遠くの甲板でもめているマルコとその仲間達が見えていた。しばらくするとマルコは海に向かって走り出し、あの日と同じ炎で空へ舞い上がっていた。
「と、飛んだ!」
ポカンと口を開けてその様子を見る。その炎の鳥はゆっくりと船の上を旋回したあと、こちらへ向かってくる。飛んでいる姿は美しかった。
「綺麗……」
ふわりと風が吹く。ゆっくりと空から降りてきたその鳥はゆっくりと羽を閉じ、私の目の前にたたずんでいた。どうしたらいいのかな? 鳥になっている時ってしゃべれないのかな? ジッと澄んだ目で見つめられてわたわたしてしまう。マルコは目をスッと細めるとこちらに歩いてきた。
よたよた歩くの可愛い……
手を伸ばせば触れる距離まで近づいた。これって、触ってもいいのかな? どきどきしながら手を伸ばす。体に触れた瞬間、マルコの体が震えた気がして手を引いたが、変わりなくこちらを見てくるので、もう一度手を伸ばす。嫌がっては……ないのかな? 背中に手を伸ばして撫でる。
「うわぁ、ふわふわ~」
炎だから熱いかもしれないと覚悟していたが、そんなこともなく、普通に触れた。そのまま首まで撫でていく。マルコが目を細めて、首をくねらせた。
「あ、くすぐったい?」
「ごめんね」と言うとマルコはジッとこちらを見る。そして、ふいに視線をそらされた。
「?」
どうしたんだろう? と首を捻る。手を引っ込めようとしたとき、ボボボボッと炎の音がした。みるみる炎は消えていき、代わりに手や腕が形作られていく。その光景に目を奪われる。炎の中から顔が出てくると「こう見えて中身はおっさんだよい」とマルコが言う。
「あ、ごめんなさい。つい……」
いつの間にか捕まれていた手はマルコの首に当てられたままだった。

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