106_長編_諸恋ひ 壱 帰しともないお方は帰り散らしともない花は散る 弐 およそ世間にせつないものは惚れた三字に 義理の二字 参 義理も人情ももうこの頃は捨てて逢いたい欲ばかり 肆 義理や人情が守れるならば恋は思案の外じゃない 伍 たった一度の注射が効いてこうも逢いたくなるものか 陸 おろすわさびと恋路の意見きけばきくほど涙出る 漆 積もる思いにいつしか門の雪が隠した下駄の跡 捌 つねりゃ紫喰いつきゃ紅よ色で固めたこの体 玖 どうせ互いの身は錆び刀切るに切られぬくされ縁 拾 春のひと日をつい飲みたおれ花とふたり寝して戻る Ex. もうひとつの諸恋ひ 160226~160505End.睿鑒 fisika back