08
ルッチさんと出会ってもうすぐ1年が経つ。あの出来事の後、しばらくして私は仕事を辞めた。……なぜなら。「」「おかえりなさい、ルッチさん」この人がどうしても駄目だというものだから。「ご飯はもう食べていますか?」「あァ。風呂に入ってくる」「はい」…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
07
乗れと急に言われた後、その言葉の意味が理解しきれなくて、呆然としていた。携帯を取り出したルッチさんが手際よく誰かに電話をかけ始めるのをただ見つめる。最後の方、なんか言い合いになっていたっぽいけど大丈夫なのだろうか……。ブチリと通話を切ってし…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
06
ギシリギシリという音がした。パタンと扉が閉まる音。ゆっくりと意識が浮上してくる。香りがした。爽やかで安らぐ香り。嫌いじゃない。誰かが部屋にいる。気配を感じた。いつもなら飛び起きるところだが、今日はなぜかそういう気分にならなかった。動きたくな…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
05
「あら、。早かったわね」「あーっと、……」はは、と苦笑いを浮かべるとカリファさんが首を傾げた。「実はまだ終わっていなくて」「……どうしたの? 何か問題でも? ……まさかあいつ!!」部屋に向かおうとするカリファさんの腕を思わず掴む。「ちがっ」…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
04
なんとか掃除を済ませて、次の予約5分前には落ち着いて休憩を取ることができた。マッサージってする側は結構体力を使うからこまめに休息を取らないと持たないんだよね。煎れ立ての紅茶で体を温めて深く息を吐き出す。こうしているときが一番幸せ。「~、ルッ…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
03
無事にクザンさんの施術が終わり、シャワーを浴びるのを待って見送りをする。「ちゃん、タオル忘れた」「ちょっと、もう何回目ですか、それ」「いいから~」はいはいと心底面倒だという声を出しながらバタバタと準備する。次の予約の人の準備を一端中断して、…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
02
「ちゃ~~ん」やっ、と軽く手を挙げながらどうどうと入店してきた大男。白いスーツに青いシャツ。カツンカツンと靴を慣らしながら、その人はにこにこと笑いながら歩いてくる。「クザンさん、お久しぶりです」「ん、久しぶりだね。元気だった?」手慣れた手つ…
人間はこの欲望に似た感情を"恋"と呼ぶのか
01
時刻はもう夕方。加えて今日は金曜日。仕事終わりにちょいとマッサージでも……と訪れてくれるお客様方が増える曜日だった。店にスタッフは一人。普段なら店長のカリファさんや他のスタッフがいるのだけれども、あいにく今日は研修とやらでみんな出払っていて…
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