師匠の名前を初めて聞いたとき、あぁ私は師匠のことを何も知らなかったんだと思い知らされた。島に来ていた海賊船、師匠はそこの副船長だった。悪魔の実を運んでいたのは海賊の生業のひとつだったそうだ。私は本当に何も知らなかった。
「こんな生活をしているくらいなら、うちにくるといい」
師匠――、シルバーズ・レイリーの友、海賊団の船長、ゴール・D・ロジャーが優しい眼差しでそう言った。私は何か既視感を感じて、ふと立ち止まる。返事が喉を通って出ていかなかった。
「……失礼ながら、どこかでお会いしたことがありましたか?」
つい口から出た一言に、ロジャー船長は目を瞬かせていた。そして、私の顔をじぃーとよく見つめる。彼もなんとなしに、見たことがあると感じているようだった。
「確かに、俺もなんとなく見たことがあるよう……な。……ううん。分からん」
……が、記憶というものは厄介で、酷くあやふやなものだ。
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私がロジャー海賊団の一味になってから数年の月日が流れたある日のこと。船長が私の故郷の島に船を向けてくれることを教えてくれた。再び家族に会うことができる喜びに浮き立つ想い。みんな元気でやっているのだろうか。
島には1日だけ滞在することが決まって、桟橋に船が着くや否や船を駆け下りて家に向かって走った。でも……そこにあったのは、空っぽになった家だった。隣に住んでいたお婆さんはもう亡くなっていて、そこに住んでいたのはお婆さんのお孫さんだった。話を聞いてみると、そこに住んでいた家族はある日、突然に別の島に引っ越すと言って出て行ったそうだ。それが一ヶ月ほど前のことだった。
あと少し早く来ていれば、逢えたかもしれないのに。なんて間の悪い……。
家の扉は開いていた。本当に急いでいたのだろう。最低限の荷物だけを持っていったらしく。まだ人が住んでいるかのような佇まいをしていた。かつての自分の家に入る。リビングも、寝室も、何もかもが変わっていない。私の部屋もまだちゃんと置かれていた。……と、愛用の机の上に、一通の手紙が置かれていた。
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なまえへ
もしも帰って来ることがあったら私たちの共有の友人を頼りなさい。そこに置いているから。きっとまた会える。
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「……お姉ちゃん」
すり切れた文字を愛おしく撫でつける。
「…………家族は?」
背後に立つ気配に首を振る。
「なぜ?」
「……分からない」
振り返った先、そこに立っていたレイリーが眉根を寄せていた。
「なんでレイリーがそんな顔をするの」
「…………そりゃぁ、」
「いいの。会えなくても、きっと元気でやってる」
手紙をくしゃりとと握り締める。目頭が熱くなってきた。期待していたから余計に、気持ちが揺れてしまって。
「……ごめん、ちょっと、一人にさせてくれると嬉しい」
「…………」
手紙を握り潰している拳が包み込まれて、体が震える。
「……同情は、いらないから」
「違う。同情じゃない」
「嘘。それは同情っていうんだよ、レイリー」
「違う。これは、」
レイリーは腕を引いて、私を胸の中に入れた。
「胸を貸すくらい、任せておきなさい」
「っ、」
――泣いた。声を押し殺して、ぼろぼろとみっともなく、泣いた。頭を撫でつけてくれる大きな手のひらが「大丈夫」と背中を撫でつけてくれる手のひらが、「泣いてもよい」と言ってくれているような気がして、私はレイリーの腹に顔を押しつけて泣いた。
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泣き疲れて涙が涸れ果てた頃、止まっていた思考が動き出した。姉の手紙に書かれていた『共通の友人』とは誰のことか。
私の頭に浮かんだ、姉との共通の友人は、ニュース・クーだった。この島に配達に来ている彼(もしくは彼女)は、私たちの手紙の配達もしてくれていた。彼が配達をしてくれるのはこの家と、あとは……。
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「行かなきゃ……!」
レイリーの腹をぐぐっと押す。緩んだ腕の中から抜け出した。
「行くってどこに?」
「明日の出発までには戻るから……!」
後ろ手に手を振って、レンガ道を駆け上がる。山の上にあるツリーハウス。そこにニュース・クーがくるポストがあるのだ。
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「なまえ! 探したぞ!」
ツリーハウスに着いた頃にはもう日が沈んでしまっていたので、今日はここで一晩を過ごして明日の朝に船に戻ろうと思っていた矢先のことだった。
「えっ、シャンクス!?」
私を見つけたのは、同じく見習いとしてロジャー海賊団の一員になっていたシャンクスだった。
「あぁ、もう。お前は! レイリーさんが探し回ってんぞ」
「えぇ~、明日には戻るって言ったのに」
「っても、レイリーさんが聞くはずないだろ」
「……過保護なんだって」
「せめて子電伝虫くらい持っていけよ」
「あ……確かに」
「まったく……「あ~、レイリーさん、俺だ。シャンクス。なまえを見つけた。けど、日が暮れたから明日の朝に……あぁ、山の上で遠いから。あぁ、じゃ」」
「……なんて?」
「帰ってきたら覚えてろってさ」
「…………こっわ~」
ふふふ――顔を見合わせて笑う。
「にしても、すっげぇところだな!」
「私が作ったんだよ。凄いでしょ。秘密基地!」
「あぁ、すげぇな! ……でも、なんでこんなところに?」
「……ちょっと捜し物をね」
「捜し物……? あったのか?」
「うん、あった!」
「そりゃぁ、良かったな」
「…………うん」
手作りのツリーハウスは、大きな木の上に板を張り付けて作ったもので、壁はあるけれど、隙間が開いていて風が通り放題だった。でもおかげで火がなくとも月明かりで明るくって、暗くて困ることはなかった。ベッドはない。作った頃は今よりも子供だったからそんなことまで頭は回っていなかった。あぁ、こんなことなら作って置くべきだったな。
「少し冷えるな……」
「…………そうだね。あ……確か、木箱に毛布があったかも?」
雨風を避けることが出るようにそこだけは頑丈に囲われたスペース。ちょっとした小物を置いてくところだった。
「あったあった。良かった。2枚あるよ」
1枚をシャンクスに渡す。ありがとうと受け取ると、彼はそれを肩に巻いた。私もそれを見習って毛布を羽織る。薄いけれどないよりは全然良い。
ハウスの床の上に並んで座って、星空を見上げた。雲一つない快晴で、本当に綺麗な空だった。
「なぁ、なまえ」
「……ん?」
「俺さ、」
「うん」
「なまえが好きなんだけど」
「…………はい?」
え、何言ってんの、この人――というのが、顔に表れていたらしい。あからさまに罰の悪そうな顔をしたシャンクスが「いや、ごめん。今のなし……忘れて」と言った。
「いやいやいやいや。忘れられるわけないじゃん」
「忘れてくれ、変なこと言った」
「いやいやいやいや。明日からどうしろと?」
「すまんって! だってお前にそんな顔されるとか想像もしてなかったから!」
「…………どんな顔してた?」
「意味不明って顔」
「あ…………ごめん! それは違うの、違うんだって! 傷つけたのなら、謝りますシャンクスぅ!! ごめん!!」
「…………そんなに謝られると逆に傷つく」
「えぇ……シャンクスって、ガラスのハートなの?」
「…………かもしんない」
「ふふっ」
「笑うなよ」
「…………ごめん」
なんだかおかしくなって笑ったら、さっきまでしょげていたシャンクスも笑ってくれた。少しだけ、雰囲気が柔らかくなって、ほっとする。
「……どうしたの、急に」
「……だって、お前と二人きりになれるのなんて、なかなかないだろ」
「え、そう? よく二人で見張り番してるじゃん。……まぁバギーもよくいるけど」
「違う違う。でも、船の上だろ?」
「……そりゃぁまぁね。でも、別に話くらいはできるでしょ?」
「いや、違うんだよ。……一応確認するけど、バギーが好きとか……?」
「バギー? なんで私が……?」
一体何を言っているのか、隣に座るシャンクスの顔をじっと見つめた。
「いや、まぁ。……念のための確認を」
「……ふむふむ。それで? 確認はできましたかね、シャンクスさんよ」
「あ……えぇっと、だな。まぁ、そこそこ済んだ」
「うむ、では、まだあるということだね。よし、この際だ。腹を割っていいなさい。時間はたっぷりあるから」
「…………う」と喉を詰まらせたシャンクスが顔を膝の中に埋めてしまった。……ふふふ。可愛いところがあるもんだ。
「可愛い私のシャンクス。大きくなったね……」
私が海賊団に入ったときはまだ18歳とか? そのくらいだった。そのときにはもうすでにシャンクスとバギーが見習いとして乗っていて、私の方が新入りだった。……が、彼らはまだ10歳程度の子供で、当時の私からするともう可愛くって可愛くって。何かと世話を焼いていたのを覚えている。途中から反抗期に入ってしまって、全然受け付けてくれなくなったんだよね……。悲しい。バギーはまだ甘えてくれるけど、シャンクスは全然駄目だった。
「……るせぇ」
「昔は一緒にお風呂にも入っていたのに、最近じゃ全然……」
「いや、さすがに……俺ももう、15だし」
「え、バギーは全然気にしてないけど?」
「…………あ”? あの野郎まだ一緒に入ってんのか」
「そうだね。バギーは私のこと、お姉ちゃんって言ってるくらいだし」
「…………は、」
「私も、二人のことは可愛い弟と思って……」
ふいに、腕を捕まれた。視界が反転して、背中が軋んだ。
「っ、た…………」
両腕が強く掴まれていた。しかめっ面で見上げた先には、赤い髪があった。赤髪がさらさらと風で靡いていて、その下から、鋭い眼光が私を見据えていた。
「な、なに……? っ、痛いよ、シャンクス……」
「俺は……俺はなまえの弟じゃない」
「え? ……あ、うん。本物の弟じゃないって、そういうのは別に、」
「まやかしの弟でもない」
「…………どういう?」
「なまえの家族ごっこに巻き込むな。俺たちを会えない家族の代わりにしないでくれ。俺たちは、俺たちなんだ。なまえ――お前の前にいるのは『シャンクス』って男なんだ。お前は、『なまえ』という女なんだ。俺からしたら、なまえは焦がれて止まない、愛しい……その人、……なんだよ」
シャンクスの瞳がよく見えた。震えていた。喉を詰まらせながら、痛々しく吐き出された言葉が私の胸を抉っていった。私は、……私は知らず知らずのうちに彼のことを傷つけていたらしい。そして、今、そのしっぺ返しを食らっている。…………実のところ。私はシャンクスのそういう目に気づいていたと、思う。バギーは私のことをいつも純粋に姉として見ていたと思う。顔を赤らめるときも、褒められて嬉しいと心の底から喜んでいるのが手に取るように分かった。……でも、シャンクスは違っていた。まだ私よりも少し低い背を、嬉しいときに抱き寄せたら、胸元に顔を埋めながら、悔しそうに、でも……嬉しそうに、強く抱き締め返してくるのだ。そこには憧れではない――焦がれが含まれていて、それをなんとなく感じていた。それは周りの皆もそうだったのだろうか。シャンクスがなかなか私を離そうとしなかったときは大抵が周りの仲間が「お熱いねぇ」と茶化していたのだ。それが恒例で、そして――いつもレイリーが引き剥がしにきていた。あのときの彼は、まるで……そう、まるで。
「あのさ、もしかしてさ……」
「…………?」
「レイリーになんか言ったりした?」
「…………どうしてここでレイリーさんが出てくるんだよ」
「……いや、なんとなく」
「はっ? ……まさか。まさかお前、レイリーさんと」
「え? いやいやいや。違うよ、それはない。ないない。私にとって、レイリーは師匠だから。それ以上でも以下でもないから」
「…………」
シャンクスは疑り深く私のことを見ていた。
「なまえ、好きな奴はいないのか」
「あの……話をするなら、まずは対等な関係でやりませんかね、シャンクスさん?」
「いやだ。……本当に嫌なら、なまえなら俺のことを吹っ飛ばせんだろ。そうすればいい……」
「このぅ……この、くそガキが……できるわけないでしょう。大事な人なんだから」
「…………返事は?」
「え、なに、返事?」
「好きな人、いないの?」
「…………いる、ような。いない、ような?」
「なんだよそれ、卑怯だぞ」
「えー別にいいじゃん。私の勝手でしょ」
「教えろよ。俺がどうにかするから」
「…………あのねぇ、お子様シャンクス。そんなんじゃ、人の心は動かないんだよ」
「…………動くさ」
「圧政反対! 断固反対! 私は、圧政には屈しません!」
「…………じゃあ、アメなら?」
「アメ……?」
「懐柔させられるなら、屈するんじゃねぇの?」
「何を……?」
シャンクスの唇が、私の唇を覆った。柔らかな感覚に一瞬、意識が飛んだ。
「っ、ちょ、シャンクス!? 何して……!」
「嫌なら、突き飛ばしてくれよ。じゃないと、俺はもう止まらない……」
「えっ、ちょ……待っ、っ」
再び降ってきた口づけ。喚き散らそうと開いた唇の中に彼の舌が入ってきた。ぐぐっと押し戻すと口が離れる。
「ふ……なんで、ってか、慣れ過ぎじゃ」
「俺たちはもう大人だって普段から言っているだろ。これでようやく見る目が変わるか? 俺に無防備に抱きついたり、顔を寄せたり、誘惑ばっかりして。そんなことをしてたら……これからは奪うからな」
「はっ!? 誘惑って、そんなんじゃ……!」
頬を彼の手のひらが撫でつけていく。
「俺はなまえが好きだ。……だから、お前に触れられるだけで、俺は…………」
シャンクスの優しい微笑み。見たことがない、顔。胸がぎゅ、と締め付けられた。私……、こういう顔、前に見たことがある。その人は今のシャンクスと同じ表情をしていた。――あぁ、もう、どうしよう。頭がぐちゃぐちゃになってきた。訳が分からなくなってきた。私どうしてこんなことになってるの。私は……どうしたいの?
「今日は、なまえを抱きたい。……いいか?」
「…………私が、いいの?」
「なまえがいい。なまえじゃないと駄目だ」
再び重ねられた口づけ、今度は自ら口を開いて、シャンクスの舌を招き入れる。入ってきた舌に舌を絡めて応えた。
「っ、すげぇ……嬉しい」
「…………ふ、んっ……」
腹にシャンクスの手が触れる。臍の上を通って、たわわの直ぐ下まで手が這い上がってきた。急に羞恥心が襲ってきて、シャンクスにはもう何度も裸を見られたことがあるというのに、すごく恥ずかしくて堪らなくなってきた。思わず顔を背ける。
「もしかして……恥ずかしいのか?」
「だって……なんか、いつもと違うから」
「っ、そんなこと言われたら、我慢が効かなくなるって……」
胸に巻き付けていた布を解かれて、胸の重しが取れる。と、同時に、隙間からするりと手が忍び込んできた。
「ずっと、触れたかった……」
手のひらが胸の全体を覆う。もみながら、先っぽを刺激するように大きく動かされて小さな快感の波に襲われた。
「あっ、ん…………っ、」
どうしよう……気持ちいい。……というか、こんなことしたのはいつぶりか。すっかり忘れていた感覚だった。
「なまえは、初めて……?」
「……えっと、いや……」
「へぇ、意外。俺以外に、一体誰と……?」
え、なんか……シャンクスからの圧力が、怖いんだけど。
「べ、別に誰でもいいでしょ……お情けだったの……!」
「お情け……? お情けで初めてを……? そんなんだったら俺に言ってくれたらいくらでも、」
「だって、シャンクスがまさかこんな……っ、」
「こんな……?」
「こんな、人だって思ってなくって……ふっ、」
胸元の服をずり上げられて、胸が露わになる。もう完全に誰でも見放題な状態ではあったが、幸い、ここは山奥の木の上で、他に人は居なかった。……とはいえ、野外には変わりなく、なんとなく落ち着かない。
「だめ、誰かに見られちゃう……って!」
「誰も来ないよ、こんなところ」
ちゅうううう――シャンクスが右の胸の先をかりかり弄びながら、左の胸を吸い込んだ。まさかそんな風に責められるとは夢にも思っておらず、絶え間ない刺激に体が震え続けた。
「っ、めっ、あ…………気持ち良過ぎ……はぁん…………」
「で、お情けで相手してもらったのって、誰……?」
「言わないよ、なんか恥ずかしいし」
「なんで、別にいいじゃん、相手してもらっただけでしょ? つうか、しなくてもよかったじゃん、どうして」
「いや、だって。一応私も女だから、何かあったときに初めてが全く知らない敵船の誰かになっちゃうくらいなら、先にやって置いた方がいいって教えてもらったから……」
「なっ!? そんなの絶対レイリーさんだろ!」
「っ、え! なんで分かるの!?」
「レイリーさん以外にいないだろ、なまえにそんなこと言うの。あのおっさん、そんな風になまえのことを誑し込んでやがったのか、くそっ、絶対許さねぇぞ!」
「はっ、ちょ……誑し込まれてないよ。レイリーは単に、私の今後を危惧して……」
「いや、あのおっさんは、絶対になまえとやりたかっただけだ。断言できる。あの人はそういう人だ」
「っ、え……? まじで?」
「…………まじで!」
シャンクスが「あ~~もう!」と苛ついた声を上げながら、帰ったら絶対に一言言ってやると憤っている。
「いや、待ってシャンクス。それを言うってことは、今日の……このことを言うってことでしょ?」
「あぁ、当然。これからなまえは俺のものになるから」
「待って、シャンクスの物になるなんて一言も言ってないから!」
「え? なんで?」
「だってこんなの無し崩して的にやってるだけでしょ。それは恋人とかじゃない」
「いや、なまえは俺の」
「っ、海賊って奴はもう本当に……どいつもこいつも話にならない!」
レイリーさんだってそうだ。肝心なことは全然言わない。あんな顔をして抱いておきながら、「その気はない」って言ってのけたのだ、あの男は……! あぁもうくそう。腹が立ってきた。うん、分かった。この際、シャンクスを利用して腹いせをしてやる。あの人のあっという顔をみてやろうじゃないの!
「なまえ……そう言うくせに、ここの準備は万端だな。レイリーさんに仕込まれたのか……?」
いつの間にかシャンクの手のひらが太ももの奥まで来ていた。ぬめっとした感覚。あぁ、どうしよう。猛烈に恥ずかしい。穴に入って隠れたい。
「もう触って良い? これじゃぁもうぐずぐずでしょ……待てない。俺、もう待てなんだけど」
「あっ、待って心の準備が……」
「大丈夫。ちゃんと指でやるから。触ってもいい? 触りたい。なまえのここ、掻き回したい、なぁ……いいか?」
シャンクスの指が、太ももをするするとなで回す。許可が下りるまではなんとしてでも待ってやろうという彼の気概を感じる。……くそう。最高にいい男じゃないか、シャンクス! 貴方は将来最高にいい男になる気がする。
「…………わ、わかっ、っ~~~~!?」
言い終わるよりも早くに、シャンクスの指が布の間をすり抜けて、ぐじょぐじょになっている秘部に差し込まれた。割れ目を上へ下へと撫でつけられて、ぷっくりと立ち上がっているそこがヒクついているのが自分でもよく分かった。
「あぁ、……やべぇな」
布を引き剥がされて、足を開脚させられて、シャンクスの顔が割れ目の前に差し迫る。まるで反応を確認するように、丁寧に、端から端まで指が這っていく。
「ここが気持ちいいんだな……」
「んんっ、あっ、だめ…………そこばっかり、つらい、あっ、」
見つけたところは念入りに、何度も何度も愛撫されて、どろどろに蕩けるように入り口が溶かされていく。
「中はどこら辺が好きなんだ?」
くいっ、くいっ、と指の関節が動いて、良いところはどこか、念入りに探索されていく。優しい刺激がのっぺりと長時間続いた。もう体はくたくただった。
「しゃん、くす…………わたし、限界…………」
汗か、涙か……もう何が何やら分からない。顔を上げたシャンクスは幸せそうに微笑んでいて。
「あぁ……なまえ、気持ちいいところたくっさんあるんだな。触りがいがあるよ、本当に」
「もう、……お願い、そろそろイかせて。お願い……」
「へぇ、イくのも教えてもらってんの? レイリーさんにイかせてもらったの? 入れてもらった?」
「…………っ、」
レイリーは大人のセックスだった。シャンクスとはまた違う、快楽を突き詰めたような、そんな……。あの時は、…………私、確か気を失ったんだっけ。
「どうした、頭が回ってないって感じだな。気持ちよすぎたか……?」
「ん…………早く……お願い、シャンクス。苦しい」
「あぁ……分かった」
シャンクスがズボンをずり下げて立ち上がっていた竿を外に出した。普段見ていた『それ』とは全く違っている姿。めっちゃでっかくなっているんだけど。
「入れる……ぞ」
「ん、」
ぐぐぐっと押し込められながら穴の中に入ってくる。潤滑剤は十分すぎる程準備万端だった。ずるるる――入ってくる。ずしん、ずしん、繰り返される律動。奥に突き刺さる重く強い感覚に腰が浮き上がった。
「はぁんっ!?!?1?」
あぁ、これ、駄目だ――
「あっ、あっ、ん~~~~」
私はすぐにイった。……でも。
「まだまだ、もっと気持ちよくなれるから」
頭が真っ白になった後も容赦なく続く律動。意識が引き戻された頃合いに、シャンクスが膨れ上がってヒクついていた蕾を摘まみ上げた。
「ひゃっ!?」
たったそれだけで、また快感の波が広がっていく。
「あっ、だめ、シャンクスっ、また来ちゃうっ!!!!!」
「俺も、イきそ……っ、」
その後も続いた行為。若さとは本当に恐ろしいものだと、心の底からそう思った。

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