05 決める暇があればの話だけど
入り組んだ路地裏の奥に逃げ込んだ。はぁはぁと息を吐き出して乱れた呼吸を落ち着かせる。隣を見るとあの男が壁に張り付いて角の向こうを見ていた。息を潜めていたらバタバタバタとまた足音が近づいてくる。逃げないと! 走りだそうとしたら男が腕を掴んでシ…
世界が私を変えていく
04 転機かどうか、それ決めるのはあくまで私
通りの隅っこ。暗い影。暗黙の了解で客待ちをしてもいいとされている場所で通りを歩いていく人をぼっと眺めていた。「ねぇそこの君。相手してよ」明るい声色だった。私は珍しいものを見るような目でその声のした方に顔を向けた。大抵の客は何も言わない。ふい…
世界が私を変えていく
03 変わっていくようで変わらないもの
最近よく見る顔がいる。一度も話したことはないし、一度も顔を合わせたこともない。ただこちらが一方的に知っているだけの相手だ。その人は男で、すごく背が高い。そして真っ白なスーツを着ている。灰色の世界じゃ白は目立つ。だからその人がいるときはすぐに…
世界が私を変えていく
02 無知は罪だと博士が言う
この世界にはタグ付きという者がいる。そしてタグ付は物、として扱われたり、化け物と言われたり。とにかく、人間とは違うものという認識の上にいる者たちだった。もちろんそれは本人達の望むところではない。しかし、そう言わざる得ない能力を持っているから…
世界が私を変えていく
01 廃屋の奥にある私の日常
灰色の世界。それが私が育った世界。灰色の煉瓦が囲われた入り組んだ迷路。それが私たちの生きる場所。通りを曲がって進んだ先、そこに私たちはいる。私たちはこの灰色を真っ赤に染め上げる朱色の中で必死に生きている。今も「っ、ふ」乱れた呼吸に乱れた服。…
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