけ試せばいいだろう?」
いやいやいや、いつから船長が候補に入ったんだ?
「お頭、そう言って、どうせしばらく上陸してないからたまってるだけだろ?」
つん、と副船長の冷たい一言。
「ん、まぁそれもある!」
「……いやです」
「な! なんでだよ!?」
「だいたい、ミホークさんが宣言したかどうかも分からないんですから。その理屈もおかしいです」
ふい、と顔を背けて言う。
「しばらくは様子を見ることにします。ミホークさんが迎えにくるかもしれないですし」
ゆっくりと立ち上がり、くるり――体を回転させて扉の方へつま先を向けた。
「船長。お手数ですが、私に手を出さないように船員のみなさんに釘を刺しておいて下さい」
「え”ぇ~~!」
声を上げる船長がその場に項垂れていく様を流し見る。一番残念そうにしているのは恐らく彼だろう。フッ――と高見の見物をしている副船長の腹の黒さを確認した後、ゆっくりと扉を閉めた。

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