狂おしい愛に身を焼かれる 01

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「紹介する。新しく大将補佐として配属されたなまえ事務官だ」

――事務官だと?

元帥の言葉に皺を寄せる方1名。ほぅと声を上げる方1名。ニヤニヤと笑う方1名。誰が誰だなんて言わなくても分かるぐらい個性的な3人。私は3人の大将の前で深々と頭を下げた。これからお世話になる方々なのだ。それは当然のことだろう。

「よろしくお願いします」

顔を上げてにこり。元帥からはいつもそうやって笑っておいてくれと言われた。はいと勢いで答えたのはいいが、未だその言葉の真意は分からず。でも取りあえず笑っておいた。笑顔には自信がある。ついさっきもガープ中将からお前の笑顔はいいなとお褒めの言葉を頂いたばかりなので。

「これはこれは、どういう趣向で?」

青雉ことクザン大将が口に手を当てながら鋭い一言。いや、そこそんなに真面目な顔で言うところじゃないでしょ。

「どういうも何も、お主等の書類整理がまともに進まないからだろうが」
「おっと、もうこんな時間か。俺は仕事に戻りますよ。なんせ、まじめなんでね」

足早にクザン大将が部屋から出ていくと、チッと舌打ちが一つ。視線を向ければ赤犬ことサカズキ大将がクザン大将を睨んでいた。そして元帥が一言。

「まったく、都合が悪くなったらすぐこれじゃ」

ぶつぶつ文句を言う元帥に目を向ければ、奴が主に足をひっぱっておる。覚えておけと。あはは。あい、分かりましたとも。ゆっくりとうなづく。顔を上げた先の黄猿ことボルサリーノ大将は視線が合うとにこりと笑ってくれた。でも、細くなり三日月になった目をどこか意味深く思ってしまうのは私の思い込みだろうか。何も言わず部屋から出ていく残りの2名を見送る。

「まぁ、そう言うわけじゃ。頼んだ」

元帥の視線は今のでだいたいの関係は分かってであろうと私の方を見ていた。はい、よく分かりました。

「と、取りあえず。私はクザン大将のところへ行けばよろしいでしょうか?」
「うむ、頼んだぞ」
「はい」

そうして私は3人の大将の補佐となり、書類整理を代わりに行う事務員となった。まぁ主についているのはクザン大将だけど、サカズキ大将もボルサリーノ大将も遠征で長くを空けてしまう時があるので、さすがにその時は手伝いに行っていた。

コンコン

「入れ」
「……失礼します」

「遠征お疲れさまでした」
「あぁ」

ふぅと息を吐いて帽子を脱ぐ様子に笑みが漏れる。今回の遠征でとてもお疲れのご様子。

「サカズキ大将、お疲れのところすみません。仕事の進行度をお伝えさせて頂きます。遠征前に少し残っていた書類はすべて提出済です。後からの押し印で結構だと言われたものについても遠征中に提出しております。あと……」
「もうよい。……で、今日必要な書類は?」
「えっと、ございません」

にこりとひと笑い。

「明日提出のものにつきまては昼以降に上がってくると思いますので、午前中はお休み下さい」

ね? と、眉間に皺を寄せるサカズキ大将を見る。あれ、なんでこの人こんなに不機嫌そうなんだろう。私何かミスをしたかな。

「分かった」
「はい、では私はこれで」
「お前はどうする?」
「はい、私はクザン大将の尻を叩いて、報告書を作成させないといけませんので、ここで失礼します」
「……そうか」

パタンと閉じられた扉の向こうではひとつのため息。その大きなため息は扉越しでもよく聞こえた。相当お疲れの様子だ。しばらくは一人になれるようにしておこう。うん、そうしようと頷き、クザン大将の部屋へ向かって足を踏み出した。

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