その夜はなまえの希望でコンサートに連れていかれた。興味はないが、仕方ない。わくわく、わくわくと体を揺らす隣を一別し、ゆっくりと目を閉じた。コンサートは40分。眠るとしよう。
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当たり前だった日常がいつの間にかなくなっていて、怖くて私は光を探した。だけど、どこにも差し込む光はなくて。私はただただ待つことしかできなかった。いつか、光が射し込むことを信じて。
信じることを疑った時もあった。けれど、それでも私は信じることをやめなかった。すがるものならそばにいくらでもあった。でも、私がすがるのは1つだけと決めていた。決めているからこそ苦しかった。
当たり前だった日常がいつの間にかなくなっていて、怖くて私は光を探した。ようやく差し込んだ光は涙をこぼす私を包み込み、こう言った。「帰ろう、僕たちの場所へ」そうして私はようやく光を取り戻した――
曲が始まると不思議と意識が戻り、聞き入った。聞いたことのあるメロディーだった。そうか、なまえ。お前がよく口ずさんでいたのはこの曲だったのか、と一人うなづいた。
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その夜、なまえを抱いた。もう何回目か分からない。けれど、なぜかいつも以上に興奮した。部屋が違うからか。俺も結構単純なものかもしれないと思いながら、事後、ベッドに体を沈めた。
顔を横に向けるとふふふ、となまえが笑っている。
「どうした?」
「ん、なんか今とっても幸せで」
「……そうか」
口ではそう答えながらも、それに応えるようになまえの手に手を重ねてやる。驚いた、と一瞬目を見開いたなまえは嬉しそうにはにかんだ。ぎゅっと指を絡めてくる。
天井を見上げながら言った。
「明日、島に戻る」
「……うん、分かった」
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明朝目が覚める。2人とも朝は早い。一般人が外へ出てくる前に先に移動するのが通例だった。
「ミホーク」
キュッと靴ひもを結びながらなまえは言った。
「昨日夢を見たの。私とミホークが離れてしまう夢」
「……夢だろう」
「うん。……でもなんか、現実味を帯びていて怖かった」
「夢だ、気にするな」
「うん、……だね。でもこれだけは言わせて」
小さく首を傾げて見返せば、少し困ったような笑顔を浮かべたなまえが「もしそうなったら。私、何があってもミホークのところに戻るから」と言う。
「なまえ?」
「ミホークは?」
瞳を揺らしながらこちらの顔をのぞき込んでくるなまえの顔はとても不安げで、自然と額にしわが寄った。まったく、変な心配をする娘だと抱き寄せてやる。
「生きて、お前を迎えに行く」
「……うん、じゃあ私も。生きて戻るから」
にへら、と嬉しそうに笑うなまえの頬に唇を寄せる。
ん、と声を漏らした頬にキスと一つ落とし立ち上がりながら言った。
「帰るぞ」
「うん!」

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