うつうつとうつる

25:惹かれ合うふたりがひとつになるまで 01

純白の床に溜まった血は、どこまでも深く、重たく広がっていく。首を失った躯から溢れ出した鮮血は、時間の経過とともにその色を変えながらじわじわと周囲を侵食していった。その先には一人の男が静かに佇んでいる。藍染惣右介。その身を包む衣にはただの一滴…

24:覚悟を決めて心を込めて伝えるから

同刻、本殿侵入者との戦闘がひと段落した隙に十刃が招集された。 激しい戦いの末、彼らは壊滅寸前の状態だったが、誰ひとり欠けることなく生きていた。 その顔色はひどく沈んでいる。今回の指揮を執った緋沙羅は、「敵を迎え撃て」としか言わなかったが、そ…

23:貴方を守りたい気持ちが駆けてく

が眠りに落ちた後、安らかな眠りを確認した藍染が動き出す。「お前の処遇についてはこの後だ」藍染がウルキオラを一瞥し、言い放つ。先ほどまでとは打って変わった。別人の姿にウルキオラは困惑する。あの女に向けられた眼差しと私と見る眼差しはまるで違って…

22:たった二文字が音にならないの

目の前が真っ白になるという経験をしたことがなかった。そのようなことは私の人生であり得ないと思っていたのだが真紅のを目にした瞬間、目の前が真っ白になった。死神が愛用する刀はそれぞれ少しずつ異なっている。慣れた者が見れば一目で誰の刀か分かった。…

21:意味と熱を持つかつての冗句

「なぁ、こいつはなんだ?」グリムジョーが問う。「 藍染様の元愛玩動物よ」「へぇ…… 愛玩動物っつぅのか。じゃあ今の愛玩動物はてめぇってことか、緋沙羅?」「……馬鹿言うんじゃないわ。私は恋人よ? こんなのと一緒にしないで」緋沙羅はそう言うと、…

20:冗談だなんて冗談じゃない

「さんは連れて行けない」「…………黙れ、黒崎一護。恩を仇で返すつもり? まさか私に織姫を見殺しにしろと?」「あ゛?」「ちょっ、待て待て二人とも! 頼むから、落ち着いてくれ……!」ガンを飛ばし合い、今にも一触即発しそうな二人を必死で宥めている…

19:いつからか介在したもの

技術開発局 実験室 「織姫が攫われました……!」内勤をしていたの元に朽木ルキアが飛び込んで来た。「五月蠅いよ、朽木副隊長。は仮眠中だ」「っ、涅隊長!」ルキアは、実験室横の仮眠室に横たわるの姿をガラス越しに見つけた。一刻も早く逸る気持ちで部屋…

18:変わってしまったのは

 雨……、凄いな……。現世、空座町にあるひときわ高いビルの屋上。そこは私のお気に入りの場所だった。屋上に屋根はなく吹き曝しだけど、別に雨宿りに来たわけじゃないから構わない。夏だからだろうか、雨が暖かい。それとも私の身体が冷え切っているせい?…

17:心が甘くて苦しくて

 、 そんな風に私のことを呼ぶ人は誰もいない。だけど自分のことだから体が反応する。いまこの場にいる『』は私だけのはずだ。振り返った先には死覇装を身に纏ったオレンジ髪の青年が立っていた。彼は私のことを真っ直ぐに見ていた。黒崎一護。彼は根は優し…

16:もう言えない軽口

十三番隊副隊長の座を受け渡すためにルキアを呼び出した。「どうして俺まで……?」「忙しいところごめんね、恋次」先に待ち合わせ場所についた私と恋次がルキアを待つ間に会話を交わす。「俺、必要ですか」「うん、必要。……私にも、きっと…………ルキアに…

15:見えない境界線

 数日後 十三番隊に戻った後、目覚めたのなら、まずはこっちに顔を出すべきだろうと隊舎まで押しかけて来た涅隊長にビビり散らした私は「絶対に行きません!」と門の向こう側に言葉を投げ返していた。困ったことに、涅隊長が粘って帰ってくれない。……とい…

14:惰性はお終い

気が付いたら暗闇の中にいた。馴染みのある世界ここはを使用した代償を支払うところ。霊圧の代わりになる時を喰わせる精神世界だ。前回は五年間お世話になった。はじめは恐ろしかった場所でもここはただ何もないだけで、良いことも悪いこともなんにも起きない…