丸一日眠り、次の日の夜。すごい音で目が覚めた。ドゴン――いや、ドガン……? とにかく、馬鹿でかい音だった。
「っ、!!?」
音が聞こえた瞬間、弾けるようにしてベッドの上で飛び起きる。
「さすがに起きたか」
しれっとそう言ったのは、ベッド脇に座っていた副船長だった。
「…………何の音?」
「お頭が挨拶に行っただけだ」
「…………そう」
本当は「挨拶?」「誰に?」「どうして?」と聞くべきシチュエーションなんだろうけど、今はとにかく体がだるい。あと、喉乾いた。咳払いをひとつ、まだぼんやりとしている頭でどうしてこうなったんだっけと思い出しつつ、ぼやけた視界を元に戻そうと目を擦る。
「ん」
目の前に差し出された水の入ったコップ。大変有り難い。お礼を言う間もなくそれを受け取って喉に流し入れた。本当に乾いていたからそれはもうがっついた。コップ一杯の水を一気に飲みきったあと、ふぅ――と息を吐き出す。くすりと笑う声に目を向けて、「ありがとうございます。助かりました」とお礼を言った。
「この後なまえも会うことになるだろうから、身支度をしておいた方がいい」
「…………ん?」
「あんまり目、擦るなよ。顔洗って来い」
「…………え?」
「あと服も新しいのを用意してある。そこの机の上に置いているから着替えておけよ」
「…………は、い?」
「じゃあ、俺はもう行く」
「…………ちょっ!!?」
風のようにあっという間に去っていった副船長は、寝起きの人間に畳みかけるようにしてあれしろこれしろ……と。あぁもう考えるのも億劫になるじゃんか。理由考えるのも面倒になるから、従うしかなくなるじゃんか。…………なんかずるい。
「あ――そういや、あの人ずるがしこい人だった」
……取り敢えず起きよう。言う通りにするのは癪だけど、まずは身支度しようか。

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