俺の宝物

「たいさぁっ!!」

振り向くと、そこには目に涙を溜めて、絶対泣くもんかと強がる姿――

「チッ……」

そんな顔すんな――、今の俺の眉間には皺が寄っていることだろう。

「絶対、帰って来て下さいよ!」

その叫び声は震えていた――

「……」

2人の距離は遠く、港の桟橋に立つなまえの元へは戻れなかった。船は徐々に離れていく。ついには我慢しきれずになまえは泣いてしまった。

「泣いてんじゃねぇよ……」

抱きしめることもできず、その姿を見つめる。愛しい人のボロボロと涙を流す姿が目に焼き付いた。

:

あれから2年――

ようやく里帰りの許可が出た。港に船が着く間もなく、船から飛び降りる。歩く速度からだんだん早足に、最後には走っていた。ある家の前で足を止める。2人で暮らした懐かしい家。

「変わってねぇ」

息を整えながら、家を仰ぎ見る。

「……大佐!? え、うそ、大佐っ!?」

通りの向こう側から聞こえる懐かしい声。待ち望んだ反応。

「え、ちょっ! なんで、連絡……連絡ぐらいしてよ! あ、こら、ストップ!!」

なんだ?なまえの前を小さいのが歩いている?

「こ~~ら!」

小さいのを捕まえると抱き抱えて言った。

「ほら、あの人がパパだよ」
「ぱーぱー?」
「――ッ!?」

脳裏に浮かんだその言葉の意味を一歩一歩、ゆっくりと近づいて確かめる。驚かせないように2人の元へ辿り着くと、2人は太陽のような笑顔で笑ってくれた。

「大佐って、子供のころから白髪なの? この子、髪が白いんだけど……」

その小さいのは俺の小さい頃にそっくりだった。

「……俺の子か?」
「ふふふ、そうよ。そっくりでしょ?」

見て見てと顔の近くに抱えられたその子は「ぱぱ? ぱぱー?」と言う。なまえが「ぱぱだよ」というと、俺に向かって手をめいいっぱい広げる。戸惑いつつも手を伸ばす。離すよ? と言われて、黙って頷き、しっかりと抱き抱えた。暖かい。命の重みを感じる。

「くっ……そっ……」
「ん?」
「――ッ」
「え、何? どうしたの? まさか泣いてる?」

もう、顔は涙でぐちゃぐちゃだった。あの鬼の形相はどこへいったの! 変なものでも食べたんじゃない? となまえが笑う。あいている方の手で自分の顔を覆い、嗚咽を交えながら絞り出すように言った。

「っ…………す、まねぇ…………言葉が、出てこねぇ……」
「まま? ぱぱ、痛いの?」
「ううん。大丈夫よ。嬉しいのよ」

そう言うと、涙が止まるまでなまえは隣で静かに笑っていた。

:

150107 End.
150216 修正

Afterword

大佐がお父さんに。くっそ楽しい(*≧∀≦*)!!

 

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