うつうつとうつる

13:中編序章 藍染惣右介の独白

人間は互いに価値観を押し付ける。口を開かねば閉じた口の本質は誰にも分からない。そんな簡単なことも分からずに愚か者は価値観を押し付ける。まったく……反吐が出る。辺り一面が砂に覆われていたは今やちょっとした街のようになっている。その中でも一際大…

12:さようなら、私の最初で最後の人

朽木ルキアの処刑を一刻も早く進めろそれまではそう言っていたはずの処刑肯定派の連中から声が消えた。その理由は藍染惣右介の暗殺でも、旅禍襲撃によるものでもなかった。 「どうして貴方がそれを!」浦原喜助が叫んだ。その向かいには、崩玉を片手にほくそ…

11:僕の大切な人どうか泣かないで

尸魂界に侵入者あり廷内全土に鳴り響いた警報。同時に白壁が天空から一気に落とされ、瞬く間に瀞霊廷を囲った。轟音で目を覚ましたは地響きが鳴り止むよりも早く、ベッドから飛び出した。その勢いのまま羽織に片腕を通し慌てて戸を叩く。「浦原さん! 浦原さ…

10:寂しさは熱でしか埋まらない

技術開発局、局長室「浦原さん、一体何を見せたんですか」「別に……真実っすよ」気怠げにそう言って、浦原さんは席に着く。「いやぁ……大変だったんすよ?」「……一体何の話ですか」「まぁ……それもこれも、全部自分のせい。自業自得ってやつなんすけど」…

09:透明な薔薇にはとげがない

のデフォは「井上」です。織姫と同じ名字であることに意味があるのですが、変えている方は、どこかで改名したということにしてお読みください。  「藍染様って趣味が悪いですよね」真っ白な部屋の中、女の声が響く。聞き漏らすことは有り得ない明瞭ではっき…

08:可及的速やかなる解決法

月に一度の隊首会の日。どの隊の隊長も副隊長を同伴してやってくる。隊長たちが会議の部屋に入り、私たち副隊長は待合室で待ったり、忙しい人は一旦隊舎まで戻って仕事をしたりする。副隊長は隊長ほどではないが忙しい役職なので、こうして全員と顔を合わせる…

07:愛と誇りのあればこそ

休暇明けに三番隊に行ったら辞令を渡された。見たことのある封筒に手が震える。それは、私が三番隊に移るときに渡された封筒と同じ様式だった。震える手で受け取る。対面する市丸隊長は何も言ってくれなかった。 山本元柳斎重國様の達筆な文字で記されていた…

06:呼気に混じる寂しさ

「ちょっとギンー! 何処にいるのー!」三番隊隊舎に駆け込んで来たオレンジ髪の女が隊長を捜し歩いている。その声は隊舎内によく響いた。気怠げに執務机の椅子に寄りかかっていた市丸が自身の幼馴染であることを確信して身じろぐ。直後、隊長室の扉が勢いよ…

05:うつうつとうつる

「地獄って物理的に苦しいんでしょうか。それとも、精神的に苦しいんでしょうか」「また急に物騒なことを言うて、どないしたん。らしくない」「……らしくない、ですか。はぁらしい、ってなんでしょう」もうすっかり意気消沈したが頭から机に突っ伏すと、それ…

04:エメラルド幻想

「あらぁ~? ちゃんじゃないの~」「奇遇だな。」「京楽隊長。浮竹隊長。こんにちは」大通りを歩いていた二人にばったり遭遇したら、「せっかくだ、お団子でもどうだい?」と言われて断る暇もなくお団子屋さんに連れて来られた。見事な連携技だった……。「…

03:きららかな瞳

「……大丈夫ですか?」顔色を窺うように声をかけられてハッとする。ぼーっとしていた。慌てて隣を見やると阿近が困り顔で笑っていた。「……仕事中なのにごめん」技術開発局で定期的に行われる斬魄刀の解析作業。入局後は阿近の補佐員のポストを与えられて、…

02:とある寵愛

「副隊長。体は大丈夫ですか?」「イヅル、気遣いをありがとう。しっかり休ませてもらったから、もう大丈夫だよ」それでも心配そうに眉根を寄せたイヅル。手元の書類を渡すべきかどうか思案している姿がまるで飼い主を見つめる子犬のよう。……大変可愛いらし…