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	<title>弟子と娘と私とあなた &#8211; 真夏</title>
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		<title>なになに？私に惚れたって？</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:39:49 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「さんってどうやって鷹の目と今みたいになったんだ？」 それは本当に不思議に思っていたとペローナちゃんも声を上げる。 「え、そんなに変かな？」 「変じゃないけど、どうやってこうなったのかすごく気になる」 こうなったって……...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5128" title="続きを読むなになに？私に惚れたって？">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「なまえさんってどうやって鷹の目と今みたいになったんだ？」</p>
<p>それは本当に不思議に思っていたとペローナちゃんも声を上げる。</p>
<p>「え、そんなに変かな？」<br />
「変じゃないけど、どうやってこうなったのかすごく気になる」</p>
<p>こうなったって……なんかなっちゃいけなかった的な？　まぁ、そりゃあ、本部の人たちにはこれでもかというぐらい反対されたよ。毎晩誰かしらに説得されていたし。うんざりするぐらい、やめておけと言われた。</p>
<p>「ん～、別に隠している訳じゃないし……」</p>
<p>いいよね？ミホーク。</p>
<p>出会いはミホーク曰く、暇つぶしに予約したマッサージだった。私はいつものお客の一人としてしか見ていなかった。初回、マッサージを終えて宿舎へ戻ろうとすると付き合えとバーへ誘われた。私はと言えば……もともとお金がなくてしがないマッサージ師をしているわけで。割と有名ではあるけど、高額な料金をもらっているわけではない。そんな遊ぶようなお金を私は持っていないのが現状。そうやって誘われる度にいつも全力でお断りしてきた。もちろん今回もそうするつもり。</p>
<p>……だけど。</p>
<p>「あの？」<br />
「こっちはつまらん会議の度にこうして来たくもないところに来ている。たまには飲みの相手ぐらい欲しい」<br />
「…………」</p>
<p>誘われる理由が今までの人と違う。サカズキさんは奢りたいから。クザンさんは下心が見え見え。ボルサリーノさんとセンゴクさんとは昼間に一緒にお茶してる。その他の人も下心があったり、恩を売ろうとしていたり。なんかお客として以外、夜をともに過ごすようなそんな仲になりたいとは思えなかった。</p>
<p>でも、彼の誘い文句は違っていた。本人は口にしないが、どうやら本当に寂しいらしい。思わずクスリと笑ってしまった。</p>
<p>「なぜ笑う」<br />
「いいえ、なんでもありません」</p>
<p>ゆっくりと首を左右に振りにこりと笑う。</p>
<p>「私なんかでお相手が勤まるようでしたらぜひ」</p>
<p>会話の最後にはきっと音符マークがついていたと思う。そうやって誰かに一緒にいて欲しいと求められたのが初めてだったからついつい浮かれてしまった。もちろん、のちに後悔する羽目になったのは言うまででもない。</p>
<p>「えっと。寂しいからではないのですか？」<br />
「ふむ……、間違いではないだろう？」<br />
「……あはは」</p>
<p>バーで軽く飲み、明日も仕事があった私は早々に帰ることを告げる。するとどうだ。この状況。</p>
<p>「送って下さったのには感謝致します。やっぱり夜道を一人で歩くのは怖いものなのでとても助かりました」<br />
「では、礼をいただこう」<br />
「うっ……」</p>
<p>この男、私の律儀な性格を利用しようというわけか。</p>
<p>「そ、それでしたら。明日今日と同じ時間でまたマッサージをするということでいかがでしょうか？」</p>
<p>あくまで私にとって彼は客でしかない。……というか、早くこの手を除けて欲しい。顔近い。……恥ずかしい。ニヤリと笑う男から顔を背ける。壁際に追い込まれてしまっては逃げられない。そもそも七武海の男から本気で逃げられるとは思ってはいないが、そこまではしないだろうと油断していた。</p>
<p>チクリ、頬に当たる感覚。</p>
<p>「ッ!?」</p>
<p>頬に落ちてきたキスは甘さよりも彼の髭の感覚が強くて。吃驚した。</p>
<p>「な、何するんですか!?　酔ってるんですか？」</p>
<p>軽く手を前に出せばすぐに離れた体。</p>
<p>「……そうだな。そういうことにしておこう」<br />
「……からかわないで下さい。私だってこういう経験ぐらいしたことはあります。絶対に流されませんからね！」</p>
<p>もう今日は帰って下さい！　と頬を膨らます。そうすると片眉を上げた彼が苦笑していた。なかなかうまくいかないものだなと彼は呟く。いいかげん、そろそろ風呂に入って寝てしまいたいと思っていた私は彼の懐の隙間からスルリと抜けだし、壁とは反対の方向へ逃れた。</p>
<p>「じゃ、私明日早いんで！　おやすみなさい」</p>
<p>パシンッ、握られた腕。</p>
<p>「もう、なんなんですか!?」<br />
「好きなんだが、どうしたらいい？」<br />
「はっ？」</p>
<p>そんなの……</p>
<p>「し、し……知りませんっ!!!」</p>
<p>それからのミホークの猛アタックぶりはすごかった。もはやストーカーだよ。</p>
<p>「ふ～ん、それでなまえは折れたの？」<br />
「うん、まぁ……ね」</p>
<p>「嘘を言え」</p>
<p>その時、ちょうどミホークが帰ってきた。ダイニングに全員が揃う。</p>
<p>「最後には俺に落ちていただろう」<br />
「何その俺様言動」</p>
<p>ブスリと頬を膨らませて膝を抱える。視線を逸らし、夜を降ろしたミホークがコートを脱いでソファに座る。</p>
<p>「アタックしたのは認めるが強要はしていない」<br />
「…………」</p>
<p>しばらくにらみ合いが続いた後、ふぅ～と息を吐いた。</p>
<p>「……参りました」<br />
「それでいい」</p>
<p>フッと笑う彼に観念する。お飲物でも？　と調子良く言えば、調子のいい奴めと毒づかれる。</p>
<p>「2人も何か飲む？」</p>
<p>「私、紅茶～！」<br />
「俺はコーヒー」</p>
<p>「はいはい」</p>
<p>そうだね。最後には私もあなたを追いかけていたと思うから。人のこと言えないなぁと思ったよ、ミホーク。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="margin-top: 80px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>150725 End.</p>
<details>
<summary>Afterword</summary>
<p>なんだかよく分からないまとまりのない話になってしまいました。やってしまった…………見切り発車。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>書きたかったのは夫婦そのものです。2人の間には絆があって、その絆は他の誰にも破ることができません。互いの存在が絶対の2人はとても落ち着いていて、まさに夫婦だと思います。例えゾロがヒロインに言い寄ったって、ミホークさんは一切焦るような事をしません。彼の中の彼女は自分一筋だと知っているから。そんなラブラブ過ぎる2人をギャグを交えた日常ものでお送り致しました。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>日常ものってネタがないから完全にお題サイトさまのお題に頼りきってしまいました。お題＝プロット的な？　そんなわけで、お題サイト運営者様に感謝感謝です！</p>
<p>ではでは(*^^*)</p>
</details>
<p>&nbsp;</p>
<p style="margin-top: 30px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<div class="ifw_wrap ifw_right"><button class="ifw_btn" data-postid="5128" data-buttoncount="2"><span class="material-symbols-rounded">favorite</span></button><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left" id="ifw_message_5128_2"><div class="ifw_message"><div class="ifw_text"><p class="ifw_processing">送信中です</p></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left ifw_thanks" id="ifw_thanks_5128_2"><div class="ifw_close" data-id="5128_2">×</div><div class="ifw_message"><div class="ifw_image"><img decoding="async" src="" id="ifw_image_5128_2"></div><div class="ifw_text" id="ifw_showmessage_5128_2"></div><div class="ifw_comment"><textarea class="ifw_textarea" id="ifw_comment_5128_2" placeholder="よければメッセージをどうぞ！"  maxlength="500"></textarea><p class="ifw_memo">※コメントは最大500文字、5回まで送信できます</p><div class="ifw_send_wrap"><button class="ifw_send" id="ifw_send_5128_2" data-postid="5128" data-buttoncount="2">送信</button><div class="ifw_sending_wrap"><span class="ifw_sending" id="ifw_sending_5128_2">送信中です</span><span class="ifw_sent" id="ifw_sent_5128_2">送信しました！</span></div></div></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div></div>]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>最先端をゆくファッション</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:38:25 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「……これは、何？」 稼ぎに出かけていたミホークが戻ってきた。その手には謎の複数の箱。 「買った」 「いや、それは見たら分かるよ」 丁寧にラッピングされた箱を見ればそれがプレゼントであることはさすがに分かる。問題は一体何...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5126" title="続きを読む最先端をゆくファッション">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「……これは、何？」</p>
<p>稼ぎに出かけていたミホークが戻ってきた。その手には謎の複数の箱。</p>
<p>「買った」<br />
「いや、それは見たら分かるよ」</p>
<p>丁寧にラッピングされた箱を見ればそれがプレゼントであることはさすがに分かる。問題は一体何のプレゼントかということだ。誕生日でもない、記念日でもない……よね？　そもそも記念日なんて興味ないから私忘れちゃったし。……もしかして今日だったのかな？</p>
<p>「なんかの記念日とか？」<br />
「記念日？　なんだそれは」</p>
<p>……どうやらミホークも興味なかったらしい。じゃあなんだ？</p>
<p>「で、私にどうしろと？」<br />
「着てみろ」<br />
「これを？」</p>
<p>着てみろということは服ということだろう。机の上に乱暴に置かれた箱。その中でも一番大きなものを手前に取り出し、丁寧に巻かれたリボンをほどいていく。ミホークがこれをお願いしているところを想像するだけで笑っちゃう私って失礼かな？　そんなことを思いながら蓋を開けた。</p>
<p>綺麗な布地。肩の部分を両手で持ち、持ち上げる。黒の布地に所々に金の刺繍。スリッドが大きく入ったドレスだった。裏地は赤で、なかなか……</p>
<p>「派手だな」</p>
<p>ふぁ～とあくびをしながら部屋に入ってきたペローナちゃんが私の心の声を代弁してくれた。まさに私が思っていたこと。</p>
<p>「おはよ～ペローナちゃん」<br />
「おはよう。それは？」<br />
「プレゼント？」<br />
「なんで疑問系なんだよ？」</p>
<p>確かにと思いながら苦笑する。今度はミホークの方を向いて、確認するようにプレゼント？　と聞いてみた。視線をそらされた。……プレゼントだよね？</p>
<p>「そっちのは？」</p>
<p>興味津々のペローナちゃんが小さな箱を手に取る。なんだろうねぇと一緒に開くと、ドレスに合わせたアクセサリーだった。イヤリングにネックレス。ブレスレットまで。</p>
<p>「これ、どうしたの？」<br />
「作らせた」<br />
「は？」</p>
<p>衝撃のあまり固まる私たち二人。文句あるかとこちらを見つめるミホークにだんだん沸き上がってくる感情。あれ、なんか。もしかして照れてる？</p>
<p>「あの～鷹の目のミホークさん？」<br />
「……なんだ」<br />
「照れてますか？」<br />
「……いいから、着てみろ」<br />
「……うん」</p>
<p>半ば強引に着せられたドレス。こんなの着たことがない。けど、見た目は派手な割に着心地はとても良くて、うん、悪い気はしなかった。一緒にそろえられたヒールも履き、2人にお披露目する。</p>
<p>「ど、どう？」<br />
「なんだ似合うじゃねぇか!!」</p>
<p>色っぽい！と私の周りをクルクル回るペローナちゃんに恥ずかしいからやめてと言う。でも素直に嬉しかった。ミホークはと言えば、何かを考えている様子で黙り込んでいた。視線が絡み、似合ってなかったのかなぁ？と首を傾げるとミホークが椅子から立ち上がってこちらへ向かって歩いてくる。</p>
<p>スッと後ろに回られて追うように首を向けようとすると前を向いていろと直された。しばらく待っているとヒヤリとする感覚。胸元に目をやるとネックレスが巻かれていた。パチンと後ろで止められたそれ。もしかして、つけてくれたの？　ミホークが？　驚きつつ振り返ると、見上げる高さにある彼の顔が満足そうに笑っていた。</p>
<p>あとは……と呟くと、右手を捕まれる。スルスルと器用に小指にシルバーの輪が通された。すでに左手薬指にある輪が光る中、戸惑いながら顔を上げる。その真意を知りたかった。</p>
<p>「意味は？」<br />
「さぁな」</p>
<p>そのまま優しく抱きしめられる。ちょ、ペローナちゃんがいるんだからと言えば、すぐに離してくれた。</p>
<p>「来月、一緒に来てもらう」<br />
「来てもらう？　なんかのパーティがあるってこと？」<br />
「あぁ、会わせたい人がいる」<br />
「うん、分かった」</p>
<p>それでこうなったわけか……とようやく理解する。早々に部屋を出ていくミホークの後ろ姿に小さくお礼を言う。今度私も何か送ろうか。ワインがいいかな？　そんなことを思いながら新しく小指に増えた指輪を眺めていた。</p>
<p>ただ自分の最愛の人の自慢をしたかっただけらしい……そのことを知るのは来月の話。右手の小指の指輪は私をより魅力的にしてくれるおまじないだって。</p>
<div class="ifw_wrap ifw_right"><button class="ifw_btn" data-postid="5126" data-buttoncount="4"><span class="material-symbols-rounded">favorite</span></button><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left" id="ifw_message_5126_4"><div class="ifw_message"><div class="ifw_text"><p class="ifw_processing">送信中です</p></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left ifw_thanks" id="ifw_thanks_5126_4"><div class="ifw_close" data-id="5126_4">×</div><div class="ifw_message"><div class="ifw_image"><img decoding="async" src="" id="ifw_image_5126_4"></div><div class="ifw_text" id="ifw_showmessage_5126_4"></div><div class="ifw_comment"><textarea class="ifw_textarea" id="ifw_comment_5126_4" placeholder="よければメッセージをどうぞ！"  maxlength="500"></textarea><p class="ifw_memo">※コメントは最大500文字、5回まで送信できます</p><div class="ifw_send_wrap"><button class="ifw_send" id="ifw_send_5126_4" data-postid="5126" data-buttoncount="4">送信</button><div class="ifw_sending_wrap"><span class="ifw_sending" id="ifw_sending_5126_4">送信中です</span><span class="ifw_sent" id="ifw_sent_5126_4">送信しました！</span></div></div></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div></div>]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>私に触ると火傷するよ</title>
		<link>https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5124</link>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:38:07 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[まだ私がこの島に来る前のこと。ミホークと私は海軍本部で偶然に出会った。その時はまだ固定の客を持っていなかったので、本部に出張サービスに来て、体の疲れを取る手伝いをしていた。 コンコンとすでに開いていた扉を軽く叩く。こちら...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5124" title="続きを読む私に触ると火傷するよ">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>まだ私がこの島に来る前のこと。ミホークと私は海軍本部で偶然に出会った。その時はまだ固定の客を持っていなかったので、本部に出張サービスに来て、体の疲れを取る手伝いをしていた。</p>
<p>コンコンとすでに開いていた扉を軽く叩く。こちらにスッと向いたその目にニコリと笑えば、おぉもうそんな時間かとその人が声を漏らした。</p>
<p>「はい、お久しぶりです。サカズキさん」</p>
<p>執務机に座りもくもくと書類整理をしているサカズキさんの方へ歩いていく。</p>
<p>「お元気でしたか？」<br />
「まぁな」</p>
<p>本当ですか？　と、後ろに回る。</p>
<p>「ちょっと失礼します」</p>
<p>慣れたもので肩に手を置くとうむ……、と力を抜いて下さった。軽く触って筋肉の状態をチェックする。</p>
<p>「ん～、右側がちょっと……あ、立てます？」</p>
<p>やれやれと立ち上がったサカズキさんの腰から下もチェックする。</p>
<p>「……サカズキさん。また無茶しましたね？」<br />
「しとらん」<br />
「いやいや。筋肉は嘘をつきませんから。アキレス健のところ痛いでしょ？」</p>
<p>もう～と息を吐いて、自分の腰に両手を当てる。胸を張っていいかげんにして下さいと言えば、かなわんのと笑われた。</p>
<p>「じゃあ、マッサージするんで横になって下さい」</p>
<p>近くにある簡易ベッドを示せば面倒だとサカズキさんの眉間に皺がよる。</p>
<p>「そのペンを動かす度に痛そうな手首も少しはましになって仕事もはかどるようになると思いますけど？」</p>
<p>しぶしぶコートを脱いでベッドに横になるその人をにんまりと見た後、必要なタオルなど一式を準備する。それからはいつも通り、全身マッサージをして体の代謝をよくする。極めつけはこれ。</p>
<p>「針か」<br />
「えぇ、これが一番効きますからね」</p>
<p>ツボをつくように体の痛んだところに針を指していく。そこに軽く電気を流せば嘘のように痛みは取れていく。</p>
<p>「はい、終わりです。お疲れさまでした。手動かして見て下さい」<br />
「ふむ……」</p>
<p>サカズキさんは肘を何度か曲げ、拳を作っては崩し、作っては崩しを繰り返す。どうやら痛みはない様子。満足そうにうなづく様子に自然と笑みがこぼれた。</p>
<p>「ではでは私はこれで」<br />
「なんじゃ、もう行くのか？」<br />
「はい、本当ならいつもみたいにここでダラダラしていたんですけど、今日は他にもお客がいまして」<br />
「客？　誰だ？」<br />
「えぇっと……確か……」</p>
<p>渡された紙切れをポケットから取り出す。</p>
<p>「鷹の目のミホーク？」</p>
<p>それから数十分の間、その名を聞いて目を見開いたサカズキさんに行くなと説得され続けた。でももう約束をしてしまったので、いくら冷酷な海賊狩りだとしてもそこは無視できない。</p>
<p>約束の部屋の前に立ち、サカズキさんの言葉を思い出す。えぇっと、そんなに怖い人なら私そもそもそんなこと言えないと思うんだけど……。まぁ……いっか。軽いノックに返ってきた返事。失礼しますと入るとその意味が分かった。その目は狩る側の目。一瞬にしてこちらが獲物になったような感覚に陥った。と……取りあえず、予防線張っておこう。</p>
<p>「予約ありがとうございます。えっと、サカズキさんから伝言を受け取っています」<br />
「……伝言？　なんだ」<br />
「私に触れたら火傷するそうです」</p>
<p>シーン</p>
<p>いや分かってたよ。だって自分で言ってて超恥ずかしいんだもん。サカズキさんとやった押し問答。半分以上の時間はこんな恥ずかしいこと言えません、いや言えのやりとりだった。</p>
<p>……つまりサカズキさんは私のバックには自分がついているから手を出したらひどい目にあわせるぞと言いたかったらしい。ならそういえばいいじゃん。って言えませんでした、はい。</p>
<p>「クククッ、なんだその目は」<br />
「あ、いや。その……」</p>
<p>まさかそんな風に笑ってくれるとは。控えめな笑いだったけど、笑ってくれるような人には見えなかったからちょっと驚いてしまった。</p>
<p>「時間が惜しい」<br />
「あ、はい」<br />
「それで？」<br />
「はい？」<br />
「触れずにどうやってマッサージするというのだ？」<br />
「あ……」</p>
<p>そうして私とミホークは出会ったのだった。</p>
<div class="ifw_wrap ifw_right"><button class="ifw_btn" data-postid="5124" data-buttoncount="6"><span class="material-symbols-rounded">favorite</span></button><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left" id="ifw_message_5124_6"><div class="ifw_message"><div class="ifw_text"><p class="ifw_processing">送信中です</p></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left ifw_thanks" id="ifw_thanks_5124_6"><div class="ifw_close" data-id="5124_6">×</div><div class="ifw_message"><div class="ifw_image"><img decoding="async" src="" id="ifw_image_5124_6"></div><div class="ifw_text" id="ifw_showmessage_5124_6"></div><div class="ifw_comment"><textarea class="ifw_textarea" id="ifw_comment_5124_6" placeholder="よければメッセージをどうぞ！"  maxlength="500"></textarea><p class="ifw_memo">※コメントは最大500文字、5回まで送信できます</p><div class="ifw_send_wrap"><button class="ifw_send" id="ifw_send_5124_6" data-postid="5124" data-buttoncount="6">送信</button><div class="ifw_sending_wrap"><span class="ifw_sending" id="ifw_sending_5124_6">送信中です</span><span class="ifw_sent" id="ifw_sent_5124_6">送信しました！</span></div></div></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div></div>]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>一抜け、二抜け、三抜け</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:37:47 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[夕食が終わり、後片づけを済ませる。その後の数時間はダイニングに置かれているソファに座り、のんびり本を読む。隣にはいつもミホークがいた。でも最近は青年の修行に付き合っているせいか、この時間を一緒に過ごすことが少なくなってい...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5122" title="続きを読む一抜け、二抜け、三抜け">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>夕食が終わり、後片づけを済ませる。その後の数時間はダイニングに置かれているソファに座り、のんびり本を読む。隣にはいつもミホークがいた。でも最近は青年の修行に付き合っているせいか、この時間を一緒に過ごすことが少なくなっていた。</p>
<p>数時間すると、修行を終えた2人が帰ってくる。いつものようにボロボロの青年にタオルを投げ、澄ました顔のミホークにはほどほどにしてあげなよと、文句を言う。青年は何も言わずにそのままフラフラと風呂場へ向かった。その後ろ姿にお疲れ様と呟くように言う。彼の仲間はどんな人たちだろうか。こんなに一生懸命に仲間のために強くなろうとしているんだもの。きっと、素敵な人たちに違いない。そう思うと自然と頬が緩んでしまった。</p>
<p>ギシリと軋む音。向かい合うソファ、いつもの定位置にミホークが座る。視線を感じれば、はいはいとわざと声を出してキッチンへ。冷蔵庫から軽く食べられるものを出して、ワインを運んだ。これが私の役目。しっかし……こんな生活でよく太らないものだなぁといつも思う。</p>
<p>「……飲むか？」</p>
<p>いつの間にかミホークを見つめていた私に彼が気を使ってくれたよう。</p>
<p>「いらない。強くないの知ってるでしょ」</p>
<p>ワインの一体どこがいいのか教えてほしい。だいたい、酒なんて頭がグワングワンするだけの苦痛なものでしかなかった。</p>
<p>「……そうだったな」</p>
<p>わざとだな。この男はちゃちゃを入れるのが割と好きなようで。時たまもう面倒だ！　と声を上げたくなるくらい、それぐらいうっと惜しく絡んでくることがあった。まぁ、それはそれで……好きですけどね。でもなんかからかわれているみたいでちょっと腹が立つ。むぅっと頬を膨らませて目を向けると、おぉ膨らんだ膨らんだと楽しそうな声。</p>
<p>丁度そのとき、パタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。湿気防止のために城の窓、扉は全開にしているためその音はよく聞こえた。</p>
<p>「なまえ～！　今日もやろうぜ～！」<br />
「うん、いいよ」</p>
<p>元気よく部屋に入ってきたペローナちゃんはもう寝間着。いつでも寝られる体制になっていた。各言う私もすでに寝間着。青年の後に入ることになるとかなり待たされるので先に入ることにしているのだった。</p>
<p>「ロロノアは？」</p>
<p>彼女はダイニングを軽く見回してお目当ての人を捜している様子。</p>
<p>「まだ風呂～」<br />
「チッ、んだよあいつ。女子か!!」<br />
「ん、たぶん寝てるんだと思う。ちょっと行って起こしてくるよ」<br />
「私も行く！　鷹の目と二人なんてまっぴらだ」</p>
<p>あはは、相変わらずだな。ちらりとミホークの方を見たらやれやれという顔でワインを口に運んでいた。こっちは慣れた様子。はいはい行くよとペローナちゃんをせかしてお風呂場へ。なんの躊躇も遠慮もなく脱衣所に入り、風呂場の扉を勢いよく開く。</p>
<p>「起きろ～朝だ～!!」</p>
<p>ビックゥッ!!　と跳ねる人間は何度見ても面白い。彼がこうして寝過ごす度にやっていて、見慣れているのに。堪えきれなくなってしまった笑みが漏れて浴室の中を満たした。</p>
<p>「っはははは!!」<br />
「っ!?」</p>
<p>反動で顔が湯船の中に浸かってしまい慌てて顔を上げた青年が恥ずかしさを紛らわすように声を上げた。</p>
<p>「て、てめぇら!!　何度言やぁ分かるんだよ!?　ノックでいいって言ってるだろうが!!」<br />
「そんなの面白くないじゃない」</p>
<p>ニシシシッと意地悪く笑い、早くしてねと扉を閉める。</p>
<p>「あ、そうだ!!」</p>
<p>言い忘れたことがあったので再び扉を開いたら、立ち上がっていた青年が慌てて反対側を向いた。</p>
<p>「おいぃ!!　だからノックしろって「今日はダイニングにミホークがいるから、2階でするからね～」」</p>
<p>バタンッと閉めた扉の向こうでは、いいから俺の話を聞けと青年が叫んでいた。</p>
<p>「起きた？」<br />
「うん、起きた。先始めておく？」<br />
「そうだなー、そうしようか」</p>
<p>アイツも相変わらずだなぁ～とケラケラ笑う声が静かな廊下に響く。ダイニングの前を通り、2階へ行くときに目に入ってきたので、思いついてなんとなく声をかけてみた。</p>
<p>「ねぇ、ミホーク」<br />
「なんだ？」</p>
<p>先ほどと変わらず黙々と口にワインを運ぶ様子はまさに優雅で。スッと細められた目がこちらに向く。</p>
<p>「暇ならトランプでも、どう？」</p>
<p>え～鷹の目も誘うのか？　と隣で嫌そうな声を上げるペローナちゃんにたまにはいいじゃない？　と笑いかける。まぁたまになら……、そんなペローナちゃんに一度視線を向けたミホークが今度は私に視線を向けた。</p>
<p>ね、いいでしょう？　と押しの一言。ミホークは相変わらず私には弱い様子。渋るようなうなり声。手招きをすれば渋々立ち上がり、ワイングラスを机の上へと置いた。</p>
<p>「お酒飲んでもいいけど？」<br />
「いや、やめておこう」</p>
<p>あのミホークがお酒を遠慮した？　疑問に思いつつ一緒に部屋へ向かった。数時間後、ミホークがそう言った理由を理解することになる。</p>
<p style="margin-top: 15px;"><span style="color: #ffffff;">　</span></p>
<p>「ミホークって、もしかしてトランプが苦手だったり？」<br />
「あははっ!!　よっわ～」</p>
<p>指を指して声を上げるペローナちゃんに指を指さないの！　と声を上げつつも、私も笑う。ミホークはといえば、なんともいえない顔をしていて。だからお酒は遠慮したのかと納得がいった。</p>
<p>「あァ？　ポーカーは強かっただろ？」</p>
<p>思い出したように言った青年の言葉にミホークは目を細める。</p>
<p>「賭け事だったからな」<br />
「何それ、まるでババ抜きが子供の遊びかのような言い方」</p>
<p>気に入らないわと首を振る。私の手札は残り1枚。対するミホークの手札は2枚。2枚のうち、どちらかがババだ。すでに上がっているペローナちゃんと青年は横からあーだ、こーだと口を挟んでくる。</p>
<p>「だー、もう!!　う・る・さ・い！」<br />
「いいのか、それで」</p>
<p>2枚のうちの1枚に手をかけるとミホークがいいのかと確認してくる。そうやって何度かやりとりを繰り返した後、もういいやと適当に引いてやった。</p>
<p>「やった！　上～がりっ」</p>
<p>ペアになったトランプを捨て場の一番上に叩きつける。肩を降ろすミホークはこれで3連敗。</p>
<p>「さてさて」<br />
「まだやるのか」<br />
「だってミホークに勝てることなんて滅多にないもん。やるよ！」</p>
<p>ね？　と2人に目を向ければ、始まる前は不服そうだった2人も上機嫌でもちろんと返事をしてくれた。</p>
<p>「よし、じゃあ次はジジ抜きね！」<br />
「ジジ抜き？　なんだそれは」<br />
「え、そこから説明？」<br />
「俺も知らない」<br />
「んっとね～」</p>
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		<title>愛すべきバカたち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:37:11 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[ギィィィィバタンッ 扉が開いた音がどこか遠くで聞こえて目が覚めた。カラカラになった喉が渇いた声を出す。こんなに湿気ている島でこんな声になるとは……もぞもぞと体を動かしてベッドから出ようと体を起こす。ピタリ、腕に手が伸びて...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5120" title="続きを読む愛すべきバカたち">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>ギィィィィ<span style="letter-spacing: -0.1em;">――</span>バタンッ</p>
<p>扉が開いた音がどこか遠くで聞こえて目が覚めた。カラカラになった喉が渇いた声を出す。こんなに湿気ている島でこんな声になるとは……もぞもぞと体を動かしてベッドから出ようと体を起こす。ピタリ、腕に手が伸びてきて起こした傍から体が倒れてしまう。</p>
<p>「……もう、ミホーク」</p>
<p>視線を上へと向けるとすでに目を覚ましていた彼がこちらを見つめていた。</p>
<p>「そんなに見ても私は起きるからね」</p>
<p>今度は勢いをつけて体を起こす。ベッドから両足を降ろして立とうと体に力を入れると肩にのし掛かる重み。呆れながら顔を横に向ければ逞しい胸筋。首に腕が回ってきて耳元では逃がさないと一言。</p>
<p>「そろそろ2人が戻ってくる頃だよ」</p>
<p>さっきの音。たぶん、一階の扉が開いた音だと思うし。変わらず抱きしめ続ける彼の腕を指でトントンとする。そうすれば力が弱まる。</p>
<p>「ねぇ、ミホーク。離して？　朝ご飯作らないと……ね？」</p>
<p>子供をあやすような声。フッと笑い声がした気がした。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="margin-top: 50px;"><span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>&nbsp;</p>
<div align="center">―　ミホーク視点　―</div>
<p style="margin-top: 5px;"><span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>目が覚めるとベッドの中の彼女はまだすやすやと寝息を立てていた。しばらくして一階の扉が開いた音がする。どうやらロロノアとゴースト娘が帰ってきたようだ。もうしばらくこうしていたいのだがな。同じく音に気がついたようで彼女も目を覚ます。もぞもぞと動いた後起きあがった体。手を伸ばし、もうしばらくこの状態でいたいとその腕をひっぱり体を倒す。もう……と声を漏らすその様も愛おしいものだった。</p>
<p>今度は勢いをつけて体を起こした彼女は邪魔が入らないようにすぐにベッドの端へ移動して足を降ろす。全く、利口な女だ。しかし、まだ甘え足りない。彼女の温もりがまだ恋しい。首に腕を回しぎゅっと抱きしめれば彼女は苦笑する。まるで子供をあやすような声で宥められてしまえば、自身が子供になったようで思わず苦笑してしまった。そうなれば、なまえ、お前は俺の母なわけだ。</p>
<p>「なまえ」<br />
「ん、なぁに？」</p>
<p>服を身に纏わない彼女も美しいが、こうやって白いワンピースを纏う彼女も、また美しかった。クルリと体を向ける彼女の隣に立つ。</p>
<p>「いいの？」<br />
「何がだ？」<br />
「世界一の大剣豪がこんな……下着一丁でフラフラして」</p>
<p>ふふふ、ほんとおかしいわと笑われても悔しくもなんともなかった。</p>
<p>「今は一人の男だ」<br />
「……そうね、私の旦那様？」</p>
<p>おどける彼女はそれではお食事の準備に行って参りますと部屋を出て行った。片手で頭を押さえてその衝動を抑えることで精一杯だった。今すぐお前を抱きたい、そう思ってしまう俺はやはりお前の子供ではないようだ。なまえが好きだ。尽きることのない気持ちが溜まる程に愛おしくて仕方がない。はぁー……息が漏れた。そうして、グッと拳を握り締め、服を着た。</p>
<p>着替えを終えてダイニングへ向かう。開いている扉からはパンの焼ける香りに卵の焼ける音。あとはソーセージか……今日の朝食を想像しながら部屋へ足を踏み入れた。</p>
<p>「あら、案外早かったね。おはよう、ミホーク」</p>
<p>エプロンをつけたなまえがフライパンで調理をしながらこちらへ挨拶をする。軽く頷いてテーブルの方を見るとすでに座っている2人がいた。いつも通り無言で自分の席に座るとなぜか驚いている2人が顔を見合わせ、小さく首を傾げた。</p>
<p>「あはは、どうしたの2人とも」</p>
<p>同じく2人の様子を不思議に思ったなまえが声をかけた。テーブルには出来上がった朝食が丁寧に並べられていく。</p>
<p>「いや……なぁ？」<br />
「あぁ……」</p>
<p>ゴースト娘が罰が悪そうに言葉を発するとロロノアも後に続く。どうしたのよ？　となまえがもう一度言い、なまえが席に座るとゴースト娘が意を決して話し出した。</p>
<p>「私たち、2人にとって邪魔者なんじゃないかって……」</p>
<p>その時のなまえの表情はそれはもう目が見開いていて、かなり驚いている様子だった。同時に俺の心も少し揺れた。……確かに、2人だけの方が都合のいいことがあるのも事実だ。顔を俯けたゴースト娘がロロノアに目配せをする。</p>
<p>「私はロロノアみたいに稽古がないし、今すぐ出て行ける」<br />
「俺は稽古が終わり次第、どちらにせよ……仲間の元へ戻る」</p>
<p>まるでごめんなさい、お母さんと子供が謝っているような、その様は先ほどの自身と重なった。</p>
<p>「っ、バカッ!!　このバカ息子、バカ娘ッ!!!」</p>
<p>イスを大きく引いて立ち上がったなまえは大声で叫んだ。今まで一度もそのような声を上げたことのなかったなまえのその声に、2人は驚いて顔を上げる。素知らぬ顔をしていた俺も顔を上げ、なまえの表情に料理を口へ運ぶ手が止まった。</p>
<p>「……なまえ」</p>
<p>ポロポロと涙を零すなまえは声を殺すように泣いていて、バカ……バカ……と言い続けていた。慌てて立ち上がったゴースト娘が駆け寄ると、ギュッと抱きついて言った。</p>
<p>「いつ私がそんなことを言ったのよ…………わだ、し、そんっ、なこと……」</p>
<p>その後、なまえがなんて言ったのかは聞き取れなかった。とにかく嗚咽がすごくて何を言っているのか聞き取れない。わ、悪かったよと宥めるゴースト娘もあたふたしていて、場が収束しそうにない。ふぅと息を吐き出して立ち上がる。コツコツと床を鳴らし、なまえの隣に立った。</p>
<p>「代われ」<br />
「……お、おう」</p>
<p>ゴースト娘からなまえを預かり、背中を撫でてやる。</p>
<p>「なまえ、落ち着け」<br />
「ん、うん……」</p>
<p>「……それで、何が言いたい？」</p>
<p>「……ペローナちゃん」<br />
「お、おう」<br />
「ロロノアくん」<br />
「あぁ……」<br />
「私、2人のことが大好き」</p>
<p>その言葉にピクリと反応してしまう体を押さえられなかった。それに気づいたなまえがクスリと笑う。もちろん、ミホークのことも大好き。そう言われてホッと胸が安らぐ。</p>
<p>「私は2人に出会えてよかったって思ってるし、できればこれからもずっとここにいて欲しい……だから、そんなこと言わないでよ？」</p>
<p>グスリと鼻を啜る音が沈黙の部屋に響く。俺の胸に顔を埋めたなまえは鼻水がつくことも気にすることもなく俺の服にグイグイと顔を押しつけた。まぁどうせ洗うのはなまえだから別に問題はないが。……まったく。それでこいつらはどうするつもりだ？　俺の女にここまで言わせておいて……鋭い目で2人を見れば、俺の言いたいことが分かったようで2人が唾をゴクリと飲み干すのが見えた。</p>
<p>「ミホーク、殺気出すのはなし」</p>
<p>腕の中にいる彼女にはつくづく顔が上がらない。フッと笑えば場の空気が緩んだ。顔を上げたなまえは頬を膨らませて俺の頬を軽く叩く。コラッ、とでも言いたいのか。前を向いたなまえは2人に向かって言った。</p>
<p>「遅くなったけど、おかえりなさい」</p>
<p>ニコリと笑ったなまえはもう、大丈夫だろう。</p>
<p>2人だけの方が都合のいいことがあるのも事実だが、この2人がいたからこそ気付けたことがある、それもまた事実だ。……今回は俺もなまえの意見に賛同することにしようか。</p>
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		<title>あなたはなんて予測不能な人なの</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:36:52 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[そのまま強く引き寄せられて、わっという声と共にギュッと腕の中へ誘導される。すっぽりと体全体を包み込められた。少しひんやりとしていた部屋の空気は私の体を冷やしてしまっていたようだ、今は彼の体温がとても心地よくて、うっとりと...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5118" title="続きを読むあなたはなんて予測不能な人なの">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>そのまま強く引き寄せられて、わっという声と共にギュッと腕の中へ誘導される。すっぽりと体全体を包み込められた。少しひんやりとしていた部屋の空気は私の体を冷やしてしまっていたようだ、今は彼の体温がとても心地よくて、うっとりとしてしまう。</p>
<p>「どうしたの、ミホーク？」</p>
<p>私が動揺するのは、普段2人だけでいた時にこんなベッタリとくっつくようなこと彼が一度もしたことがなかったためだった。気のあるときは何をそんなに急いでいるのか、あっという間に心は持っていかれ、気が付けば行為が始まっている。私にしてみれば、それはもう一瞬のできごとだった。</p>
<p>「たまにはいいだろう」</p>
<p>頬に伸びてくる手が優しく撫でる。は、恥ずかしい。</p>
<p>「するなら、さっさと……」<br />
「…………」</p>
<p>急に無言になった彼。温もりが私から離れていく。小首を傾げると彼がその大きな体の腰を折る。驚いて目を瞬かせていれば、すぐ前に彼の顔が降りてきた。至近距離。こんなに近く、こんなにゆっくりと、こんなにまじまじと。見つめるのも、見つめられるのも初めてのことで。あっと言う間に私の顔は真っ赤に染まる。恥ずかしいと顔を両手で覆えば、彼の手によってそれはすぐに払われる。クスリ、そう笑う彼の笑顔を初めて見た。</p>
<p>ドキドキと高鳴っていく心臓。触れそうで触れない唇の距離。ひょっとして……、今私はじらされている……の？　気が付けば、早く早くとその唇を見つめていて、ハッと我に返り、視線を上げれば意地悪く笑う彼。口元がつり上がり、あの金色の瞳はどこか楽しそうで、笑みを漏らす口元から白い歯が見えれば、ドクンッとより強く打ちつけられる。目の前の彼は少年のように無邪気に笑っていた。そんな……そんな顔するなんて、反則。もう、無理。</p>
<p>「ミホーク、好き。大好き」</p>
<p>彼に触れたくて仕方がなかった。勢いよくその首に抱きつく。フラリと揺れた彼の体はすぐに立て直され、ぎゅうっと強く抱き締められた。背中に添えられた手は規則正しく動き、あやすように撫でてくれる。耳元でクスリと笑う彼の吐息に悔しいがな、嬉しさがこみ上げた。</p>
<p>夫婦になって1年。変わらずあなたがいることが私の幸せだった。こうやって、触れ合う必要性なんて感じていなかった。だって、あなたが私を愛してくれていることは十分知っていたし、私があなたを愛していることも十分伝わっていたと思ったから。でも、そうじゃないんだね。</p>
<p>「なまえ、こうやりたかったのだろう？」<br />
「え？」</p>
<p>抱き締めていた手の力を緩めれば、彼が顔を引いて、私と視線を絡めた。</p>
<p>「素っ気ない態度をする癖、いつもかまって欲しそうな目で俺を見る」<br />
「わ、私……そんなことしてたの？」<br />
「加えて無自覚ときたものだ」</p>
<p>全く、困った女だよと苦笑する彼を呆気に取られながら見る。</p>
<p>「だから？」</p>
<p>片眉を上げる彼に続けて言う。</p>
<p>「だから、2人きりに？」<br />
「そうでもしない限り、甘えてくれそうになかったのでな。いい機会だと思った」</p>
<p>彼にはほんと頭が上がらない。あまりの嬉しさで固まる私の頭を大きな手が包み込む。</p>
<p>「たまには甘えろ」<br />
「……む「甘えろ」」<br />
「うん」</p>
<p>なんだかおかしくて笑ってしまった。</p>
<p>「あはは」<br />
「なぜ笑う」<br />
「だって、なんかもう……」</p>
<p>幸せすぎる。目に溜まった涙を手で拭う。どうした、嫌だったのか？　と額に皺を寄せる彼。私の本当の心を感じ取ったあなたが今更何言っているんだろうと思いながら苦笑する。</p>
<p>「ううん。ミホーク……私、ミホークと結婚してよかった」</p>
<p>そう心からの声を漏らせば、そうかと彼が笑う。再び抱き締められる。体の下に回って来た手。すぐに体がふわりと浮く。</p>
<p>「こうやって抱くのも久々であろう」<br />
「……うん。だって、2人がいたらさすがにできない」<br />
「好きか？」<br />
「……そりゃ、お姫様抱っこっていうぐらいだからね」</p>
<p>はにかめば、ならばして欲しいときはいつでも言って来いと言われる。え？　と心底吃驚して声が漏れた。</p>
<p>「甘えたいときも、かまって欲しいときも、抱き締めてほしいときも、ちゃんと言え。俺はそういうことには鈍い」</p>
<p>分かっていたんだ。まずそこで苦笑してしまった。コクリ、彼に見えるように大きくうなづく。相変わらず頬が熱かった。</p>
<p>「俺が言うことを聞く女はお前だけだ」<br />
「ッ!?」</p>
<p>さっきからこの人はどうしたというのだ。歯の浮くような台詞をこうもポンポンと。なんて気障な人。</p>
<p>「どうした？」</p>
<p>もう、心臓が持たない。真っ赤に染まった顔でキッと睨みつける。私を殺す気かっ!!　ふぅと息を吐き出して自分を落ち着かせようとする。</p>
<p>「なまえ」<br />
「いや、あの、ミホーク！　◎△＄♪＠＆＊＃……!!」</p>
<p>もう最後の方は自分でも何言っているのかよく分からなかった。長いキス。初めは触れるだけだったのに徐々に強く押しつけられるようになり、ペロリとひとなめされる。それは開けろという、いつものサイン。小さく開かれた隙間に生温かいものが進入してくる。遠慮のないそれは私の口内の壁を丁寧に舐めとっていく。</p>
<p>「ん、ふぁっ……」</p>
<p>息が苦しい。頭がぼーっとする。ぎゅっと強く掴んだ彼のシャツ。視界の端に映る彼の目が細くなった。いつの間に寝室まで運ばれていた私は部屋の壁に降ろされた。そのまま壁に追いやられるように深く長いキスは続く。私の息継ぎのために解放された唇。呼吸を整えるためにゆっくりと呼吸を繰り返す。視界は勝手に流れ出た涙で潤んで見えた。頬に伸びてきた手がこちらを見ろと言う。されるがまま向けた視線。</p>
<p>「なまえ、俺もなまえと一緒になれてよかった」<br />
「っ!!」</p>
<p>勢いよく抱きつく。ハハハッとそんなに先を急ぐなと笑う彼はきっと私の心境を知らない。堪らなく彼が愛おしい。愛しているとはまた違うその言葉の真意。一緒になってよかっただなんて、言ってもらえるなんて思ってもなかった。世界最強の剣士の妻が私でいいのだろうかと何度不安になったことか。</p>
<p>「ミホーク……みほーくっ……」</p>
<p>流れ始めた涙は止まらなかった。異変に気づいた彼が慌てて私の顔をのぞき込む。どうした？　という言葉に好き……、大好きと返して、嗚咽を漏らす。</p>
<p>「……だから、ちょっとこのまま、このまま抱き締めていてよ」</p>
<p>まったく、しようのない奴だと笑い飛ばした彼は泣き止むまでぎゅっと優しく抱き締めて、泣き止んでからも私の言葉に耳を傾けてくれた。どうしよう、今までずっと我慢していたから止まらなかった。こんなにあなたのことを愛していただなんて。囁かれ続ける愛の囁きに私はどっぷりハマってしまっていた。</p>
<p>あなたはなんて予測不能な人なの……</p>
<div class="ifw_wrap ifw_right"><button class="ifw_btn" data-postid="5118" data-buttoncount="12"><span class="material-symbols-rounded">favorite</span></button><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left" id="ifw_message_5118_12"><div class="ifw_message"><div class="ifw_text"><p class="ifw_processing">送信中です</p></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div><div class="ifw_message_wrap ifw_top_left ifw_thanks" id="ifw_thanks_5118_12"><div class="ifw_close" data-id="5118_12">×</div><div class="ifw_message"><div class="ifw_image"><img decoding="async" src="" id="ifw_image_5118_12"></div><div class="ifw_text" id="ifw_showmessage_5118_12"></div><div class="ifw_comment"><textarea class="ifw_textarea" id="ifw_comment_5118_12" placeholder="よければメッセージをどうぞ！"  maxlength="500"></textarea><p class="ifw_memo">※コメントは最大500文字、5回まで送信できます</p><div class="ifw_send_wrap"><button class="ifw_send" id="ifw_send_5118_12" data-postid="5118" data-buttoncount="12">送信</button><div class="ifw_sending_wrap"><span class="ifw_sending" id="ifw_sending_5118_12">送信中です</span><span class="ifw_sent" id="ifw_sent_5118_12">送信しました！</span></div></div></div></div><div class="ifw_arrow"></div></div></div>]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>テスト用紙でなにをやっている</title>
		<link>https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5116</link>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:36:29 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「突然ですがテストをします！」 「はぁ？　テストぉ？」 なんていいリアクション。ダイニングテーブルで昼食を終えた後、みんなが解散する前に呼び止めた。青年は一体どうなってそういうことになったんだと額に皺を寄せている。その隣...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5116" title="続きを読むテスト用紙でなにをやっている">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「突然ですがテストをします！」<br />
「はぁ？　テストぉ？」</p>
<p>なんていいリアクション。ダイニングテーブルで昼食を終えた後、みんなが解散する前に呼び止めた。青年は一体どうなってそういうことになったんだと額に皺を寄せている。その隣のペローナちゃんはなんだなんだと素直な反応。向かいの椅子に座るミホークはまたなまえが何か面倒なことを言っていると思っているのだろう。素知らぬ顔で新聞に目を通している。</p>
<p>「テストって何のだ？」<br />
「さすがペローナちゃん！　いい質問をありがとう。おかげで話がちゃっちゃと進むよ」</p>
<p>ペローナちゃんはあまり表には出さないが、楽しそうだなと口元が緩んでいた。さすが女の子。こういうイベントごとは大好きだよね。</p>
<p>「題して、私のことをどれぐらい理解しているのか見せてもらおうではないか！　ティストゥォオオオ～!!」</p>
<p>ドンドン、パフパッフッ</p>
<p>「あ、あれ？　ラッパまで用意したのにこの反応。どういうこっちゃ！」<br />
「いや、お前がそれを言うか？」</p>
<p>呆れ顔の男二人は置いておく。</p>
<p>「それで、問題はどこにあるんだよ！」</p>
<p>俄然やる気のペローナちゃんに頬を緩ましつつ、ちょっと待ってね～と何処からともなくテスト用紙を取り出し、3人に配る。ミホークのジトリとした目も無視無視。はいと紙を前に差し出して、受け取ってくれるまで粘る。しばらくすると観念したようにため息を吐いたミホークが新聞を閉じて受け取ってくれた。ニシシシッと笑えば、残りの2人も笑った。相変わらず鷹の目はなまえに弱いなと2人が口々に言う。</p>
<p>「はい、お手元に行き渡りました紙には簡単な私のプロフィ―ルを括弧抜きにしてあります。それとちょっとした問題も載せてます」<br />
「なんだこれは？」</p>
<p>身長、体重、ヒップにバスト……こんなの知ってたら逆に怖いだろう……と言う青年にそんなことないよ？　私はもうみんなの知ってるしと笑い返せば、青年の顔が青くなった。いつの間に調べやがった!?　と怒鳴り散らす青年を華麗に無視して、手を上げたペローナちゃんを当てる。</p>
<p>「はいはーい！」<br />
「はい、ペローナちゃん！」<br />
「これ景品とかあるの～？」<br />
「え、景品……？」</p>
<p>う～ん、それは考えていなかったなと頭を抱える。元々暇すぎて死にそうな時に思いついたどうでもいい感じのものだったからなぁと思いつつも考える。閃いた景品は物じゃないからみんないらないかもなぁと思うけれど、一応言ってみることにした。</p>
<p>「じゃあ、私の一日独占券を贈呈します。一日だけ私を独り占めできます」</p>
<p>どう？　と冗談っぽく笑いながら言えば、思いの外三人の顔が真剣になる。あれ？　それはないでしょ―とか、そういうつっこみを期待していたんだけど……みなさん、なんか本気？　開始の合図も出していないのに、すでに3人とも用紙を穴が開くんじゃかというぐらい凝視している。サラサラサラ。軽快なペンの走る音。スラスラ書けているじゃんとカップを片手に顔を上げれば、それは予想外の人。うっそ～!!　あのミホークが一番スラスラ書いているんだけど……それにしても文字を書いている姿なんて初めて見た。なんか……素敵。これで眼鏡でもかけてたらかなりいい、と思いながらその横顔にジッと見入っていた。</p>
<p>コトンッ</p>
<p>鉛筆が机に横倒しになる音で我に返る。ミホークは鉛筆の下から紙を抜き取るとこちらへスッと差し出した。今日は素直だなと思いつつ、それを受け取る。ズラズラズラ<span style="letter-spacing: -0.1em;">――</span>括弧抜きはすべて埋められていて軽く引いた。あ、うん……とだけ返しすぐに裏返す。残りの2人のものを受け取ってから目を通すことにしよう。</p>
<p>「ちょっと2人ともそろそろ頂戴よ」<br />
「え～だって制限時間とかねぇんだろ？」</p>
<p>しまった。時間決めるの忘れていた。</p>
<p>「分かったじゃあ早いもの勝ちにしよう！」</p>
<p>そう言って、一人悠々とコーヒーを口に運ぶミホークに目を向けた後、先ほど彼が記入した問題用紙へ目を向ける。そういえば私もコーヒー入れていたんだっけと思い、カップを口に運んだところで吹き出した。</p>
<p>「ブッ!!」<br />
「んだよ、汚ねぇな～」</p>
<p>すぐに立ち上がり布巾を準備するあたり、私の教育が行き届いているなと自分で自分に感心する。青年はだいぶ気が回る男になってきていた。</p>
<p>「ご、ごめん、ありがと」</p>
<p>手渡された布巾で拭きこぼしたコーヒーをふき取っていく。あーあ、用紙にも少しかかっちゃった。軽く用紙の上を布巾で擦れば、茶色いシミが薄く広がって残った。まーしょうがないか……</p>
<p>「って、そうじゃない！」<br />
「さっきからなんだよ、なまえさん」<br />
「いや、これ……」</p>
<p>ミホークの用紙をひらひら……いや、ビラビラ……とにかくすごい勢いで振る。紙がグシャグシャとなる音が大きく響けば、うるさいぞと問題の人がこちらに顔を向けた。</p>
<p>「いや、だってこれ……」</p>
<p>だからなんだとよ用紙をのぞき込んでくる2人にもう結果はついたからいいかと紙を差し出す。のぞき込んだ2人が一通り目を通した後、こちらに顔を向けた。</p>
<p>「まさか」<br />
「うん、全問正解」</p>
<p>あはは……予想外の結果に苦笑い。でもどうして……そう言おうと体の向きを変えた瞬間包み込まれるように抱きしめられた。わっと声が漏れる。突然のことでふらりと足下がおぼつかなくなると腰に手が回ってきて優しく支えられた。ふわりと香る大好きな人の香り。目に映る服にパチパチと瞬き、首を傾げながら顔を上げた。</p>
<p>「ミホーク？」<br />
「俺の勝ちだ。景品は俺がもらう」</p>
<p>今思えば夫が妻を景品として一日独占するってどうなんだろうとそんなことが頭を巡った。残りの2人はあーもう、と呆れていた。そんなことより、この状況は恥ずかしい。抱きしめられるなんて……</p>
<p>「あの、ミホーク。離して？」</p>
<p>いつもならそう言えば素直に解放してくれる。そして素っ気ない態度でどこかへ姿を消す。だけど、今日は違っていた。</p>
<p>「お前等今日は島から出ていろ」<br />
「はっ!?」</p>
<p>私の言葉を華麗にスルーした彼は2人にとんでもないことを言い出した。ポイッと放りなげられたものが曲線を描き、青年の腕の中へ収まった。</p>
<p>「は、これは？」<br />
「先日お前の刀の手入れの話をしただろう。自分で行って来い。ゴースト娘。お前はそのひどく方向音痴な奴をどうにかしておけ」</p>
<p>ポカン。渡された必要以上の札束とミホークと私と。何度も繰り返し見る2人を私も何度も見た。最後にミホークに視線を戻せば、細くなる瞳。その素敵な顔に頬が勝手に染まる。この人本当に独り占めするつもりだ。</p>
<p>「え、と。船は？」</p>
<p>ペローナちゃんにしては珍しく小さな声。そりゃそうだ。鷹の目がこんなにも何かに執着することがあるだなんて、誰が思おうか。実際、私もびっくりしている。</p>
<p>「棺船の隣に小舟が何隻かある。それを使え」</p>
<p>分かった、行くぞロロノア、そう言って早々に立ち去るペローナちゃんに心の底から感謝する。今尚私の体を抱き締め続けるミホークはいつ襲いかかってくるか分かったものじゃない。できれば2人の前でとかは避けたかった。お、おいっとペローナちゃんの後ろを追いかけていく青年がちらりとこちらを見る。ごめん、という気持ちを込めて片手を拝むように上げれば苦笑された。</p>
<p>ギィィィィ<span style="letter-spacing: -0.1em;">――</span>バタンッ</p>
<p>蝶番が錆かかっているせいかそんな音を出して扉が閉まる。2人だけの空間。今この城には私とミホークだけ。しばらく前、まだペローナちゃんと青年が来る前はこれが当たり前だった。静まりかえった部屋に布の擦れた音がひどく大きく聞こえた。後ろから抱き締められていた私は体を回される。目に入るのは彼の腹の辺りでその身長差のせいで大きく顔を反らさなければ彼の顔は見えなかった。</p>
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		<title>世にも不思議な質問されましたって顔</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:36:05 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[その翌日のこと。 「はい、ストップ」 「……なんだよ」 廊下を歩いていた青年の前に立ちはだかる。 「これ、どうしてくれるのよ」そう言って、自分の来ているTシャツの裾をめくる。白い透けるような肌の上に赤い痕がまばらに散って...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5114" title="続きを読む世にも不思議な質問されましたって顔">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>その翌日のこと。</p>
<p>「はい、ストップ」<br />
「……なんだよ」</p>
<p>廊下を歩いていた青年の前に立ちはだかる。</p>
<p>「これ、どうしてくれるのよ」そう言って、自分の来ているTシャツの裾をめくる。白い透けるような肌の上に赤い痕がまばらに散っていた。続けて、Tシャツの襟が伸びるのを承知の上で、グィッと襟を下へずらせば、同じく赤いものが散っていた。</p>
<p>「いいじゃねぇか、夫婦なんだろ？」<br />
「それとこれとは別！　少し考えたら分かるでしょう？　ロロノアくん、君は自分の師匠が化け物だと知っているはず」<br />
「何言ってんだ。あいつは人間だろうが」<br />
「……君、物の例えっていうやつ知ってる？」</p>
<p>はぁとため息が漏れる。「コーヒーが飲みたい」そう急に呟いた青年が私をキッチンへ連れていく。当然私は、「はぁ？　なんで年下の君のためにわざわざコーヒーを入れないといけないのよ」と断ったが、無言で返されちゃあ、どうもこうも……ついていくしかなった。苦手なんだよね、こういう風にすぐに無口になるタイプは。ちらりとミホークの顔が頭をかすめた。</p>
<p>ガチャンとわざと音を立ててテーブルにカップを置く。はい、どうぞとコーヒーを差し出せば、おう……と都合のいい返事。青年は一口、口に含み飲む。カップから口を離すと私の目を見て言った。</p>
<p>「で、なんで俺が責められてんだ？」<br />
「……君が猿芝居したからでしょーがっ！」<br />
「じゃあ、その猿芝居にひっかかったお前は猿か？　ヒヒか？　あ、どっちも猿か」</p>
<p>クククッと腹を抱えて笑う青年を睨みつける。</p>
<p>「あの後本当に大変だったんだからね！　もう二度とごめんよ。絶対ミホークに手を貸さないで」<br />
「は？　夫婦なんだろ、それはないだろ」</p>
<p>なぜ二十歳になったばかりのような青年にこうも言われているのだろうか私は……、とだんだん馬鹿馬鹿しくなってきた。</p>
<p>「じゃあなんで夫婦になったんだ？」</p>
<p>「……え？」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="margin-top: 30px;">
<span style="color: #ffffff;">　</span></p>
<p>なまえさんは、まるで……世にも不思議な質問をされましたって顔をして、俺の方を呆然と見ていた。</p>
<p>「好きだからに決まっているじゃない」</p>
<p>……ますます訳が分からない人だと思った。</p>
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			</item>
		<item>
		<title>なんて邪悪な子供なの</title>
		<link>https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5112</link>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:35:38 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「なぁ、さん」 「なーにー？　ロロノアくん」 「……なんであのゴースト娘はいいのに俺はさん付けをしねぇといけねぇんだよ」 「え～？　いいじゃん。私、前から義理の弟が欲しかったの」 「……なんで普通の弟じゃなくて、義理の弟...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5112" title="続きを読むなんて邪悪な子供なの">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「なぁ、なまえさん」<br />
「なーにー？　ロロノアくん」<br />
「……なんであのゴースト娘はいいのに俺はさん付けをしねぇといけねぇんだよ」<br />
「え～？　いいじゃん。私、前から義理の弟が欲しかったの」<br />
「……なんで普通の弟じゃなくて、義理の弟なんだよ」</p>
<p>はぁと息を吐く青年の上に今、私は跨っていた。</p>
<p>「痛ってぇ……おい、わざとだろ？」<br />
「そんなことないって、ごめんごめん」</p>
<p>ふふふと笑って見せる。ちらりと視線をこちらに向けた青年は今の状況は自分にとって不利だと知っているせいか、それ以上抵抗しなかった。</p>
<p>「なんでもいいから早くしてくれ」<br />
「何それ、それが人にものを頼む態度ですか、ロロノアくん。あなたの親の顔が見てみたいものだわ」<br />
「うるせ～」</p>
<p>おしゃべりをしながらも私の作業は進んでいく。</p>
<p>「結構やられたね」<br />
「……まぁな」</p>
<p>この青年がここに来てから、ミホークの稽古が始まった。どうやってあの気ままな親父をその気にさせたのかは知らなかったけれど、ミホークがやるというなら、私もそれなりにお手伝いしようかと思ったのだった。</p>
<p>「はい、終わり！」</p>
<p>強めに背中を叩けば、いってぇ～！　っと声を上げる青年が涙目でこちらを睨む。いいからいいから、ちょっと体を動かしてみなさいよ？　と笑って見せた。</p>
<p>「…………」<br />
「どうよ？」</p>
<p>ベッドから体を起こした青年が軽く肩を動かす。</p>
<p>「痛く……ねぇ……」<br />
「でしょ？」</p>
<p>むふふと笑いながら一回転。そして軽くお辞儀を一礼。</p>
<p>「どうも、鷹の目のミホークの愛用品、マッサージ師のなまえです。以後、お見知り置きを」<br />
「……は？　お前、あの有名なマッサージ師のなまえか!?」<br />
「はい、どうも！　あと、さんを付け忘れてるからね……」</p>
<p>今すぐ訂正しなさいと詰め寄れば、なまえさんと青年がしぶしぶ言い直した。</p>
<p>「それで、ミホークは？」<br />
「さぁ、あいつなら稽古の後、俺をゴースト娘に投げつけてどこかに行った」<br />
「……こんな時間に？」</p>
<p>もう、と言葉が漏れる。時計の針はもう夜の8時を指していた。ご飯どうするつもりよ、あの親父。</p>
<p>「まぁ、いいか。ロロノアくんよ、ご飯は食べられるかい？」<br />
「なんでおっさん口調なんだよ、食べるに決まってんだろ」<br />
「ふむ。正直でいい子だね。あ、じゃあ、二階にペローナちゃんいるから呼んできて。私先に準備してるから」<br />
「は？」<br />
「はい、任せた！」</p>
<p>返事は待たずに走り出す。後ろで青年が何か叫んでいたけど、律儀な彼のことだ。呼んで来てくれるだろう。それより、問題は気まぐれなあの人だ。一応、準備しておくか……。</p>
<p style="margin-top: 30px;"><span style="color: #ffffff;">　</span></p>
<p>「ごちそう様でした」<br />
「なまえ、ごちそう様！」</p>
<p>礼儀正しい二人に笑みが漏れる。ほんと可愛い子達だ。</p>
<p>「はいはい、お粗末様でした」</p>
<p>カチャカチャと食器を集めれば、スムーズな動作でさりげなくロロノアくんが手伝ってくれる。</p>
<p>「え、いいよ。私、これぐらいしかやることないし」<br />
「マッサージの礼だよ。これぐらい手伝う」</p>
<p>な、なんていい子！　ミホークじゃ絶対にありえないことだよ。思わず両手が口元を覆う。ちょっと感動してしまった私は震える声でありがとうと言って、ニコリと青年に向かって笑った。青年が少し驚いていた。なんで？首を傾げると、すぐに手元に目を向けられてしまった。キッチンのシンク。青年が食器を洗って、私がふきんで拭く。こんな流れ作業が出来る日が来るなんて。まるで新婚さんではないか……。この年にしてちょっぴり頬が染まってしまった。</p>
<p>「……なまえさんは」<br />
「ん？」<br />
「好きな人はいるのか」<br />
「…………」</p>
<p>……はい？</p>
<p>……あれ、あれ、これ、もしかして。やばいパターンじゃない？　え、ちょ。</p>
<p>鈍い私でもこの流れは分かる。先が読める。キョロキョロと辺りを見回す。だ、大丈夫。今、この部屋には私たちしかいない。うん、と小さく頷く。</p>
<p>「え、と……いますよ？」</p>
<p>自分で答えておいて、もう、ちょう恥ずかしいんだけど！　だって、一応ミホークとは夫婦だけど。だけどさ、実はまだそのね、結婚したてでさ。新婚っちゃ新婚だけど、元々長いつき合いだったから、そういう甘い感じはみじんもなかったし。……いや、別にそういう風になるのが嫌だとかじゃなくて……むしろ……</p>
<p>「それは俺の知っている人か……？」<br />
「……うん、知ってる、けど」</p>
<p>どうしよ、今更ながら言うタイミングをミスりました。ぬわぁあああ!!　君は私にどうしろって言うんだよ！</p>
<p>「……誰だ？」<br />
「へ？」</p>
<p>そう言う回りくどい聞き方しておいて、最終的には名前を聞くんかい！　だったら始めから名前聞きなよ。なんだよ、心の準備、整理？　ってやつか？　可愛いな、おぃい!!　言わないとだめなのだろうか……できれば、自分の口からは言いたくない。できれば、察して頂きたい。</p>
<p>「誰だ？」<br />
「……言わないと、だめ？」</p>
<p>カチャン、ずっとお皿を洗っていた青年の手が止まり、食器が擦れ合う音が鳴る。静かな部屋にその音はよく響いた。</p>
<p>「聞きたい」<br />
「…………」</p>
<p>ぬわぁぁあああ!!　なんだよこの子、超可愛いんだけど。もう、お持ち帰りしたいぐらい可愛い。何、もう。ぶっきらぼう最高!!</p>
<p>「……み、…………く」<br />
「聞こえない」<br />
「……み、ほぉ―く」</p>
<p>「……聞こえぬ」</p>
<p>「だーかーらー！　鷹の目のミホークだって！」</p>
<p>後ろから聞こえた声につい振り向いて叫んでしまった。</p>
<p>「……へ？」</p>
<p>暗がりに立つのは紛れもない、私の旦那さん。おい、待てよ。待てよ、待てよ……。</p>
<p>「はい、これで俺の稽古続けろよ、鷹の目」</p>
<p>最後の食器を洗い終わった青年は先ほどの態度が嘘のようで。手を洗うと私の隣を通り越して行く。すれ違う瞬間、視線が合えば青年の口元はニヤリと歪んだ。</p>
<p>「お返しだ、なまえさん」<br />
「なっ!!」</p>
<p>ハメたなっ!!　振り返って青年の方に向かって声を上げたが、もうすでに青年は部屋から出ていった後だった。残された部屋にはふむ……と声を漏らすミホークと今すぐこの場から逃げ出したい私だけだった。</p>
<p>「いい加減、俺に抱かれろ」<br />
「ちょ、待って。あなたの相手をしたら、ほんと体が持たないから！」</p>
<p>心底楽しそうな旦那様に捕まれば、先ほどの青年の顔が浮かんだ。ロロノア・ゾロ……なんて邪悪な子供なの……完全に騙された。</p>
<p>「ミホーク、お願いなので手加減して下さい」<br />
「…………」<br />
「ちょっと、返事！」</p>
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		<title>もちろん好きだよ、プリンの次に</title>
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		<dc:creator><![CDATA[秋山]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 09 Jan 2023 11:35:12 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[いつも通りの日常。朝起きて、キッチンに向かう。部屋に入ればすでに起きて新聞に目を通しているミホークの姿。 「はよ～」 「…………」 無言なのはいつものこと。軽く視線をこちらに送るのがミホーク流の挨拶だった。 「ご飯は？」...  <a class="excerpt-read-more" href="https://neconeco-akiyama.com/manatu/works/mihawk/mihawk-long/desitomusumetowatasitoanata/5110" title="続きを読むもちろん好きだよ、プリンの次に">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>いつも通りの日常。朝起きて、キッチンに向かう。部屋に入ればすでに起きて新聞に目を通しているミホークの姿。</p>
<p>「はよ～」<br />
「…………」</p>
<p>無言なのはいつものこと。軽く視線をこちらに送るのがミホーク流の挨拶だった。</p>
<p>「ご飯は？」<br />
「もらおう」</p>
<p>ふぁ～い、欠伸をしながら返事をしたものだから変な声が出てしまった。まぁ別に気にしないけど。もちろん、ミホークも。</p>
<p>「昨日遅かったのか？」<br />
「え？」</p>
<p>いつものなら気にも止めないのに、どうしたというのだろうか。吃驚して返す言葉が見つからない。開いたばかりの冷蔵庫の扉がパタンと閉まった。まだ食材を取り出せてないのに。私の様子に小さく首を傾げたミホークが「どうした？」と言う。そこでようやく言葉が出た。</p>
<p>「あ、いや……、昨日はちょっと読み物を読んでたらついつい遅くなっちゃって……」</p>
<p>そうか……、再び新聞に目を向ける様子にほっと胸をなで下ろす。ほんと吃驚した。そう思いながら朝食を作った。</p>
<p style="margin-top: 80px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>昼過ぎのこと。いつも通りミホークは海賊討伐へ向かった。暇だなと手に持っていた本を閉じて外を眺める。大きくて古びた城。ここが今の私の生活の場。2階の廊下の突き当たりには広いスペースがある。そこの窓際には私専用の机と椅子。ここで本を読みふけるのが私の日課だった。けど、毎日同じことじゃ飽きてしまうというもので、そろそろ他のことをしたいなと思っていたときだった。</p>
<p>ガッシャァ<span style="letter-spacing: -0.1em;">――――</span>ン</p>
<p>城の外でもの凄い音がした。</p>
<p>「な、何!?」</p>
<p>この平穏な島で何が起こるというのだろうか。城から出ない限り、ヒヒは襲ってこない。そうなれば、ここに住んでいる人間は私とミホークのみで、今いるのは私だけ。ヒヒも普段は静かなものだし。物音がする理由がなかった。</p>
<p>何事だと一階へ降りる。戦闘経験など全くない私は普段城から出ることはなかった。けれど、どうしてもその音の原因が気になり、玄関の扉を開き外へ足を踏み出した。こうやって外へでるのは久々だなと思う。キョロキョロと辺りを見回して、ヒヒが近くにいないことを確認する。自分の持てる限りの集中力で歩いた。</p>
<p>音の元はすぐに分かった。城のすぐ側にあった廃棄物の山。その中に何かがつっこんだような後があった。あの大きな金属音はこの山に何かがぶつかったためだろう。そこで待てよ……と、思う。あれだけの大きな音。私でさえ気付いてここに来たのだ。ヒヒが気がつかないわけがないではないか。そう、いずれヒヒ達もここへ来る。確実に。ひやりと頬を汗が流れた。ここにいては危険だ。取りあえず、ここまで来たのだから、何がつっこんだのかだけ見ていくことにしよう。</p>
<p>ゆっくりと山に近づくと、何かが山の中で動いた。ガシャ、ガシャン。山が崩れていく。なんだろう？　目を凝らせば思っても見なかったものが現れた。</p>
<p>「チクショー！　なんだよ、あのくまは!!」</p>
<p>現れた口の悪い少女は呆気に取られていた私の前で堂々と立っていた。</p>
<p style="margin-top: 15px;"><span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>「お名前は？」</p>
<p>ヒヒと遭遇することもなく、無事に城に戻った私とその娘はティータイムをしていた。</p>
<p>「ペローナだよ、あんたは？」<br />
「なまえ、よろしく」</p>
<p>カチャリ、紅茶の注がれたカップを受け皿に置く。ペローナというその娘はこれ美味しいなと嬉しそうに紅茶を口に運んだ。</p>
<p>「それで、どうしてあんなところに？」<br />
「知らねぇ～よ」<br />
「いいから、いいから。話してよ、ね？」</p>
<p>どうやら優しくされると嬉しいみたい。仕方ねぇなと言ったペローナがいろいろ話してくれた。よし、これで退屈な一日が潰れた！　と上機嫌にそのペローナという可愛い娘の話を聞いた。</p>
<p style="margin-top: 80px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>「おかえり―、ミホーク」<br />
「げ、鷹の目!?」</p>
<p>三日後、ミホークが戻ってきた。何の連絡がないのもいつものこと。今日は朝食の後にペローナちゃんとトランプをしていた。ちょうどその時に彼が帰ってきたのだった。</p>
<p>「誰だ？」<br />
「ペローナちゃん」</p>
<p>あ、はい。次ペローナちゃんだよと手札を前に差し出す。ムムムと顔をしかめて一枚を引き抜いた彼女がうぁあああ！　と叫んだ。</p>
<p>「はい、ババ引いたー」</p>
<p>くっそ、と声を上げる彼女に対して思い切り声を上げて笑えば、私たちの様子を見ていたミホークが声を上げた。</p>
<p>「何をしている」<br />
「ん、見て分からない？　ババ抜き！」</p>
<p>ミホークも、する？　笑いかければふんと声を上げたミホークが離れた場所にあるソファに腰掛ける。</p>
<p>「なんだよ、あいつ」<br />
「いいの、いいの。いつもあんなのだから。はい、次取るよ」</p>
<p>その日のトランプは私の圧勝だった。ペローナちゃんすごく弱い。</p>
<p style="margin-top: 15px;"><span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>それからしばらくしてのこと。今度はミホークが男の子を拾ってきた。</p>
<p>「え、と……誰？」</p>
<p>昨日、夜更かしをしたので、いつもより起きるのが遅くなってしまった。昼前に起きて下へ降りてみると、ミホークとペローナちゃんと知らない緑髪の青年がいた。よくよく見てみれば、その青年は気を失っているようだった。看病してやれとミホークが言う。そりゃするけどさ。</p>
<p>「こいつはロロノア・ゾロ」</p>
<p>ペローナちゃんの言葉にえぇ～!?　と返す。あの今まさに世の中を騒がせている麦藁の一味の一人だ。</p>
<p>「なんでこの人が？」<br />
「私と同じでくまに飛ばされたらしいぞ」</p>
<p>なに、今そういうキャンペーンでもやってんの、そのくまって人は。旅行キャンペーン的な？　はぁ……。飛ばすならもっといいところに飛ばしてあげなよ。</p>
<p>「私たちじゃ運べない。ミホーク、運ぶだけ運んでよ」</p>
<p>しぶしぶ腰を上げたミホークに運んでもらって、青年をベッドに寝かした。</p>
<p style="margin-top: 80px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>翌日、昼前に青年が目を覚ました。</p>
<p>「目、覚めた？」</p>
<p>他にやることもなかったので朝からずっと隣についていた。</p>
<p>「……おまえは？」<br />
「なまえ、ちなみにたぶんあなたよりは年上だから、気を使ってよね」</p>
<p>「…………」</p>
<p>黙り込んだ青年は起こしかけた体を再び倒して天井を見た。</p>
<p>「悪かった」</p>
<p>ミホークよりは良心のある青年だと笑みがこぼれた。……剣士ってみんなこう、ぶっきらぼうなのだろうか。ミホークといい、この青年といい。愛想がない。別にいいけどさ。</p>
<p>そんな時、勢いよく開いた扉。</p>
<p>「なんだ、目が覚めたのか、ロロノア」<br />
「そうみたい、結構元気そうでよかったよ」</p>
<p>入ってきたペローナちゃんが持ってきたタオルと桶を机に置く。</p>
<p>「なんだ？」<br />
「いいから、体起こして？」</p>
<p>タオルに水を染み込ませて、ぎゅっと絞る。ちょっとしみるかも、我慢出来るよね？　と体にタオルを当てる。分かっていても、冷たいタオルに触れられると体は反応してしまうようで、思わず笑ってしまった。ジロリとこちらを見た目に余計に笑いそうになってしまう。</p>
<p>「ごめん、ごめん」</p>
<p>ペローナちゃんにはその浮遊スキルをいかしてもらって、その間に包帯を解いてもらう。現れた傷は治りかかってはいたけれど、とても痛々しく見えた。軽く体を拭いて、消毒を施していく。時折、痛そうに彼は皺を寄せていたけれど、声を出さないところはさすがだなと思う。私だったら、痛い痛いって叫んでいるに違いない。</p>
<p>「よし、上半身は終わり！」</p>
<p>次は……、ズボン脱いでね、下もするから。何の躊躇もなくそう言って手を伸ばせば、ちょっと待てと青年に止められる。</p>
<p>「なんで？」<br />
「なんでって、お前……」</p>
<p>「騒がしいな、何をやっている？」<br />
「ミホーク、起きたの？　おはよ～」</p>
<p>開かれた扉に目を向けて挨拶する。すぐに目の前で抵抗する青年に詰め寄った。</p>
<p>「ちょ、お前！」<br />
「いいからロロノア、手離せよ！」</p>
<p>ペローナちゃんも加わって身ぐるみを剥がしにかかる。後ろでその様子を呆れて見ていたミホークが長いため息を吐き出した。</p>
<p>「何をやっている」<br />
「何って、言われた通り、看病してるんだって！　ちょっと、もう、君！　いい加減手を離してよ！」<br />
「はぁ？　意味分かんねぇよ！　やめろっ」<br />
「ミホーク、この子に言ってやってよ～」</p>
<p>「その辺にしておいてやれ、下半身なら自分でできるだろう」<br />
「あぁ、それもそうね」<br />
「それより、飯だ」<br />
「うん、分かった」</p>
<p>じゃあ、ここに一式置いておくから、ちゃんと消毒しなよ？　そう言って昼食の準備をするためにキッチンへ向かう。今日から一人増えたから頑張らないと。</p>
<p>「ゴースト娘も手伝いにいけ」<br />
「お前に言われなくてもそうするよ」</p>
<p>吐き捨てるようにいったペローナもなまえの後を追ってキッチンへ向かった。残された部屋では男二人がほっと胸を撫で下ろしたのだった。</p>
<p style="margin-top: 80px;"><span style="color: #ffffff;">:</span><br />
<span style="color: #ffffff;">:</span></p>
<p>「なまえと鷹の目ってどういう関係なんだ？」</p>
<p>まるで世間話をするかのように吐かれた台詞に一緒に食事を取っていたゾロがむせた。隣に座るペローナちゃんになんてこと聞くんだよと耳打ちする。</p>
<p>「別に聞いたっていいだろ？」</p>
<p>聞くならせめて、あいつがいないときにしろ。そう言って青年はミホークの方へ目を向ける。</p>
<p>「別にいてもいなくてもなまえなら変わらないって」</p>
<p>だろ……？　とこちらに目を向けるペローナちゃんに苦笑する。その通りだった。</p>
<p>「それで、どういう関係なんだ？」</p>
<p>なんだかんだ、青年も気になるようで、気にしていることがバレないように聞き耳を立てているようだった。おいおい、完全にバレてるぞ。</p>
<p>「ん～そうだなぁ」</p>
<p>ちらりとミホークに目を向ければ、こちらは完全に素知らぬ顔で、気にしていないことが分かってちょっとムカッとした。だから言ってやる。</p>
<p>目の前にあったプリン。</p>
<p>「もちろん好きだよ、プリンの次に、ね」</p>
<p>それじゃ質問の答えになっていないと声を上げるペローナちゃんに舌を出してごめんと謝る。ミホークはと言えば、訝しげにこちらを見ていた。ふん、ミホークなんか知らない。顔を逸らす。今日一日は相手にしないでおいてやろう。そう心に決めて、プリンを一口、口に運ぶ。</p>
<p>「……これ、美味しい」<br />
「だろ？　有名なところのでさ！　もう一つあるから、それはおやつにな。あ、ロロノアと鷹の目の分はないから」<br />
「なっ！　なんでだよ!!」<br />
「当たり前だろ」</p>
<p>この2人が来てから、私の日常は騒がしいものへと変わった。ふふふ……自然と弧描いた口元、視線の先にいたミホークが小さく首を傾げる。そして、口をわずかに動かした。悪かった。確かにそう言う口元に、にんまりと笑って返す。私も小さく動かして返した。</p>
<p>分かっているわ、愛してる。</p>
<p>私たちが夫婦であることを二人にいつ伝えるか……、意地悪な私はしばらくは伝えずにいようと決めてしまう。</p>
<p>「はいはい、じゃあ一口だけあげるから」</p>
<p>そう言って、青年の口にプリンを運べばあなたの眉が少し動く。今日はそうやって焼きもち焼いてなさい。このお馬鹿さんめ。</p>
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