Adiantum

Primrose (神秘的な心)

「おぎゃ~~~ん、おぎゃ~~~~ん」けたたましく鳴る鳴き声は不思議とうるさいものではなくて、結構な音量なはずなのにそこにいる誰もが嬉しそうに笑っているのだった。「、!」手を握りしめてくれるスモーカーに精一杯の笑顔を向ける。「お前、涙で顔がひ…

yellow dahlia (華麗)

それでね、妊娠したって言ってから数日はお前は動くな、あとは俺がやるって、言って。やったこともない家事をやろうとするの。それで逆に私の仕事が増えちゃってね。で、あの人正義感が人一倍強いものだからそれでまた余計に気負っちゃって。それからしばらく…

Tulip (美しい目)

港についた途端、「スモーカー中将、おめでとうございます!!」という言葉。訳が分からず「は?」と声を漏らした俺の前に普段この時間はカフェで働いているはずのの姿が目に映る。どうしたんだ? と駆け寄れば、ふふふとなぜだか幸せそうな微笑みが返された…

Agrimonia pilosa (感謝の気持ち)

いよいよ来た。1ヶ月に渡る長期間の遠征。それは私にとっても、スモーカーにとっても初めてのことで、互いに戸惑いが隠せずにいた。「気をつけてね」「……あァ」「1ヶ月も会えないんだから、今日はたくさん抱いて」「そのつもりだ」「……うん、ありがと」…

Saffron(陽気)

休日。デートに行くわけでもなく、特に家事をすることもなく。今日は1日のんびり過ごすことになんとなく決まっていた。「すもーかーぁー」「なんだー」「すもーかーってさ、能力者なんでしょう?」「あァ」「能力見せて?」「は? なんでだ?」嫌だと顔をし…

Spearmint (情の暖かさ)

にゃ~ん「あ、猫だ……」雨の日だった。仕事も終えて、傘を差して歩いて帰っていた。そんな時、路地裏から可愛らしい鳴き声が聞こえてきて、ついつい足がそちらへ向いてしまった。案の定、見てしまったからには……とお決まりのパターンでその猫は今私の腕の…

Lily of the valley(幸せの再来)

季節は真夏。我が家は、私があまり寒いとか暑いとか感じない人なので、空調は基本的にしていない。真夏のむしむしする日は窓を全開に。真冬は断熱のカーテンを。そうしてやり過ごしていた。私のその性質を知って以降、彼はそれに対して一切文句を言わない。そ…

Sion (ごきげんよう)

私の出勤はスモーカーよりも少し早い。彼を起こして先に家を出る。カフェではモーニングを出しているので海兵の皆さんが出勤前に朝食を取れるように、という計らいだった。そして、その海兵の中にはスモーカーも含まれていた。密かに呼ばれているスモーカーの…

Olive(平和)

朝になると自然と体が起きる。それは普段から規則正しく生活しているおかげなのだが、このスモーカーという男は仕事柄、規則正しく過ごすということができないため、休日の朝はいつも苦労させられる。大抵は前日の夜、就寝前にそれとな~く、明日のご予定は?…

Chrysanthemum red (愛してます)

結局、どうするか悩んで悩んで悩んでこうすることにした。ふふん、と腰に両手を置いて胸を張る。よし、これなら気づくでしょう。そう、これは先日見つけた写真立てに入った手紙の話の続きである。考えた選択肢は3つ。まず1つ目は見なかったことにする。これ…

Crocus(青春の喜び)

新しい家を買って、移動して、まだ1年が経っていない。面倒な荷物整理は未だ終わっていなかった。その時の段ボールが使っていない部屋に積み上げられている。さすがにそろそろ整理していかないとなぁと休日を利用して作業に取りかかることにした。「よいっし…

Cactus (暖かい心)

「海だ」「……海だな」先日、予約までして楽しみにしていたレストランを泣く泣くキャンセルする事態になった。その翌日、行きたかったのに……とベッドの中で彼の腕を振り払いながら丸まっていた。そしたら。「海、行くか?」「……え?」「うぅ~ん、気持ち…