胸底でまばたく梨礫

「おまたせっ!!!」
「遅〜い!」
「ごめん!! 仕事が長引いた!! お詫びに奢る!!」
「ならばよし!!」
「助かる!!」

今日は友人と夜ご飯を食べに行く日。明日から1週間の連休をもらうということで仕事を納めるためにばたばたしてしまった。大遅刻だ。大変申し訳ございません――と頭を下げると、カラカラとした笑い声が降ってきて、「お仕事お疲れ様!」と向日葵のような花開く笑顔を返してくれた。これだから彼女のことが大好きなんだよぉと涙ながらに「ありがとう〜!!」と軽い抱擁を交わした。

「レストラン予約してたのにごめん……」
「ううん。それは別にいいんだけど、どこ行こうか。なまえも軽くもう食べているんでしょう?」
「うん、少しだけ」
「なら、お酒が飲めるBARとかでいいんじゃない? 今日は話したいことがたくさんあるし……」
「話したいこと? なになに? 気になるじゃん?」
「待ーて、でーす。なまえはこの近く往診でまわるでしょ、いい所ないの?」
「ん〜〜」

あ!

ある。いいところ!

:
:

カランカラン――

「いらっしゃい」

扉を開けると小さなドアベルが音を鳴らして、少し進むと低音の弦楽器の音色が聞こえてくる。さらに奥に進むとこの店のマスターと思おぼしき人物が挨拶をしてくれた。

「2人です」
「お好きなところにどうぞ」

室内は決して広くはないけれど、たまり場としては良いサイズ感で、先程のバックミュージックはレコードだったらしく、部屋の真ん中にあるジュークボックスが音を奏でていた。落ち着いた雰囲気が心地よい。

「なんかいいね」
「うん……。初めて来たけどこれは当たりかも」

2人用のテーブルに腰掛けようかと思ったけれど、カウンターの方がお酒が出てくるのが早いし、しばらく休みになるから今日は沢山飲みたい! と申し出て、カウンターに座ることにした。

「なまえが飲みたい! ていうのは珍しいね」
「うん。しばらく休みだし、たまにはね。今日はとことん付き合うよ?」
「まじで!? やった! ありがとう〜愛してる!」
「ふふっ、私も愛してる 」

なんて会話の最中、注文していたお酒が届いて、女子会が開幕した。

「今日は飲むぞ~!」
「おー!!」

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