最先端をゆくファッション

「……これは、何?」

稼ぎに出かけていたミホークが戻ってきた。その手には謎の複数の箱。

「買った」
「いや、それは見たら分かるよ」

丁寧にラッピングされた箱を見ればそれがプレゼントであることはさすがに分かる。問題は一体何のプレゼントかということだ。誕生日でもない、記念日でもない……よね? そもそも記念日なんて興味ないから私忘れちゃったし。……もしかして今日だったのかな?

「なんかの記念日とか?」
「記念日? なんだそれは」

……どうやらミホークも興味なかったらしい。じゃあなんだ?

「で、私にどうしろと?」
「着てみろ」
「これを?」

着てみろということは服ということだろう。机の上に乱暴に置かれた箱。その中でも一番大きなものを手前に取り出し、丁寧に巻かれたリボンをほどいていく。ミホークがこれをお願いしているところを想像するだけで笑っちゃう私って失礼かな? そんなことを思いながら蓋を開けた。

綺麗な布地。肩の部分を両手で持ち、持ち上げる。黒の布地に所々に金の刺繍。スリッドが大きく入ったドレスだった。裏地は赤で、なかなか……

「派手だな」

ふぁ~とあくびをしながら部屋に入ってきたペローナちゃんが私の心の声を代弁してくれた。まさに私が思っていたこと。

「おはよ~ペローナちゃん」
「おはよう。それは?」
「プレゼント?」
「なんで疑問系なんだよ?」

確かにと思いながら苦笑する。今度はミホークの方を向いて、確認するようにプレゼント? と聞いてみた。視線をそらされた。……プレゼントだよね?

「そっちのは?」

興味津々のペローナちゃんが小さな箱を手に取る。なんだろうねぇと一緒に開くと、ドレスに合わせたアクセサリーだった。イヤリングにネックレス。ブレスレットまで。

「これ、どうしたの?」
「作らせた」
「は?」

衝撃のあまり固まる私たち二人。文句あるかとこちらを見つめるミホークにだんだん沸き上がってくる感情。あれ、なんか。もしかして照れてる?

「あの~鷹の目のミホークさん?」
「……なんだ」
「照れてますか?」
「……いいから、着てみろ」
「……うん」

半ば強引に着せられたドレス。こんなの着たことがない。けど、見た目は派手な割に着心地はとても良くて、うん、悪い気はしなかった。一緒にそろえられたヒールも履き、2人にお披露目する。

「ど、どう?」
「なんだ似合うじゃねぇか!!」

色っぽい!と私の周りをクルクル回るペローナちゃんに恥ずかしいからやめてと言う。でも素直に嬉しかった。ミホークはと言えば、何かを考えている様子で黙り込んでいた。視線が絡み、似合ってなかったのかなぁ?と首を傾げるとミホークが椅子から立ち上がってこちらへ向かって歩いてくる。

スッと後ろに回られて追うように首を向けようとすると前を向いていろと直された。しばらく待っているとヒヤリとする感覚。胸元に目をやるとネックレスが巻かれていた。パチンと後ろで止められたそれ。もしかして、つけてくれたの? ミホークが? 驚きつつ振り返ると、見上げる高さにある彼の顔が満足そうに笑っていた。

あとは……と呟くと、右手を捕まれる。スルスルと器用に小指にシルバーの輪が通された。すでに左手薬指にある輪が光る中、戸惑いながら顔を上げる。その真意を知りたかった。

「意味は?」
「さぁな」

そのまま優しく抱きしめられる。ちょ、ペローナちゃんがいるんだからと言えば、すぐに離してくれた。

「来月、一緒に来てもらう」
「来てもらう? なんかのパーティがあるってこと?」
「あぁ、会わせたい人がいる」
「うん、分かった」

それでこうなったわけか……とようやく理解する。早々に部屋を出ていくミホークの後ろ姿に小さくお礼を言う。今度私も何か送ろうか。ワインがいいかな? そんなことを思いながら新しく小指に増えた指輪を眺めていた。

ただ自分の最愛の人の自慢をしたかっただけらしい……そのことを知るのは来月の話。右手の小指の指輪は私をより魅力的にしてくれるおまじないだって。

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