部屋から出てきたのは、一番隊隊長のエースだった。
「部屋……? あ~~サッチに用か?」
「あ、はい」
「悪いな。少し前に急に呼ばれていったんだ」
あぁ、それなら納得だ。
「分かりました。じゃあ、一旦戻ります」
「もう少ししたら戻るだろうし、中に入っとくか?」
どうする? と、眠そうに欠伸をしながらエースが言う。
「じゃあ……遠慮なく?」
疑問形で言われてもな、と軽い笑い声と共に、私とエースは部屋の中に入った。
室内は簡素なものだ。作り自体は私の部屋と変わらない。違うところと言えば、ベッドが二つ、縦に並んでいるところ。
「……あ、相部屋っ!?」
「ん? あぁそうだ。聞いていなかったのか?」
「それが、全然……」
考えてみれば、これだけの大所帯なのだから当然のことだ。
「みんな二人で?」
「いいや。隊長くらいで、あとは大部屋だな」
「そうなんですね……」
まぁ座れよと言われるがまま、丸テーブルの横にある椅子に腰かける。本当に最低限のものしかない感じ……? と思いきや、奥に扉がある。物凄く気になる。ベッドはここにあるから寝室というわけでもないし。何がある部屋なのだろうか。……気になる。
「何の用だ?」
「え? ……さ、さァ?」
……ていうか、隊長が二人部屋ということなら、ここで待っても仕方がないのでは? 自室で待っていた方が……。
「大方、あのコックに口説かれたんだろ?」
「…………」
早い話がそうなのだが、はっきりとそう言われるとなんだか癪に障る。ふいっと顔を背けながら「しばらく待たせてもらうね」とうつ伏せに顔を伏せてひと眠りすることにした。エースは長息を吐きだした後に同じく眠りについたようだった。
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「あ~~悪い待たせちまったァ……」
ぼんやりとした意識の向こうで聞こえたのはあのコックの声だ。戻ってきたらしい。ゆらりと頭を起こしたところでやんわりと優しく撫でられた。「俺が運ぶから寝てて」そう言われて気怠い体がすとんとまた微睡みの世界へと落ちていく。ゆらりゆらりと揺れる心地が気持ち良い。
胸の隙間に忍ばせていたはずの鍵をするりと抜き取られて部屋が開く。その音を頭の隅で聞きながら、する前から相性が良さそうだなと淫乱なことを考えていた。
ベッドの上に降ろされる。
「……お姫様? 起きられそうですか?」
「…………」
前髪が優しく掻き上げられていく。おでこにちゅと柔らかい口づけが降ってきて、起床を強請られた。二度目の口づけが振ってくる気配を感じると同時に薄ら瞼を開く。
触れるだけのはずだった彼の唇。少しだけ頭をずらして口付けをした。はっと息を呑み、きょとんしている彼の顔が何処か間抜けに見えて、口の端を上げて、クッ――と笑った。ぱちぱちぱちと、それすらも予想外だったのか、両眼が大きく開いていた。おかしくなってハハッと笑った。そしたら、少しだけ恥ずかしそうにはにかんだ彼が「悪戯にはお仕置きが必要だな」と眼光を光らせた。あぁ、なんてあくどい顔。彼が覆い被さってきて唇が合わさった。今度は遠慮ない、大人の口付けだった。
「ん……」
「ふっ、」
「ちゅ、っ……ふっ、はぁ…………」
「さい、こ……んっ……」
どちらが優勢になることもなく、獣のような激しい口づけが続く。
「んっ……」
頭はすでに蕩けきっていて、気持ちよくなりたい――欲望に塗れた口づけが欲情を掻き立て続けた。でも流石に休憩が、息継ぎが欲しくなってきた。私は持久力が、体力が、あまりない。サッチの首元をぎゅっと力強く握り締めて強く引っ張る。そのままバランスを失った体が私の上に体重を乗せるように倒れてきたが、そのまま体がのしかかってくることはなかった。
「っ、ぶねぇ~~」
咄嗟に前に出た彼の右手がそれを阻止していた。さすがは四番隊隊長。
「ふふっ。ごめん。ちょっと意地悪したくなった」
「おいおい。俺のキスは満足いかなかったのかァ?」
「ううん。さいっ、こう!」
「っ、」
間近にある瞳が脈打つのが見えた。ゆっくりと瞬きながら見上げて「でもキスだけじゃ足りない」と付け足す。両手を奪うように握りしめられて、指に指が絡められた。ぎゅと強く握り締めると握り返される。たったそれだけで私はもう彼の物になったような気分になった。額に汗が滲む顔。頬が赤く上気しているのだから私と同じように欲情に落ちたいと思っているはずなのに、彼はそれ以上は触ろうとしない。
「本当は、先に言うことがあったんだ」
「……?」
「でも、お前が先に……っ、あぁ、俺……我慢できないかも」
じっとりと濡れた肌に吸い込まれるようにして、サッチの顔が近づいてくる。首元に落ちた口付けが刺激を繰り返した。
「ん……」
「さっき、呼ばれていただろ」
「……うん。何だったの?」
「お前の取り扱いについておおよそ決まったって」
「へぇ……。……っ、あ……ちょ、話すのか、するのか、どっちかにっ」
「やーだよ」
頭の横に挙げられた両手にはサッチの手が絡ませられていて、しっかりと固定されている。いくら身を捩ったところでその場から逃れることはできない。軽い口調でどちらの行為もやめないことを告げたサッチが話を続けながら、今度は鎖骨の辺りを集中的に弄びだした。
「お前の能力が、今の時点でどうなっているのかはまだ分からないから。分かるまでは隊長格と交わってもいいそうだ」
「そ……う……っ、あぁっ。やめ……くすぐったんだって!」
「くすぐったい……? 本当に?」
ニヒルな笑みを浮かべたサッチが、絡んでいた指を抜き取る。ようやく解放されるとホッとしたのも束の間。片手で両手をまとめ上げられて、私の両手は頭の上でしっかりと固定されてしまった。
っ――――!
肌の上を指が滑る。
「っ、だからくすぐったいって!」
「へぇ……じゃあ、これは?」
首元までしっかりと閉じていた服の第三,四ボタンを器用に片腕で外して、その間から指が入ってくる。「ん~~?」と見えない何かを探っているようだった。
「えーと。これが谷間で……」
「っ、」
「これを横に進むと……」
指が谷間を見つけた後に膨らみの頂点へと進んでいく。その実況中継を聞かされながら、私はされるがまま、その先を待つしかなった。だってこの人の腕、びくともしないんだもの……!
「……ふむふむ、これかな」
「っ、~~~~」
ふにふにと見つけた突起を押し沈めながら楽しそうに無邪気に笑うサッチが反応を楽しむように視線を下げてくる。
「やっ、あっ――、んっ」
「へぇ、いい声出すじゃん」
「あ~~。待って、そんな触ったら私……」
「ん? 私……」
「おかしくなっちゃぅ……んんっ!?」
言い終えるよりも早く、サッチが突起をきゅ、と握る。何度も、きゅ、きゅ、と繰り返される刺激が、脳を冒していった。
「はぁ……めっ、んん、あっ、きもちよすぎ……ぃ、あ……っ、」
逃れようと腰をくねらせてみても、足を踏ん張ってみても、上にある腕はビクともしない。なんつう力。でもそのおかげで全力で快感の波に抗うことができた。逃げ切れない渦の中で藻掻くのも……嫌いじゃない。……けど、どうしてか、口からは「やめて」と言ってしまう。そこはいつだって止められない。
ふふ、と笑みを零したサッチが、急に腕を解いてくれた。ようやくまともに息が出来る。浅い呼吸から深い呼吸へ。その最中も過敏になった全身が節々で快感を作り出して身を震わせた。はぁ……。私の体、どうなってるのよ、ほんと。ベッドに体を沈めたまま、とろんとした目を開く。「気持ちよかったか?」と甘い声が耳元でした。頷きを返しながら、頬を撫でる手を感じて目を閉じた。
「さぁて。意地悪っ子へのお仕置きの続きをしないとな」
「…………?」
「服、自分で抜いてごらん」
「え…………あ、うん…………」
言われるがまま、上体を起こして胸元のボタンを上から外していく。彼はその様子を向かい合って間近でじっと見ていた。ただそれだけだったのに、体の熱が上がっていく。
「綺麗な肌、してるね」
ボタンを外していく間、サッチは人差し指を一本だけ使って、私の肌を撫でた。首筋から鎖骨を通って下へ降りていく。時折堪らなくなって手を止めたら「手は止めないの」と軽いお叱りを受ける。腹までボタンを外したところで、胸元はほぼ全開になっていた。人差し指が、ブラジャーの縁の肌をなぞっていく。ボタンを全て外したところで、縁から中へ指が滑り込んできた。ずりずりと、隙間を撫でる指が、胸と布の間で蠢く。決して強くはないけれど、すっかり尖った先っぽのところはより強く圧迫されてしまうので、そこを通る度に強い刺激が体を襲った。
「見えそうで見えないね。ここ、さっきからずっとこりこりしてるけど、何があるのかな。気になるなァ~~」
そんなことを言いながら、彼は素知らぬ顔で、もう一本の人差し指をもう片方の胸の隙間に入れて、両胸の突起をくにくにと弄びだした。
「んんっ、だめっ、こんなの……気持ち良すぎて……」
「へぇ、気持ちいいんだ。じゃあお仕置きにならない……?」
「っ、」
「それとも、このままずぅーっと、一晩触ろうか? 俺、この乳首の柔らかいところ触るの大好きでさ。まぁ、たわわのところももちろん好きだよ? でもやっぱこの、」
「あんっ…………」
「柔らかく、かつ……」
「んっ、はぁんっ…………」
「こりっとした感覚が堪らなくってさ……」
彼はそう言うと、手慣れた様子でフロントフックに手を掛けて、押し込められていた胸を解放した。
「綺麗だね……」
ちゅ、と優しい口付けが乳輪に落とされた。それを見ながら、このまま胸だけで蹂躙され続けるのだろうかと、想像し、下半身が疼いたのを感じた。
「っ、」
私は相当な変態になったらしい。早く次を触って欲しいのに、このまま焦らされ続けるのを望んでいる自分がいる。
「いただきます……」
ちゅぅ――サッチが乳首を口の中に収めた。舌先がころりころりと優しく撫で付ける。指とは比べものにならない優しい感覚に、ぱちぱちと視界が弾ける。
「はぁんっ!?」
ふ――と彼が楽しそうに目を細めた。そして、そのまま後ろに押し倒された。ふわりと鼻先を香った、匂いにぎょっとする。あぁ、やばい、どうしよう。私…………。
サッチが膝の置き場を変えようとしたとき、布団が濡れていることに気付いて視線を下に落とす。
「あれ~? これ、まさか……」
「っ、」
短パンの際はもうすでにべとべとで、そこから溢れ出した愛液が、ベッドを濡らしていた。
「胸だけでこうなっちゃう? 俺の攻め、そんなに良かった?」
「…………」
「むふふふ。どうやら、体は正直なようで、」
短パンを剥ぎ取られて、もう意味をなしていない下着も抜き取られる。てらてらと光っているそこがひくついていた。
「お望みなら、ここも同じように攻めてやるけど?」
飄々とそう言ってのけたサッチが、私の返事を待つ間もなく、私の両膝を立てた。ふむ、と数秒考え込んだ後に、近くにあった替えのシーツを取り出して、太ももを折ったまま縛った。
「よし、これで……閉じられないだろ?」
私は正座の体勢のまま、ベッドに倒された。もちろん、彼の方からはよく陰部が見えるようになっている。頭を動かして下を見ようとしたところで彼が何をしているのかは全く見えず、……というか、すぐにそれどころではなくなった。
「指一本あれば、お仕置きはできるんだよなァ」と、開始の合図が鳴った。

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