love at first sight

欲しいものは

「…………せん、せい?」「大丈夫です、さん。俺が送るんで、タクシーは呼ばなくていいです」「あ……はい。わかり……「さん」」またあの笑顔だ。爽やかな笑顔。初めて見た笑顔。いつもの先生とは違う……これはなんと言ったらいいのか……。「先生、怒って…

今更かもしれないけれど

「…………彼奴、あんな奴だったんですね」「え? あぁ、はい。そうなんです。結構甘えん坊なんですよ。普段は長男らしいんですけどね」ふふふ笑みを零しながら後ろに振り返ると、にっこりといい笑顔の先生が両腕を組んでいた。「ちゅう、」「え?」「サボに…

微睡む夢の中

長い廊下。エレベーターで上層へ向かい、ついた先のフロアをまた歩く。本当に広いな、この会社。 「」「ん?」突き当りの扉の少し前、サボが足を止めた。「言いたいことある。……いいか?」「……え? 今……ここで? ……別にいいけど。急にど…

待ち合わせ

最終的に、おじいちゃんは、私とシャンクス先生の交際を認めてくれた。先生が退室した後に、「どうしてそんなに先生のことが嫌いなの?」と聞いたら、「それは違う。シャンクスが嫌いなのではない。ただ単純に、に悪い虫が付くのが嫌なだけだ」と父さんに横か…

夕焼け空を見上げた日

「えぇっと。私の方から、先にお伝えしておきたいことがあります」先生が背筋を伸ばして、一際大きな声を出した。おじいちゃんの方に向けて座り直し、真剣な眼差しを向ける。先生が説得するべき相手はおじいちゃんだから、当然だろう。先生の横顔はいつもより…

好きとか嫌いとかそういうことじゃなくて

通された部屋は、応接室らしい。父さんはアメリカ支社の社長なので、こっちに自分の部屋は持っていないそうだ。同じ会社とは言え、国内外では色々と具合がうまくいかなかったりするのかなぁ? と首を捻っていたけれど、日本支店社長を担当していた時期があっ…

唇に触れるなんて程遠い

「サボごめん。寝ててもいい?」「あぁ、いいぞ。着いたら起こす」「……ありがとう」支度を整えた俺とは車に乗り込んだ。台風の真っ只中を走行する。フロントガラスは打ち付ける大雨で視界が悪い。こんなところで事故に遭うのはごめんだ。幸い、車の通りは少…

可愛い悪戯

シャンクス先生とお付き合いするようになってから一週間。台風の日だった。あの日、父さんに送ったRINEの返事は未だに返ってこない。出張から戻ったサボは普段と変わりがなく、まるであの電話はなかったかように錯覚するほどだった。サボに婚約の話をした…

小指を繋ぐ赤い糸

婚約? 先生と私が? 今日付き合ったばかりなのに?サボとの電話をなんとか切り上げた後、部屋に戻ろうにも戻れない。もしかして先生の付き合うって、婚約って意味だった?いやいや、そうだとしても、どうして父さんがそんな話をサボにしているの?本人が知…

恋の病につける薬なし

『手筈が整いました』と先生が戻ってきてから連れて行かれたのは先生のおすすめの料理店だった。高層ビルの一階、ホテルのようにも見て取れる建物の玄関に、私たちは立っている。……ドアマンがいるんだけど。気軽に行けるところと聞いていたのに……あれ、お…

吐息の行方

攻防はしばらく続いた。「……分かりました」最終的に、見事勝利を勝ち取ったのはシャンクス先生だった。「っ、本当ですか!?!?!?」やった! と喜ぶ男の隣でこんなにも渋々了承する女が私以外にいるものだろうか。ちなみに、顔面は耳も含めて真っ赤であ…

言葉に出せない想いを文字に託して

はじめに感じたのは喉の渇きだった。ゆっくりと瞬いて体を起こすと、そこは見慣れない部屋。一瞬で現実に引き戻される。「え……ここ、どこ……」慌てて立ち上がったところで、「起きました?」後ろから声がした。振り返ると、そこにはシャンクス先生がいた。…