淋しい宇宙を飼い慣らす
クロコダイルが私を好いているらしい人伝いに知った。クロコダイルが私のことを好いている? 当の本人からすれば『本当に?』と何度も聞き返したくなる話だった。どうせ尾ひれ背びれがついた噂話だろう。その時はそう飲み込んだ。だって、クロコダイルと私は…
鰐_短編現代
本当に不器用な人
「さぁ選べ。生きるか、死ぬかどちらかだ」そう言ったその人は監獄の中でうずくまっていた私の喉にフックの切っ先を突きつけて不敵に笑っていた。まるで、「お前の答えなんてもうとうに知っているがな」なんて、言われているような気分だった。だから、敢えて…
鰐_短編原作
喧嘩してしまったのだからしょうがない
カチャンそっとドアを閉めたあと、部屋の奥にある小さなベットに目を向ける。そこにはこの部屋の主が横たわっていた。小さくついたため息が静かな闇の中へと消えていく。ここはの部屋だった。いつの間にか自分の足はの部屋に向かって歩いていたようで、気がつ…
鰐_短編原作
されるがままんて嫌よ
今日は珍しく時間があるらしい。朝起きると、ソファに堂々と腰掛けたダイルが新聞を開いて優雅な時間を過ごしていた。こっちの姿を確認したダイルが目で追ってくる。その視線を感じながら、のろのろと歩いてダイルが座るソファの角にちょこんと腰を置く。寝起…
鰐_短編原作
私は宝物?
「なんだと! 俺が悪いっていうのかよ!」「い、いえ、とんでもございません!」2階で一服していたときだった。1階から怒声が聞こえ、聞き慣れた奴の慌てた声が耳に飛び込んできた。「やけに騒がしいな」葉巻を加えたままコートを翻し、声のする方へ歩く。…
鰐_短編原作
愛おしくて狂おしい
今、俺は俺のベッドでスヤスヤと眠るこいつが憎たらしい仕事を終えて帰宅すると部屋に電気が灯っていた。おかしい……鍵はかけたはずだ。使用人に声をかけようと探したが、さすがに深夜2時に出歩いているものはいない。かといって、ビビるようなことでもない…
鰐_短編原作
あなたは私に恋をした
ガチャン天井まで続く大きな2枚の扉の片方だけを遠慮がちに押す。お……重い。折れそうな心を何とかごまかし、力の限り押すと扉に勢いがついたようで、ギィっと開くことができた。「部屋に入るだけでそんなに時間をかけるな」部屋の中には書類に目を向けて仕…
鰐_短編原作
眠るきみに秘密の愛をやろうじゃねぇか
「失礼します」カラカラと車輪が廻る。この古びれた台車との付き合いももう数十年になる。幼い頃から変わることなく繰り返される作業。真っ白なシーツを回収し、ゴミ箱のゴミを捨て、身の回りのものを整えていく。人が使った後の部屋を丁寧に整え痕跡を消して…
鰐_短編原作