Is not she in love with love?

第10話 初心を忘れてはいけない

ガタンガタンと嫌な音を立てながら扉が閉まっていく。それを見た後、「明日は点検させるか」と呟いた社長を見た。「一体何がどうなっているんですか?」こうなった理由を求めるようにして真っ直ぐ彼を見上げた。唇を結んで、できる限りの怒った顔をして見せた…

第9話 策士策におぼれる

その夜、私は先輩と色々な話をして仲良くなった。付き合うまではいかなかったにしろ、また来ようなって、そう約束を交わした。嬉しかった。月曜日になった。今日もいつもと同じ時間に会社に向かう。  「あの後、先輩と飲みに行ったんです。それで結構いい雰…

第7話 妥協することを覚えろ

席に着いて、水の入ったグラスを抱えたまま、テーブルに置かれた蝋燭の炎を見ていた。水を飲んだらだいぶ落ち着いた気がする。今日は嵐のように色々なことが起こる日だ。グラスをテーブルに置いて視線を上げると、目が合う。彼は台風の目のように静かに私を見…

第6話 ただし、無駄になる場合も考えられる

駆け出した足でビルを出て、顔を上げて「少しだけ待って下さい」と言おうとしたら、立ち止まってこちらを見ていた彼と目が合った。ウィン自動ドアが閉まって、数十秒、私は動けなかった。明かりが消える。どうやらここはセンサー式らしい。それが幸いした。混…

第4話 「運命」という言葉にも要注意

次の日の朝、に会った。がエレベーターに入って来て俺の隣に納まる。一拍間を置いてすぐに声をかけた。「デートはどうだった」視線はまっすぐ前を見つめたまま。いつも通り静かな声でそう言った。それを聞いたは肩を飛び上がせた。まっすぐ前を向いていても分…

第3話 「王子」は大抵幻想

愛煙家である俺の会社には喫煙スペースがある。室内はもちろん中庭の一角にもそれなりの広さのスペースがあった。株主等は眉間に皺を寄せて狭めろ狭めろと言ってくるが俺が社長である限りは絶対にここだけは死守すると誓っている。……特に誰に、というわけで…

第2話 少女漫画の読み過ぎには注意しろ

いつの間にか彼女との会話が日常になっている。降りていくの背中を見ながらぼんやりと当たり前になった彼女とのやりとりを考えた。それも、このエレベーターの中でだけ。廊下ですれ違おうが目も合わせない。少なくとも、はそうだった。俺もなんとなくの方を見…

第1話 恋に恋していないか?

最近、出勤時エレベーターでいつも同じ時間に乗り合わせる女社員がいる。その社員はおそらく俺のことを知らない。一年に一回必ずある講演で俺は全社員の前に立つ。少なくともその時に顔を見るはずだ。だから社員達は俺のことを知っていて当然のはずなのだが、…