菜種梅雨
気まぐれでいつもとは違う道を通ってみた。いつもとは違う駅で降りて、いつもとは違う空を見上げて、いつもとは違う風景を前にして足を止める。交差点の赤信号。行き交う人々の会話が途切れ途切れに聞こえてくる。「もう少しで雨降るってさ」「え、雨?」「明…
赤髪_短編現代
酷いと思ってないの?
朝。いつも通り目が覚めた。隣にはいつもいるはずの人がいなかった。まだ半開きの目を擦りながらゆっくりと息を吐き出して言う。「…………悪いと思ってるなら帰ってくればいいじゃん」::昨日の夜のこと。この夜はいつもと違っていた。いつもなら絶対にすっ…
赤髪_短編現代
くちびるが色付くまで
しとしとと降り注ぐ真っ白なそれはいつの間にか靴先を被い込んで白く染めた。はぁと吐き出した吐息が真っ白に染まって背景の白と一体になる。そうして暗闇の中へと消えていった。それにはたと気が付いたとき、は初めて時計を確認した。「19時……」はぁ、は…
赤髪_短編現代
欲情するのは唯一無二のその唇
― 「なぜこうもかぶるのか」続き ― 夜は寒いけど嫌いじゃない。暗いけど怖くない。だって、毎夜毎夜開かれる宴のお陰で大抵みんなでバカ騒ぎしているから。アッハッハッなぁんてバカみたいな大声を上げて、ガッシャン、ガッシャン…
赤髪_短編原作
なぜこうもかぶるのか
船上で大宴会は赤髪のシャンクスの船なら毎度のこと。だからみんな慣れたもの……だけど。「さすがに5日連続はつかれるよ……」そう言いながら甲板の手すりに捕まって息を吐き出す。もうグッタリだ。「よぉ、飲まないのか?」そんな連日の宴にももろともせず…
赤髪_短編原作
無意識のゼロセンチ
「いつもご来店ありがとうございます」「ん? なんだいこれは?」「もう! 今日が何の日か知らないんですか?」軽くほっぺを膨らませて怒る少女に思わず口がほころぶ。「あぁ、知っているさ。バレインタインだろ?」「そうです! 知ってるなら知らないふり…
赤髪_短編原作
片腕の男
「もう行っちゃうんですか?」「あぁ」「寂しいです」「そう言われてもな」ハハッと乾いた笑い声。掴んでいた服がするりと手から逃げていく。「どうしても?」「あぁ」「そっか……」「じゃあな」「……うん、さようなら」一晩だけ共にしたその人は海賊で。割…
赤髪_短編原作