紺いろの蝶ちょが棲んでいるからね
無事に隊主会を終えた後、私と市丸隊長は帰路につく。のんびりと歩きながら、今日の夕飯はなんだろうか、とそんな話をしていた時のこと。「お~い!」上空から声がして顔を上げる。音もなく現れた影が、壁上、瓦の上に降り立った。金色の髪が光を反射してきら…
うつらうつら春の棲みかで
吐いた感かくでもう胃がざわめきそう
が目覚めた。その吉報のち、十三番隊隊長、浮竹十四郎が目を覚ましたという報告が、護廷十三隊、全隊内を駆け巡った。その後、一週間の時を経て開かれた隊首会。その場には、永らく続く欠席から復活を果たした、浮竹十四郎の姿があった。 「浮竹ぇ……!」浮…
うつらうつら春の棲みかで
わたしは遺体をあいのことばでぬりたくる術をわすれた
浮竹隊長大きな扉を潜った先、へたり込んだ私は、部屋の中央にある球体を見上げた。青白い液体の中に、色の薄い浮竹隊長の体が細々と浮いている。「うっ…………」嘔吐く。何度も。ここに来る直前に何も食べていなくって良かった。胃をひっくり返す勢いでその…
うつらうつら春の棲みかで
あなたは夜るの棘とげに刺されてしんでしまった
「ふぅ…………」久々の自室だ。「掃除は軽くしておいたよ」と言ってくれた寮のおばちゃんに感謝しかない。大方は記憶のままの部屋だけれど、実際は五年もの月日が流れている。あーたぶん、ここにお花を置いていた気がする……。窓際の机にある空っぽの花瓶が…
うつらうつら春の棲みかで
かちのない肌膚のとんがりだ
目覚めてから聞かされた、眠っていた五年間のこと。まず、私の状態は普段通り、刀を使用したことによる代償であることが検査で分かったそうだ。眠る期間については恐らく使用時の力の総量に影響されるのだろう、と、三番隊隊長で私の能力に詳しい市丸隊長が申…
うつらうつら春の棲みかで
余りにきれいで放っておかれた
久しぶりに会ったイヅルは少しだけ大人びて見えた。でも、浮き足立ってそわそわしている感じは私の知っている彼のまま。少し、ほっとした。私が眠っていたらしい、五年の歳月が流れても変わっていないものはあるらしい。「落ち着き、イヅル」「だって隊長! …
うつらうつら春の棲みかで
みてみぬふりの安寧のなかみだ
それから私は長い眠りについた。の力は、ある一定の量を超えて乱用した場合に限り、代償を必要とする。それは、斬魄刀の持ち主である私と、力を使われた側、両方に課せられる。代償は、深い眠りに入ることによるだ。だから、私はひたすら眠る必要があった。そ…
うつらうつら春の棲みかで
わたしの穢れたつちいろだ
浮竹隊長の儀式は滞りなく執り行われた。予想外のトラブルはあったものの、思いの外、呆気なくミミハギ様は浮竹隊長から引き剥がされ、御神体は元の社へと戻されていった。また必要とされるその時まで、そこに封印されるらしい。「これはサン」儀式において、…
うつらうつら春の棲みかで
きずつけられたみどりのうみべが
今日は、浮竹隊長と約束していたあのことについて話をするために、雨乾堂に来ている。「浮竹隊長を呼んで参りますので、こちらでお待ちください」「ありがとう、ルキア」こくりと返って来た頷きと笑顔。こちらも顔を綻ばせて答える。十三番隊を離れてから早十…
うつらうつら春の棲みかで
あざやかなとんちをきかせた
冬がやってきた。尸魂界の冬は現世と似ている。ここ何十年かは、現世に視察に行ってきた隊士達が、現世の文化を持ち帰ってくるようになっていた。大した娯楽もないものだから尸魂界全体が流行り物に乗っかって現世と同じように季節が流れていく。現世の冬には…
うつらうつら春の棲みかで
いびつなゆうれいをかじる
「…………え?」一体何時から? 一体何時から、貴方はそこに立っていたのですか。貴方はそこから、ずっと……私と浮竹隊長のやりとりを見つめていたのですか。「正直、目を疑った」これは……、何というか、……かなり切羽詰まった状況なのではないでしょう…
うつらうつら春の棲みかで
わな
「どうして浮竹が、五番隊と三番隊の懇親会の日程を知っていたと思う?」背後から差し迫る気配が淡々と言った。「っ、」背筋がゾと凍る。振り返ったところに立っていたのは、藍染隊長だった。::時は少し前に遡る。今日は五番隊と三番隊の懇親会だった。私は…
うつらうつら春の棲みかで